SCP-1666-JP
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回収時のSCP-1666-JP

アイテム番号: SCP-1666-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在、SCP-1666-JPは日本沿岸部から300km以上離れた海上に位置する、保管サイト-81██の収容ロッカー内に保管されています。新たにSCP-1666-JPの活性化が確認された場合、日本国内で発生した「鋏が凶器として使用された殺人事件/事故」の情報を基に、対応チームによるSCP-1666-JPの回収が行われます。また、事件/事故の関係者に対してはプロトコル”断ち鋏”に従い、専用の記憶処理と情報統制が実施されます。

説明: SCP-1666-JPは鋼材を用いて造られた、全長230mmほどの一般的な洋裁鋏です。外見的な特徴として、経年劣化による錆びや破損に加え、資料画像のように片刃を喪失している点が挙げられます。それ以外の点においては、後述する異常性を有する点を除き、通常の洋裁鋏の構成部品として使用することも可能です。

SCP-1666-JPは不定期に活性化し、即座にその場から消失します。その後、自身の周囲148km圏内1の不特定位置へと再出現します。現在までの観測記録から、この際の転移地点として「たった今、自殺を試みようとする人物(以下、SCP-1666-JP-A)が存在する場所」を選定する傾向が確認されています。その一方で、検証実験時の転移再現には成功しておらず、依然として詳細な活性化/転移条件は不明のままです。なお、消失の際、SCP-1666-JPに接着/接合されていた物体は消失することなく、その場に取り残されます。このため、GPS装置などを用いた追跡・回収の試みは成功しません。

転移地点への再出現時、SCP-1666-JPは身元不明な人物の遺体(以下、SCP-1666-JP-B)の胸部に突き刺さった状態で出現します。また、このSCP-1666-JP-B出現の際には、上述したSCP-1666-JP-Aが必ずその現場に居合わせます。多くの場合、SCP-1666-JP-Aは動揺や錯乱の様子を示しますが、これはSCP-1666-JP-Bの出現に起因するものではなく、後述するSCP-1666-JP由来の記憶影響作用による反応であると考えられています。

SCP-1666-JP-Aに対して尋問を行うと、ほぼ全てのケースでSCP-1666-JP-Aに共通する以下のような供述を行います。

  • SCP-1666-JP-Bは自らの家族あるいは恋人などの親しい間柄の人物であった
  • 何らかの理由で自分とSCP-1666-JP-Bは心中を試みようとしていた
  • 心中の手段として、自分とSCP-1666-JP-Bは分解した鋏の刃をそれぞれ持ち合い、互いに刺し合った
  • 刺し合う瞬間、SCP-1666-JP-Bが持っていた方の鋏の刃が突如消失し、自分は助かってしまった

これらの供述内で、SCP-1666-JP-Aは「自らとSCP-1666-JP-Bの関係性」及び「心中を試みた理由」について、明確な説明を行うことが可能です。一方で「なぜ、分解した鋏を用いて心中を試みたのか」について質問を行った場合、「この鋏で刺し合えば、また一緒になれる気がした」という旨の曖昧な回答2を行うとともに、その手段を実行したことへの明らかな後悔や喪失感といった感情を示します。

それに加え、全てのSCP-1666-JP-Bに対する身元調査の結果は、SCP-1666-JP-Aの主張する人物が存在しないこと、そして現在までにSCP-1666-JP-Bが日本国内に存在していた痕跡が一切ないことを証明しています。同様に、SCP-1666-JPのもう片方の刃も現在まで未確認であり、SCP-1666-JP-Aの証言以外で言及されたケースはありません。

また、SCP-1666-JP及びSCP-1666-JP-B出現の瞬間を監視カメラが捉えていたケースでは、録画データにSCP-1666-JP-Aの供述するような映像は残されておらず、SCP-1666-JP-Aの傍へと瞬時にSCP-1666-JP-Bが出現した様子が記録されているのみでした。以上のことから、SCP-1666-JPは自身の転移/出現に際し、SCP-1666-JP-Aに対して限定的な記憶影響作用を及ぼしていると考えられています。この記憶影響作用は、クラスA記憶処理で容易に取り除くことが可能です。

一方で198█/██/██から検査手順に追加されたDNA型鑑定の結果、一部のSCP-1666-JP-AとSCP-1666-JP-Bの組において、遺伝子学上では兄弟姉妹あるいは親子関係に当たるケースが確認されています。この結果に対して、一部では消去/抹消型の現実改変が行われた可能性を疑う主張も挙がっていますが、判断材料に乏しく、その主張を確証付けるまでには至っていません。

SCP-1666-JPは196█/04/27から197█/09/12に亘って発生した、█件の「同じ鋏が凶器として使用された殺人事件」について調査を行った際に発見されました。当時、SCP-1666-JPは他の遺留品とともに回収されましたが、回収から一定期間は活性化することがなかったために、Anomalousアイテムとして保管されていました。その後、活性化からの消失により異常性が判明、数度に亘る観測結果からその転移傾向と転移限界範囲の存在が確認されました。なお、現在の保管サイトに移されてから10年以上の期間、SCP-1666-JPの活性化は確認されていません。

付録1666-JP-A: 以下はSCP-1666-JP活性化記録の抜粋です(記録内ではSCP-1666-JP-A/-BそれぞれをA/Bと略記)。

追記: 199█/██/██に追加実施されたDNA型鑑定から、記録1666-JP-1発生時に出現したSCP-1666-JP-Bと「遺伝子学上では両親を同じくする人物3」である江夏 ███氏の存在が明らかになりました。それに加え、194█年時に江夏氏が上記の孤児院に在籍していた記録も確認され、当時未発見であったSCP-1666-JP-Aと同一人物である可能性が示唆されました。

付録1666-JP-B: 後日に行われた江夏氏に対する聴取から、江夏氏は当時出現したSCP-1666-JP-Bを「実の姉」と認識していた事実が判明しました。以下の文章は、聴取時に取られたインタビュー記録からの抜粋です。


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