エレベーターシャフトを降下した先に伸びる地下通路
アイテム番号: SCP-1674-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1674-JPに通じるエレベーターシャフトは、外装のプレハブ小屋ごとコンクリートが流し込まれ、その上で多量の砂礫を用いて砂丘地表面から秘匿されます。SCP-1674-JP内の貯水区画に接続された立坑はダイナマイトで破壊され、エレベーターシャフト同様、コンクリートによる封印が行われます。現在、SCP-1674-JP内部への更なる探査及び外部調査は無期限に停止されています。
説明: SCP-1674-JPは、日本国██県██市の██砂丘中心部直下に広がる大規模な地下空間です。SCP-1674-JPへの進入は、砂丘内に埋没しているプレハブ小屋の床面に造られた、貨物用のエレベーターシャフトからアクセス可能です。エレベーター内側のフロアパネルには”怪奇部門”の文字が刻印された金属製プラカードが取り付けられています。SCP-1674-JP内部は、供給源不明の電力によってエレベーターや照明、電子式ハッチなどの内部設備が問題なく稼働しています。
SCP-1674-JPに対する初期探査によって、この地下空間は以下に列挙する複数の区画によって構成された、小型生物に類するオブジェクトを収容するための施設であったことが判明しています。
- この施設に勤務していた職員の為の居住区画。特筆すべき点として、食堂やレクリエーションルームなど公共エリアの壁面には全ての職員に対して「節制」を強く呼び掛ける旨の張り紙が残されていた。また、食堂内には複数人が争った形跡があり、部屋中の壁やテーブルに人間の血痕が付着している。食堂に隣接する厨房の内部では、床に転がった状態で放置されたステンレス製の調理鍋から2人分の人骨が発見された。
- 凡そ██████個のスチロール樹脂製の小型飼育ケージと、█種類のイネ科植物からなる合計██t 分の米袋入り配合飼料が山積みにされた貯蔵区画。多くの飼育ケージには経年劣化が見られるものの、それらが生物の飼育に使用された形跡は見当たらない。貯蔵庫の通用口付近に捨てられていた配合飼料の搬入記録には、数量に関する項目の上からマジックインキで「尽きた」という文字が殴り書きされている。
- SCP-1674-JPの大部分を占める、首都圏外郭放水路1に酷似した構造の貯水区画。詰所内に残された区画概要を示す資料によると、この空間は収容違反に相当するインシデントに対応するため設計されており、有事の際に██砂丘外縁を流れる████川の河口に接続された立坑の流入ポンプをSCP-1674-JPの中央管理室から操作し、当該区画内に最大██████m3 の海水を貯留することが可能であったと判明している。しかし、この資料中で言及された中央管理室に相当する部屋は現在に至るまでその所在が掴めていない。
SCP-1674-JPの貯水区画に於いて、虫網を把持し、財団製のレベル2ハザードスーツを着用した16人の成人の遺体が発見されています。いずれも死因は餓死であり、死後数年が経過しているものと見られています。財団の雇用記録には、これらの遺体と合致する職員の情報は存在しませんでした。その他、遺体から回収された情報はセキュリティクリアランスレベル4以上の職員にのみ開示されます。
この内、貯水区画の北側突き当たりに存在する排水口の1つから、上半身を嵌め込んだ成人女性の遺体が顔面部を露出し口腔を大きく開いた状態で発見されました。他の遺体との顕著な相違点として、右手に2匹のコバネイナゴ(Oxya yezoensis)を握り締めています。これらは交尾の体勢を維持したまま圧着しており、目視による観察では遺体の手のひらの中で圧死したものと推測されます。ですが、このコバネイナゴを手のひらから除去する試みは、原理不明の反作用が働くことによって成功していないため、実際の生死は判断材料の不足により不明のままです。
SCP-1674-JPではこれ以上の、有意な生物の痕跡は発見されませんでした。