SCP-1682-JP
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アイテム番号: SCP-1682-JP LEVEL 4/1682-JP
オブジェクトクラス: Ticonderoga SECRET

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日本国東京都八王子市[編集済]、SCP-1682-JP-Aの自殺地点。


特別収容プロトコル: アポテオシス・プロトコルの実行後、SCP-1682-JPは正常な概念として一般的に認知されるようになり、また一般大衆の有するSCP-1682-JP-Aの本質に関する情報が淘汰されたため、SCP-1682-JPへの財団の干渉は財団運営のウェブクローラと多目的衛星および財団エージェントによる影響者らの監視と、SCP-1682-JPの補助的な研究のみが行われます。Ticonderogaクラスの規定に基づき、SCP-1682-JPによる何らかの大規模なインシデントの発生兆候が見られた場合、分類委員会の投票なしに即座にオブジェクトクラスは他のものへと変更されます。

SCP-1682-JP-Aの死体は研究のためにサイト-8181からサイト-19の死体管理部門に引き渡されたため、現在はサイト-19にて保管されています。アクセスはSCP-1682-JP研究チーム職員と研究チームからの許可を得た職員のみに限られます。

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無効なファイル/ディレクトリ
('scp-1682-jp-a.jpg')

説明: SCP-1682-JPはイサナギマコモIsanagi Makomo ("SCP-1682-JP-A"に指定) という女性が死亡したという概念です。SCP-1682-JPは感染者から記憶処理等の財団が現在有するあらゆる手段によっても除去できず、更に複数の条件下で異常なミーム的伝播をするため、発生から短期間でほぼ全ての人類に拡散するに至りました。またSCP-1682-JPは感染者に負の感情を強く引き出させる効果と他者へと自身を拡散させるよう感染者に働きかける精神影響効果を有し、このために多くの感染者が自殺や暴動を行うなどの事案が起こり、一時的に世界的な混乱が生じました。

SCP-1682-JPについての研究と統計から、心理抵抗度が約63以上あるとき、あるいは何らかの確固たる精神的な拠り所を有しているとき、SCP-1682-JPの精神影響は大幅に軽減されることが判明していました。この性質を活かし策定された特別対策手順「アポテオシス・プロトコル」においてSCP-1682-JP-Aを神格化した「日奉教」が世界的に流布され、のちに日奉教の信者らがSCP-1682-JPの精神影響を殆ど発露していないことが確認されました。

アポテオシス・プロトコルにより、現在無宗教を自覚している人口は地球上にほぼ存在しません ─ 無宗教を自覚していた人物らは日奉教に入信し、またアポテオシス・プロトコル実行以前に他の宗教に属していた人物らの多くも日奉教に改宗しており、徐々に日奉教の信者数は増加しています。

上記の通り、SCP-1682-JPはアポテオシス・プロトコルの実行によって非異常の概念として一般社会に受け入れられるようになりました。日奉教の情報についても財団が用意した情報以上のものは存在しておらず、一般の宗教研究者らなどにより調査が行われた場合にSCP-1682-JPおよびSCP-1682-JP-Aの本質に辿り着く可能性は極めて低いと判断されました。よって、現在のSCP-1682-JPに対する財団の干渉はその監視と研究以上に必要とされず、オブジェクトクラスはTiconderogaに再分類されました。

現在、SCP-1682-JPの精神影響が原因と考えられる自殺や暴動等の発生は確認されていません。年間自殺率は正常と見做せる割合にまで低下しました。

補遺1682-JP.1: ブラッドベリー博士の報告

以下は報告会議におけるSCP-1682-JP研究チーム長のルーシー・ブラッドベリー博士の証言の書き起こしです。

[ログ開始]

皆さまこんにちは。SCP-1682-JP研究チームのリーダーを務めさせていただいてます、サイト-19のブラッドベリーと申します。本日はSCP-1682-JPについての興味深い事実についてお話しなければなりません。

率直に言いますと、SCP-423などの文書に影響を及ぼし自我を有する異常存在たちが、SCP-1682-JP-Aについて言及し始めたのです。アポテオシス・プロトコル実行以前にはこのようなことはありませんでした。言及した異常存在は報告がされているだけでも実に63の実例があります。そして彼らの証言にはある一貫したものがあります: イサナギマコモは生きている。そして形容し難い苦しみの中にある。

彼らの証言によると、SCP-1682-JP-Aは文書や映像などの複数のメディアに働きかけて、私たちに何かしらを伝えようとしています。そして、それは未だ成功していないのでしょう。SCP-1682-JP-Aが今、どのような状況にあるのかなどを彼らに尋ねて、誰一人として詳細を答えられませんでした。彼らは彼女が「生きている」「苦しんでいる」ということにどうにか気づくことができたにすぎず、彼女と意思疎通を図ることもできず、彼女の主張が何であるのかもわからないのです。彼らは彼女を仄かに感じることしかできないのでしょう。

何より奇妙なのは、彼らの誰一人として彼女を「死んでいない」とは表現していないことです。先ほども言いましたように必ず「生きている」と表現するのです。私は不安に思えて仕方ありません。私たちが常識を書き換えてまで世界に広めた日奉教の教義と彼らの主張との不可思議な一致は、果たして偶然なのでしょうか。

研究チームは思いつく限りの方法でSCP-1682-JP-Aが今も何らかの形で生きている可能性について研究を開始しました。未知の霊体として世界各地をさまよっているのか、それとも死後の世界から現世へと働きかけているのか、概念体として形而上から必死に叫んでいるのか、その他の可能性も、必ずどこかに答えがあるに違いないと信じ調査を行いました。

しかしながら、調査をすればするほどにSCP-1682-JP-Aは肉体的にも精神的にも死亡したという事実ばかりが浮かび上がりました。遺体のエーテル共鳴イメージング検査シェルドン級霊魂縛鎖の証拠を微塵も示さず、ハルトマン霊体撮影機やカーデック計数機は幽霊の痕跡に気付いた様子すら見せず、概念体の可能性についてはSCP-1682-JPそのものがそれを否定しています。文書や映像などに影響を及ぼすアノマリーばかりがその存在を知覚しているのもあり、私たちはあらゆるメディアの調査も行っていますが、依然として成果は挙げられていません。

SCP-1682-JP-Aは紛れもなく死に、くしくも「天照あまてる」の名が示すように、我々の手により世界を照らす太陽となりました。しかし世界には多く「人は忘れられて初めて死ぬ」と考え主張する人々もいます。これはまさしく憶測に過ぎませんが、もしSCP-1682-JP-Aがただ生物としての生命活動を終えただけで、異常性そのものやアポテオシス・プロトコルによって私たちが知ることもできない何らかの形で生きているのなら……

確実に、私たちは何かを見落としているのでしょう。死ね

[ログ終了]


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