アイテム番号: SCP-1694
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1694実例および関連する実体群は現在、金星の大気中および地表面に存在するため、本格的な収容は現時点では不可能です。SCP-1694異常の発展と進化を阻止、もしくは少なくとも妨害するために、機械的または電子的な素材を金星の大気中や地表面に配置することは禁止されます。SCP-1694は生きているか否かに関係なく、あらゆる有機物に対して激しい敵対的反応を示すため、有機物の展開も同様に禁止されます。NASAとESAに潜入しているエージェントは、金星の大気中または地表面の探索を目的とする計画予定を、有人か無人かに関わらず阻止・妨害・サボタージュするように指示されています。
説明: SCP-1694実例は、不明な時期に未知の存在によって金星の地表に展開された地球外ナノテクノロジー装置の残留物です。SCP-1694の効果は任意の有機的な素材、または技術的に進歩した素材が金星の大気中に入るか、もしくは地表面に着陸すると発現します。個々のSCP-1694実例は全長およそ2mmのマイクロロボット構造であり、自己複製・自己改良・地質学的/有機的供給源からの迅速な資源抽出が可能です。SCP-1694実例は約5000億~1兆個が大気中・地表面に均等に分布しています。
肉質の有機物に遭遇すると、SCP-1694実例は迅速に対象物を細断し、細胞レベルで素早く再構築することによって、様々な耐久性のある付属肢および精巧な臓器の相互接続された塊を作り上げます。SCP-1694は未知の手段を介して、複数の供給源から採取した細胞も一緒に機能させることが可能であり、さらには死んだ組織や物質さえも再構築・修復できます。
SCP-1694が生物組織を標的とする事実を基に、金星にはかつて(土着か否かはさておき)、単純労働者または戦士階級ドローンの生産のために惑星外知性体が“収穫”する生態系が存在していたという仮説が立てられています — 或いは、金星には先進的文明があり、ナノテクノロジーを用いた戦争で滅亡したのかもしれません。SCP-1694の積極的な資源抽出のため、文明や生命の痕跡は今では残っていません。この資源抽出によって発生した大量の温室効果ガスが現在の金星における超過熱状態を引き起こし、やがては地表面のあらゆる水分を蒸発させ、SCP-1694がまだ破壊していなかった残りの有機物を殺したという理論も提唱されています。これらの説は検証不可能ですが、SCP-1694は生物組織が無ければ何の目的も果たさないため、SCP-1694が展開された理由として一応の説明を付けることができます。
SCP-1694によって創造される実体が金星に居住するための技術的構造が欠如している事から、SCP-1694は人工探査機、特にソビエト連邦のヴェネラ級探査機の分解と、生物学的な付属肢による強化を行っています。ヴェネラ12号は金星への着陸に成功した最初の人工物の一つであり、地表面の熱でシャットダウンするまで3時間機能していました。この成功を受けて更に5機のヴェネラ級探査機が送り込まれました。しかしながら1984年、ソビエトの管制官らはヴェネラ12号(以下SCP-1694-A)から、不可解にも完全な機能状態にある無線信号を受信しました。ヴェネラ計画は財団に引き継がれ、SCP-1694-Aの現状と、現在金星を占めている他全ての人工物を調査するために探査機が派遣されました。
SCP-1694がどのようにしてSCP-1694-A実体の作成に必要な生物学的物質を調達したかは不明です。かつての金星の生態系の一部がSCP-1694によって保存され、必要に応じて収穫されているという仮説が立てられています。