アイテム番号: SCP-1702
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1702はハニカム構造の鉄筋コンクリートの人型収容サイト-06-3にある密封した再利用格納庫に収容します。SCP-1702には文書1702-06の概説にある材料に従って、自動配送システムを通じて500kgの食料と無機物の補助食品を毎日提供します。
SCP-1702の実験には最低2人のレベル3上級研究員からの事前の許可が必要となり、またSCP-1702-1との直接の接触においてはサイト司令部の直接の監督の下でのみ実行可能です。SCP-1702収容区画に入る職員は再呼吸装備が備わっている明色の補強された対生物災害スーツの着用と、区画退出後の最低6ヶ月間の検疫が義務付けられています。SCP-1702からの攻撃、または操作上の過失が判断された場合、SCP-1702収容区画を煙で充満させ、全職員は直線的に最寄りの出口まで退避します。出口での報告が無い職員に対しては事実上の回収不能とし、KIAとしてみなします。
説明: SCP-1702は1匹の妊娠可能な女王蜂と数百の不妊の働き蜂で構成される、ミツバチの特徴を持った人型の標本の巣です。SCP-1702標本は一般的な人間に類似した外見と、頭部から伸びる触覚や背中から四肢に沿って広がるキチン質の皮膚等の複数の突出したミツバチの構造を持っています。またSCP-1702は人間に類似する生理学的構造の内臓を持ちますが、更に顕著な特徴として有機材料と無加工の無機物を、後に吐き戻して蜂の巣の建設と修理に利用できる人骨に類似した物質へと加工可能な構造がある複胃を持っています。
- SCP-1702-1は体長約2.1mある大型の妊娠可能な女王蜂で、SCP-1702の中で唯一繁殖能力を持ち、通常30日毎に産卵します。高い知性を持つ為、SCP-1702-1は今まで知られていなかったフランス語の方言で職員と意思疎通を取る事が可能で、非常に協力的な為、SCP-1702の行動や巣の仕組みに関する我々の知識の殆どはSCP-1702-1から得られています。
- SCP-1702-2は現在までに繁殖期の初期の間に1度だけ財団収容室にて遭遇したオスの標本です(事案1702-05参照)。SCP-1702-2の知性は最小限に抑えられていると考えられ、財団職員からの意思疎通の試みに反応を示しません。繁殖期の終盤にて、SCP-1702-2標本は組織的に巣から追い出されるか、殺害されます。
- SCP-1702-3は現在約340匹確認されている働き蜂であり、巣の物理的構造の構築・清掃と幼虫の飼育を担当しています。またSCP-1702-3はSCP-1702-1の世話を行い、給餌、清掃、身繕い、産卵の補助も行います。SCP-1702-3は高い知性を持っていると考えられ、複雑な問題に対する解決能力や兵站能力を示しますが、声帯は退化しており意思疎通の試みに反応を示しません。SCP-1702-3の寿命は約5年程度です。
第二次世界大戦期の1944年頃、生存しているドイツ軍捕虜との交換を条件にSCP-1702の安全な通行を請け負っていたフランス人抵抗運動組織の隊員によって、SCP-1702はパリの地下墓地にて初めて発見されました。SCP-1702は19██年に再発見され、その後財団収容班は都市開発の影響による発見の可能性を材料に、SCP-1702-1に対して生物収容サイト63への移送を説得させる事に成功しました。この期間にフランス当局がSCP-1702の存在に気が付いていたかは不明です。
付録1702-01: 研究員メモ(フランス語から翻訳)
SCP-1702-1との意思疎通は困難を極めている。その変わった方言の上、絶えず晒されているフェロモンの副作用と考えられる、恒常的な非干渉性と酩酊状態に一致する精神錯乱も示しているからだ。単独では、SCP-1702-1は巣を歩き回るだけで何もせず、卵が必要な時は働き蜂が補助を行わなければならない。
このような問題があるが、何にせよSCP-1702-1は価値ある資源であり、自身と巣に対する重要な見識を提供してくれる。また私のことを現段階では"友"であると認識しているようで、この信頼は影響力がある可能性があると考えている。
M.コレット博士
上級研究員
付録1702-02: 研究員メモ(フランス語から翻訳)
広範囲な実験にもかかわらず、SCP-1702は適切な繁殖に最小限のヒト生物学的飼料を必要としているようだ; 厳重に非人間飼料に制限する試みでは、不健康な働き蜂の孵化と巣全体に対する相当な苦悩が見られた。
SCP-1702-1の要求と監督官の承認で、文書1702-06に基づいた[編集済]を加工した最低5%のヒト生物学的飼料をSCP-1702の新しい食事とし、必要不可欠な場合のみ処分するクラスD職員を提供する。
M.コレット博士
上級研究員
付録1702-03: 事案報告1702-05
█/██/██、コレット博士と█████████博士を含む4人の職員による接触の間、報告によるとSCP-1702-1は意識清明状態に陥り、突如職員に対して巣からの救出を求めました。その後SCP-1702-1の世話をするSCP-1702-3標本は攻撃状態に入り、この事により監督官は接触終了を判断しました。█████████博士とエージェント・█████は収容室の安全な場所へと退避しましたが、コレット博士とエージェント・███████はその収容区画へと退避することができず、その後KIAが宣言されました。
エージェント・███████が装備していたカメラは約2分17秒視聴覚データの送信を続けていました。記録された映像では、SCP-1702-1は明らかにSCP-1702-3の攻撃を受けて引き裂かれ、痛みで叫び声を上げている様子を映しました。
付録1702-04: 事案報告1702-06
事案1702-05後の約35日間、SCP-1702は高い攻撃性を維持し、職員の巣への侵入の試みに対して抵抗をしました。SCP-1702が安全に通行できる程に沈静化した後、2人の武装した職員がSCP-1702の収容区画の調査の為に派遣されました。
職員はSCP-1702-1の発見だけではなく、女王の無事も確認したと報告しました。記録されている映像では、女王は正確に以前と同様の外見、行動、性格をしていましたが、事案1702-05以前の記憶が無い事を示しめしていました。
付録1702-05: 研究員メモ
正に自然と同様に、SCP-1702の女王蜂は巣から離れることはできないようです。彼女が十全で生産性を保っている限り、働き蜂は彼女の世話をし、保護をしますが、彼女が"損害"を受ければ、働き蜂たちは女王に喰らいつき代理を務めるのでしょう。私達の知識の及ぶ限りでは、もはやこの個体を同じ女王蜂と呼ぶ事はできず、ただ巣の希望と要求に沿った同じ"完璧な理想"を創りあげて代用しているのでしょう。この推論を示唆する唯一の証拠は、収容班が入手した組織サンプルがコレット博士と一致するDNAを示した事だけですが。
█████████博士
上級研究員