注意
本報告書において、特に言及されない場合、"アイテム番号"は「蛇御門具足」、
"現在の蛇御門具足"は「蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)」と表記されます
アイテム番号: 蛇御門具足
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)はアメリカ合衆国内のサイト-81██内の標準人型オブジェクト収容房へ収容され、1日に3度財団職員と同様の食事が提供されます。蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)はレベル0職員と同等の権限を与えられ、サイト-81██内の購買部で雇用されています。婚活プロトコルは引き続き実施されます。
SCP-1702-JP-bに対しては定期的に所在地と血縁関係者を調査してください。新たなSCP-1702-JP-bの存在が確認された場合、所属する企業に介入し財団のフロント企業へ転勤させる等して、可能な限り財団の監視下へおくよう働きかけてください。
襲名イベントが発生した場合、直ちにSCP-1702-JP-bを調査し、新たな蛇御門具足を特定し、SCP-1702-JP-a-38に指定して収容してください。また、同時にSCP-1702-JP-a-38の名前が含まれる文書、映像記録を回収し、インターネット上に存在する記録は全て削除してください。この「名前」とは、SCP-1702-JP-a-38の本名、ニックネーム、ペンネーム、SNSアカウント名等、SCP-1702-JP-a-38個人を呼称するすべての言葉を指します。
説明: 蛇御門具足は、他の語句に置き換えて記録することができない「蛇御門具足(くちなわごもんぐそく)」という氏名です。「蛇御門具足」の氏名を有する人物はSCP-1702-JP-aに指定されます。本報告書を作成時点で37名のSCP-1702-JP-aの収容が記録されており、現在財団が収容しているのは蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)です。SCP-1702-JP-a-1の直系子孫はSCP-1702-JP-bに指定されます。現在、██名のSCP-1702-JP-bが財団監視下に置かれていますが、太平洋戦争中・戦後に██名のSCP-1702-JP-bが行方不明となっていることから、財団の監視外のSCP-1702-JP-bを含めるとその、総数は███名に及ぶと考えられています。
蛇御門具足の異常性により、その時点のSCP-1702-JP-aに対して、「蛇御門具足」以外の言葉を用いてその氏名を記述することができません。「蛇御門具足」を「彼」「対象」「SCP-1702-JP-a-ナンバー」等他の言葉や伏せ字に置き換えて記述すると、これらは即座に「蛇御門具足」に変換されます。また、「蛇御門具足」という氏名そのものに対しても同様の異常性を有するため、本報告書においても「オブジェクト」「アイテム番号」「対象」等の語句は、蛇御門具足を指す語句としては用いられません。ただし、蛇御門具足(SCP-1702-JP)のように、蛇御門具足に属する情報として記載する形式であれば、変換を発生させずに語句を記述することが可能です。英語等、漢字の用いられない文章中においては、当該言語で「Kuchinawagomon Gusoku」と発音される表記に変換されることが確認されています。また、SCP-1702-JP-aが異常性を消失した場合でも、過去に変換された名前は蛇御門具足と表記され続けますが、これは編集により他の呼称へ再変更することが可能です。なお、蛇御門具足を他の人物とともに複数形で呼称して記述した場合、及び音声記録では、異常性は発現されません。
SCP-1702-JP-aは常に1名が存在し、SCP-1702-JP-aが特定の条件を満たした場合、襲名イベントが発生します。襲名イベントにおいてSCP-1702-JP-aは異常性を消失し、SCP-1702-JP-bの中から1名が新たなSCP-1702-JP-aへと変化します。現在までに判明している襲名イベントの条件は下記の通りです。
- 死亡
- 外傷性または内因性の重度の記憶障害
- 鬱病等、複数の重篤な精神疾患を発症したことによる重度の心神喪失
- 冷凍冬眠装置への収容
- 前頭葉切除手術を処置
- クラスC以上の記憶処理を処置
これ以外にも異常性が消失する条件が存在する可能性があることに注意してください。
SCP-1702-JP-aが本来有していた名前は、SCP-1702-JP-aと化した時点で全て「蛇御門具足」に変換されます。この「名前」とは、SCP-1702-JP-aの本名、ニックネーム、ペンネーム、SNSアカウント名、管理番号等、SCP-1702-JP-a個人に対し呼称として用いられるすべての言葉を指します。この氏名の変換は紙や電子媒体に限られず、写真や映像に記録された文字も同様に発生します。
襲名イベントの発生時にSCP-1702-JP-aに実子がいた場合、実子1名が新たなSCP-1702-JP-aとなります。実子がいない場合はSCP-1702-JP-bのうち1名が新たなSCP-1702-JP-aと化しますが、異常性の転移先に選ばれる条件は解明されていません。異常性が転移しSCP-1702-JP-aに変化したSCP-1702-JP-bは、その時点で自分の氏名が蛇御門具足であることを知識として有していますが、一方でSCP-1702-JP-aと化す以前の本来の自身の氏名を記憶しています。これは、このSCP-1702-JP-aを知る人物も同様です。社会的知名度が高いSCP-1702-JP-bがSCP-1702-JP-aと化した場合、大きな混乱が生じることが予想されます。
財団収容以前の蛇御門具足は、蒐集院により収容または構成員として所属していました。記録上の最初の蛇御門具足はSCP-1702-JP-a-1に指定されています。財団へ引き継がれた以降、現在まで7名のSCP-1702-JP-aが収容されており、SCP-1702-JP-a-31~蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)に指定されています。
補遺: SCP-1702-JP-aの収容記録概要
以下の記録は、蒐集院から財団へ引き継がれた以降のSCP-1702-JP-aの収容記録概要です。
蒐集院時代の記録については文書1702-A-185を参照してください。
番号: SCP-1702-JP-a-31
収容期間: 19██/██/██-1952/05/18
概要: SCP-1702-JP-a-31は本名█████というモンゴロイドの男性です。この人物は蒐集院に所属する神道系統の呪術研究者でしたが、蒐集院が財団に吸収された際SCP-1702-JP-a-31に指定され、収容されました。収容後、財団に協力的であったこと、また蒐集院において研究者としての一定の功績を挙げていたことを評価され、後にレベル2クリアランスを付与され財団職員として迎えられました。
1952年5月18日、57歳で心筋梗塞により死亡。死亡により蛇御門具足の異常性を喪失しました。
番号: SCP-1702-JP-a-32
収容期間: 1952/05/18-1966/9/13
概要: SCP-1702-JP-a-32は本名███というモンゴロイドの男性です。父親であるSCP-1702-JP-a-31が死亡すると同時にSCP-1702-JP-aと化し、SCP-1702-JP-a-32に指定されました。父親と同様に蒐集院にて呪術研究を行っていたため、収容後にレベル1セキュリティクリアランスを付与され、財団に研究者として迎えられました。また、お見合い・プロトコルにより██研究助手と結婚し、男児を設けました。
41歳で胃癌を発症。症状が治療困難な段階に進行していたこともあり、蛇御門具足の異常性を半永久的に自身に留める実験として、冷凍冬眠装置へ自身を収容させることを志願。O5の承認を経て、1966年3月10日にこの実験は実施されました。冷凍冬眠装置へ収容直後は襲名イベントは発生しませんでしたが、1966年9月13日、SCP-1702-JP-a-32から異常性が喪失しました。当時42歳。 異常性を消失したSCP-1702-a-32は201█年現在、冷凍冬眠装置へ収容されています。
番号: SCP-1702-JP-a-33
収容期間: 1966/09/13-1974/8/12
概要: SCP-1702-JP-a-33は本名████というモンゴロイドの男性です。12歳の時に父親であるSCP-1702-JP-a-32が異常性を消失すると同時にSCP-1702-JP-aと化し、SCP-1702-JP-a-33に指定、収容されました。
SCP-1702-JP-a-33は収容当初から財団に反抗的であり、1973年██月██日、サイト81██にてSCP-██-JPの収容違反が発生した際に、混乱に乗じて複数のアノーマラスアイテム及びSCP-██-JPを所持して脱走しました。その後の調査で、この収容違反事故が財団内に潜入していた蒐集院残党によるもので、SCP-1702-JP-a-33も関与していたことが判明しました。その後、1974年██月██日、蒐集院残党の拠点を機動部隊が襲撃した際にSCP-1702-JP-a-33を発見し、捕縛・再収容しました。SCP-1702-JP-a-33を終了処分、或いはDクラスへ降格することが提案されましたが、SCP-1702-JP-a-33は実子がおらず、また自身に██処置をしていたため生殖能力を喪失しており、日本支部理事会の協議の結果、前頭葉摘出手術を実施し蛇御門具足として収容を継続することが決定されました。
1974年8月12日、SCP-1702-JP-a-33に対して前頭葉切除手術を実施したところ、手術後に襲名イベントが発生しました。当時20歳でした。異常性を消失した後、SCP-1702-JP-a-33はサイト81-██に収容されていましたが、19██年██月██日、心不全により死亡しました。
番号: SCP-1702-JP-a-34
収容期間: 1974/08/12-1984/11/08
概要: SCP-1702-JP-a-34は本名████という、モンゴロイドの男性です。氏はSCP-1702-JP-bに指定されていましたが、SCP-1702-JP-a-33が異常性を消失すると同時に、SCP-1702-JP-aと化したため、財団に収容されSCP-1702-JP-a-34に指定されました。
SCP-1702-JP-a-34はこの時点で19歳でしたが、サッカーにおいて優秀な成績を収め、全国高等学校選抜大会に出場した経験があり、既に情報が日本国内の広い範囲に拡散されていました。このため、大規模な記憶処理とカバーストーリーの流布、大会記録と試合映像の改竄を行わねばなりませんでした。
度々対話がなされましたがSCP-1702-JP-a-34は財団に非協力的であり、財団職員として迎え入れられませんでした。研究者・エージェントから配偶者を得ることが困難と判断され、将来の蛇御門具足の収容のため、健康状態に問題が無い判断されたDクラス職員を母胎とした人工授精を行いました。 1981年、誕生した子供はSCP-1702-JP-bに指定され、財団管理下の保育施設に収容されました。母胎となったDクラス職員はクラスC記憶処理を施した上で通常業務に復帰しました。
この頃からSCP-1702-JP-a-34は鬱の症状を示し始め、度々カウンセリングが行われましたが症状は改善せず次第に進行し、最終的にコミュニケーションが困難な心神喪失状態に陥りました。1984年11月8日、SCP-1702-JP-a-34から異常性が消失し、同時に実子がSCP-1702-JP-aと化しました。その後、SCP-1702-JP-a-34に対してクラスD記憶処理を実施し鬱症状を治療しましたが、蛇御門具足の異常性は再発現しませんでした。SCP-1702-JP-a-34は201█年現在、引き続きサイト-81██で収容されています。
番号: SCP-1702-JP-a-35
収容期間: 1984/11/08-1999/05/20
概要: SCP-1702-JP-a-35は本名███というモンゴロイドの女性です。SCP-1702-JP-a-34の実子として誕生後にSCP-1702-JP-bに指定され、財団の保育施設へ収容されていましたが、3歳の時にSCP-1702-JP-aと化し、SCP-1702-JP-a-35に指定されました。
蛇御門具足の異常性について幼少期より情報が与えられたことにより、SCP-1702-JP-a-35は収容に対して協力的でした。SCP-1702-JP-a-35の両親に関しては、両親ともに財団の研究員であったという虚偽の情報を与えた上、カバーストーリー「実験中の不幸な事故」を適用しました。
1996年、蛇御門具足担当チームであった███研究助手の失言により、父親が生存しているという情報がSCP-1702-JP-a-35の知るところとなりました。これ以降、SCP-1702-JP-a-35は両親の情報に強い興味を抱き、1999年██月██日、サイト内でSCP-███-JPの収容違反が発生した際、混乱に乗じて機密書類保管庫へ侵入しました。SCP-1702-JP-a-35は駆けつけた機動部隊に身柄を拘束、再収容されましたが、直前に両親の情報を含むいくつかの機密情報を閲覧しました。
再収容後、SCP-1702-JP-a-35は重度の鬱症状を示しました。SCP-1702-JP-a-34の事例より、鬱症状の進行は最終的に襲名イベントの発生を招くことから、SCP-1702-JP-a-35の卵子を摘出して代理母出産により実子を設けさせ、イベントに備える提案がなされましたが、倫理委員会によりこの提案は却下されました。
進行するSCP-1702-JP-a-35の鬱症状に対してクラスC記憶処理を施し治療することが提案され、承認されました。1999年5月20日、SCP-1702-JP-a-35に対してクラスC記憶処理が実施されましたが、直後に襲名イベントが発生しました。201█年現在、SCP-1702-JP-a-35に対しては、サイト-81██内で収容・監視がなされています。
番号: SCP-1702-JP-a-36
収容期間: 1999/05/20-2003/07/10
概要: SCP-1702-JP-a-36は本名█████-███████というコーカソイドとモンゴロイドの混血の男性です。█████-███████の出生地はアメリカ合衆国であり、小規模な要注意団体に所属していました。SCP-1702-JP-aと化した時点では、財団本部に身柄を拘束され、Dクラス職員として雇用することが予定されていました。また、█████-███████はSCP-1702-JP-bには指定されておらず、その後に行われた素性調査では、SCP-1702-JP-a-36の父方の祖父が「アジア系の外国人であった」という以外の情報が確認できませんでした。この人物が太平洋戦争中・戦後に行方不明となったSCP-1702-JP-bであった可能性が高いと考えられています。
SCP-1702-JP-a-36に指定された後、Dクラス職員への雇用を取り下げられ、日本支部へ引き継がれアメリカ合衆国内のサイト-81██へ収容されました。収容時点で42歳でした。同時に、SCP-1702-JP-a-36の血縁者はSCP-1702-JP-bに指定されました。なお、SCP-1702-JP-a-36の実子は将来発生する異常性の転移に備えて財団の保護下に置かれました。
SCP-1702-JP-a-36は収容に非協力的でしたが、2003年7月10日、SCP-1702-JP-a-36は突如意識を失い、1時間後に多臓器不全による死亡が確認され、襲名イベントが発生しました。享年46歳でした。SCP-1702-JP-a-36の死因は不明であり、要注意団体所属時に関わった何らかの異常物品の影響が疑われたため、死体は冷凍保存されサイト-81██に保管されました。
番号: 蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)
収容期間: 2003/07/10-
概要: 蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)はコーカソイドとモンゴロイドの混血の女性です。SCP-1702-JP-a-36の実子であり、蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)に指定された時点で20歳でした。
父親がSCP-1702-JP-a-36に指定された後、財団の保護下に入り、財団が運営するハイスクールに編入され、卒業後は財団本部フロント企業へ雇用されました。2010年7月10日、SCP-1702-JP-a-36の死亡によりSCP-1702-JP-aと化し、蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)に指定され、財団に収容されました。
蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)は収容に対しては協力的であったため、レベル0クリアランスを付与し、財団職員として雇用されました。同時に婚活プロトコルにより、積極的に研究員・エージェントと交流が図られています。しかし蛇御門具足(SCP-1702-JP-a-37)は子孫が異常性のために収容されることへ強い嫌悪感を抱いており、201█年現在、結婚及び実子を設けることを強く拒否しているため、カウンセリングとエージェントによる説得が行われています。
補遺: インタビュー記録1702-A-31-12
以下の記録はSCP-1702-JP-a-31に対して行われたインタビューのうち、SCP-1702-JP-a-1に関連する記録です。この他の記録の閲覧はオブジェクト担当者へ申請してください。
インタビュー記録1702-A-31-12
対象: SCP-1702-JP-a-31
インタビューアー: マクラージン博士
付記: 本インタビュー記録はSCP-1702-JP-a-31が異常を消失した後に編集され、蛇御門具足と変換された情報は録音通りに修正されています。
<録音開始>
マクラージン博士: これより、インタビューを開始します。今回伺いたいのは、SCP-1702-JP-a-31、あなたの先祖であるSCP-1702-JP-a-1についてですが…
SCP-1702-JP-a-31: 話を遮って申し訳ないがマクラージン博士、いい加減、私をその長い番号で呼ぶのは止めてくれないかな。どう呼んでも、どうせ録音を文字に起こしたら蛇御門具足に書き換えられるんだ。それなら、もっと短い呼び方の方がいいだろう。
マクラージン博士: …その意見には賛同しますが、これは我々にとって必要なやり方なのです。
SCP-1702-JP-a-31: フン、難儀なものだな。それで、先祖について話せば良いのかな?
マクラージン博士: はい、SCP-1702-JP-a-1…蒐集院では壱番坊と呼ばれていたようですが…最初に蛇御門具足の名前を持った人物について、情報をいただきたい。
SCP-1702-JP-a-31: そうは言っても、既に渡した情報の他に語ることなんて、殆どないぞ?
マクラージン博士: ええ、SCP-1702-JP-a-1が16世紀に蒐集院に収容された人物で、いくつかのSCiP所持者であったこと、これは把握しています。この他、情報が重複していても構いませんので、思い出せることを話していただきたい。
SCP-1702-JP-a-31: (ため息)では、壱番坊について語るとしよう。君の言うとおり、壱番坊…私の祖先は、異常物品…君たちの言うSCiPを持っていた。マクラージン博士、壱番坊の坊とは、どんな意味の言葉か知っているか?
マクラージン博士: …人名につけられた場合、男児または仏教僧を表わす言葉と理解しています。
SCP-1702-JP-a-31: その通りだ。要するに、壱番坊は坊主だったのさ…と言っても、宗派も判らない、寺を追われた破戒僧だったがな。こいつが放浪のあげく、辿り着いた山奥の荒寺に住み着いた。この荒寺にいくつかの異常物品があったらしい。この坊主はここで力を手に入れた。そして蛇御門具足なんてふざけた名前を名乗って、山を下りて、麓の集落で色々な奇跡を民衆に見せつけた。雨を降らせたり、死んだ赤子を生き返らせたり、奇跡を疑う者に仏罰を与えたり、色々やった。そして、霊験あらたかな坊様として崇め奉られたその裏で、領主に取り入り、肥え太って、こっそり何人もの女房や子供をこしらえた。
マクラージン博士: そして、蒐集院がその存在を知り、収容したのですね。
SCP-1702-JP-a-31: そうだ。壱番坊を捕らえ、異常物品を回収するために蒐集院が動いた。呪法やいくつかの異常物品が用いられ、大立ち回りの末に壱番坊を拘束した。いくつかは破壊されたものの、壱番坊の持つ異常物品は蒐集院に回収された。そして、壱番坊への尋問が行われ、ここでこいつの異常性が明らかになった。
マクラージン博士: この、何と書いても名前が蛇御門具足と変換されることですね。
SCP-1702-JP-a-31: そうだ。どうやら壱番坊はいくつかの異常物品と我流の呪術を組み合わせて、不老不死を得ようとしたらしい。
マクラージン博士: ふ、不老不死?
SCP-1702-JP-a-31: そう、不老不死だ。蛇御門具足が死なずにずっとあり続けるとか、そういう効果を期待したらしい。(乾いた笑い声)その結果がこれだ。確かに、紙の上では、伏せ字にしても別の名に書き換えても、蛇御門具足は存在し続けている。だが明らかな失敗だ。しかも、そのために使った異常物品はいくつかが失われているから元にも戻せない。もっとも、当時は本当に不老不死になった可能性も考えられていたからな。だから、確かめることにした。
マクラージン博士: …それは、つまり…
SCP-1702-JP-a-31: 死なないかどうか確かめるには、殺してみれば良い。もっともこれは、壱番坊本人も了承したらしいぞ。奴は、まだ自分が死なないと信じていたらしい。いや、信じたかったんだろうな。そして、壱番坊の首が撥ねられた。壱番坊は死んだ。壱番坊の息子の一人が、蛇御門具足という名前になった。そして今に至る、だ。
マクラージン博士: 質問があります。なぜ蒐集院は、その後のSCP-1702-JP-a…蛇御門具足達を、構成員として迎え入れたのでしょうか。そのような経緯なら、あくまでSCiPとして収容するだけで、身内に引き入れる必要は無かったのでは?
SCP-1702-JP-a-31: それはあんた、アレだよ、私の先祖が優秀だったと言うこともあるだろうが…一番の理由は、つまり見せしめだ。(乾いた笑い声)我欲で異常物品を使った者の末路の一例が、目の前にいるんだ。格好の"悪いお手本"じゃないか。
マクラージン博士: …貴重な情報をありがとうございます。これにて、インタビューを終了しま…
SCP-1702-JP-a-31: ああ、ちょっと待ってくれ。先祖の話が出たついでに、子孫のことも話したい。
マクラージン博士: …許可します。ですが、手短にどうぞ。
SCP-1702-JP-a-31: 我々を、つまり蛇御門具足を収容し続けるためには、子孫が必要だ。そのためには、嫁や婿をどうにかしなければならない。私には倅がいるが、嫁はまだいない。こんな組織にいて、こんな異常性があるから一般人から嫁は取れない。蒐集院では、上層部が嫁や婿を手配…これは、何か大きな失敗をやらかした奴への懲罰代わりらしいが…その蒐集院も今はない。そして、倅は今、あんたらに収容されている。
マクラージン博士: …おっしゃりたいことは判りました。検討しましょう。
<録音終了>