SCP-1728
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アイテム番号: SCP-1728

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1728は、ポリウレタン繊維によって幅2m×奥行1mのスチール製テーブルに縛りつけることで拘束するものとします。テーブルは密閉された冷蔵室に収容し、室内の温度は標準温度管理手順に従って摂氏0度に保ってください。SCP-1728と意思疎通を試みる際には、温度を摂氏10度まで上昇させた冷蔵室内に研究者1名が入室し、SCP-1728の片腕の拘束を解除するものとします。拘束を解除する前には必ず冷蔵室のドアが閉鎖されていることを確認し、再拘束が完了するまでは決してドアを開放しないでください。

SCP-1728-1は、ポリウレタンで内張りを施した30cm×10cm×5cmの箱に収納し、特異兵器収容施設に保管するものとします。SCP-1728-1の所在がSCP-1728に知られることのないよう注意してください。

説明: SCP-1728は、身長1.5m、体重57kgのヒューマノイドです。概ね人間と同じ姿をしていますが、頭部は存在せず、首は喉頭の半ばほどで焼灼されています。にもかかわらず、SCP-1728は通常の人間と同等の活動能力を有しており、知覚、運動、代謝等の機能に特段の支障は見られません。発声機能は欠如していますが、文字を書くことは可能です。SCP-1728は英語を理解しており、その言語能力と知能は8~10歳の児童と同程度と見られています。

SCP-1728の体表からは、無塩バターと一致する化学構造を持つ物質が絶えず滲出しています。このため、SCP-1728と他の物体が接触した際の摩擦係数は極めて低い値となります。バターを除去した場合、不足分を補うように滲出量が増加します。バターは通常はSCP-1728の身体に密着していますが、SCP-1728が何らかの物体に接触すると剥離し、その物体に付着します。SCP-1728から剥離したバターには、特異な性質は一切見られません。SCP-1728の手指には爪がなく、代わりに先端から中空の骨が突出しています。SCP-1728はこの骨の内部にバターを流し、ペンや低圧のジェット噴射器として使用することができます。

SCP-1728が着用している衣類は、撚糸の肩紐がついた黄麻布製のショートパンツのみです。これ以外の衣類をSCP-1728が着用した場合、その衣類はSCP-1728の身体から滑り落ちるか、バターの浸潤によって使用に耐えない状態となります。

SCP-1728-1は、鋼鉄製の刃と鋳鉄製の柄を持つ、刃渡り22cmのナイフです。SCP-1728が何らかの物品を保持することには困難が伴いますが、SCP-1728-1は例外です。

SCP-1728は収容されることに強い抵抗を示します。SCP-1728はおよそあらゆる拘束から滑り抜けることが可能であり、常に脱走の機会を窺っています。自身から滲出するバターを利用して滑ることで、SCP-1728は最高時速34kmで移動することが可能です。地面や床面を構成する物質によって移動能力が制限されることはほぼなく、SCP-1728が通過した表面にはバターの跡が残ります。SCP-1728の現在の目的は、収容されているSCP-1728-1を取り戻すことであると思われます。SCP-1728の動作を制止するのは困難ですが、SCP-1728の身体は低温化ではほぼ完全に凝固してしまうため、これによって脱走を防ぐことが可能です。また、ポリウレタンにはSCP-1728を拘束できる性質があることが判明しています。

インタビュー記録SCP-1728-01

インタビュー対象: SCP-1728

インタビュアー: テイン博士

はじめに: 以下のインタビューは、片腕だけを自由に動かせる状態にしたSCP-1728に対して口頭で質問を行い、SCP-1728が黒い紙に文字を書いて返答するという形で行われたものです。返答の内容はSCP-1728が記述した文章を転写したものであり、編集は加えられていません。インタビューの実施場所はSCP-1728の収容室です。

<記録開始>

テイン博士: SCP-1728、私の言っていることが聞こえるか?

(9秒経過)

SCP-1728: はい ちやんときける

テイン博士: 私はDr.テインだ。なぜ君がここにいるのかわかるか?

(15秒経過)

SCP-1728: おんなのひとをさしたから

テイン博士: …財団が君を回収したのは████████森林だ。君は木の中にいた。

(28秒経過)

SCP-1728: おんなのひとがかばんわたそとしなかた うまがあばれた

テイン博士: それが木の中にいた理由と関係があるのか?

(12秒経過)

SCP-1728: ままをささえなきやいけなかた

テイン博士: SCP-1728、君は自分がどういう状態にあるのかわかっているか?

(11秒経過)

SCP-1728: ぽぼくのなに

テイン博士: つまり、君は――

(SCP-1728が文字を書き始める)

SCP-1728: そだ あたまがないのとすべる

テイン博士: いつからそうなったんだ?

(35秒経過)

SCP-1728: おんなのひとはさされるのきらい おんなのひとはこわいまじよ

(SCP-1728が少しの間動きを止め、書いた文章を読み返すかのような様子を見せた後、記述を再開する。19秒経過)

SCP-1728: ままはちちしぼりするひと ぼくはばたになる

テイン博士: …わかった。 これで質問は終わりだ。

(SCP-1728が急いで文字を書き始める)

SCP-1728: ないふいつかえしてくれるの あれぼくのないふ

テイン博士: 今はだめだ。

(SCP-1728がもがき始め、自由になっていない側の腕が拘束から抜けそうになる)

テイン博士: (監視スタッフに) 凍らせろ!

<記録終了>

インタビュー終了後: 冷蔵システムの稼働再開により、SCP-1728は短時間が経過した後に凝固し、その後再拘束されました。

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