SCP-1735-JP
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アイテム番号: SCP-1735-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 未把握のSCP-1735-JP-Aが新たに確認された場合、機動部隊え-3("タモーラの息子達")によるSCP-1735-JP-Aの確保と尋問が行われます。尋問によってSCP-1735-JPに感染している可能性のある対象を特定し確保してください。また、SCP-1735-JP感染者の生活環境は標準生物学的汚染除去プロトコルに則って除染してください。

管理下にあるSCP-1735-JPの感染組織片標本はサイト-8191の二重ロックかつ気密扉を備えた収容室で冷凍保存されています。収容室の換気システム及び気密扉は10日間に1度点検を行い、異常が無いことを確認してください。収容室に入室する全ての人員は陽圧式化学防護服の着用と汚染除去室を通過することが義務付けられています。収容室から退出する全ての人員は防護服汚染除去用シャワーによって除染されなければなりません。退室後は感染の有無を確認するため、30日間に渡って3日おきに血液検査が実施されます。

SCP-1735-JPの収容違反が発生した場合、サイト-8191内の隔離壁により汚染区画は物理的に封鎖されます。全てのSCP-1735-JP感染者を確保した後、接触者と伝播経路を特定し標準生物学的汚染除去プロトコルに則り区画内の化学的除染を行ってください。

収容下にあるSCP-1735-JP-Aはサイト-8191に併設された隔離収容エリアにて収容されています。SCP-1735-JP-A群の結束を防止する為、通常それぞれの個体は個々の収容室に収容されます。SCP-1735-JP-Aに対しては標準的な人型存在収容プロトコルに則った生活を与えてください。各収容室は3日間に1度、化学的除染と清掃を行ってください。SCP-1735-JP-Aを由来とする体液は二次汚染防止のため、密閉下で焼却処理されます。SCP-1735-JP-Aとの面会に際しては医療用フェイスマスクとニトリルグローブの着用が義務付けられています。感染試験時を除き、SCP-1735-JP-Aとの直接接触は禁止されます。

これらSCP-1735-JP-AはSCP-1735-JPの治療法研究の検体としての利用が限定的に許可されています。臨床試験にSCP-1735-JP-Aを用いる場合、サイト管理者及び倫理委員会の承認の下で行ってください。

SCP-1735-JP

SCP-1735-JPの電子顕微鏡写真。

説明: SCP-1735-JPはレトロウイルス科の一本鎖陽方向鎖RNAウイルスです。成熟したSCP-1735-JPは直径100nm程度の球状粒子のように観察され、正二十面体の結晶構造からなる核様体と細胞膜を由来とするエンベロープを持ちます。SCP-1735-JPのウイルスゲノムには部分的にヒト免疫不全ウイルスと共通するものが確認されていますが、人為的な改変の痕跡が存在します。

SCP-1735-JPはヒト(Homo sapiens)に感染した場合にのみ、感染者に対して異常な肉体的変容を引き起こします。SCP-1735-JPが全身に感染することで、感染者は最終的に2004年7月9日に死亡が確認されている向井真由氏として知られる日本人女性と解剖学的、遺伝学的に類似した存在へと変態します(この状態の感染者をSCP-1735-JP-Aと指定)。SCP-1735-JPは性行為等による粘膜の接触、血液・体液への曝露による直接感染によって感染します。

SCP-1735-JPはヒト免疫不全ウイルスと同様に転写制御に関わるTATタンパク質を有します。SCP-1735-JPはTATタンパク質の細胞膜透過性により接触した細胞の細胞膜を開閉し、内部へと侵入し感染します。SCP-1735-JPは宿主の体内において細胞に選別性を示すことなく無差別に感染します。感染後、SCP-1735-JPは細胞核内に逆転写酵素と自らのウイルスゲノムを注入します。注入されたウイルスゲノムRNAを鋳型としてmRNAを転写し、未知のエキソヌクレアーゼ1を産生します。エキソヌクレアーゼによりSCP-1735-JP感染細胞のDNAは末端から順に切断され、最終的にほぼ完全に分解します。分解された直後よりウイルスゲノムはDNAの分解によって生じた塩基との不可解な結合を始めます。この結合により感染細胞の核内にDNAが再構築され、新たなヒトゲノムが形成されます。

再形成されるヒトゲノムは常に同一の塩基配列を成しており、その大部分は向井真由氏と同一です。SCP-1735-JPのウイルスゲノムは再構築されたDNAに統合されており、プロウイルス2化しています。感染細胞はプロウイルス化したSCP-1735-JPに基づいて細胞分裂と共に核内でSCP-1735-JPを合成します。また、プロウイルス化したSCP-1735-JPの影響により感染細胞の細胞膜には膜タンパク質の一部が発現します。同時に細胞膜でのCD4糖タンパク質の発現が阻害され、免疫細胞による攻撃を回避します。加えて感染細胞細胞膜には損傷修復の活発化が観察されており、これもプロウイルス化したSCP-1735-JPによる影響であると推測されています。

SCP-1735-JPは細胞外へと脱出することで、感染細胞の細胞膜を利用してエンベロープを獲得します。この際、細胞膜に発現した膜タンパク質を基としてエンベロープタンパク質がSCP-1735-JP粒子に発現します。これらのエンベロープタンパク質により、非感染細胞の受容体への結合が行われると同時に免疫細胞による侵害が回避されます。ヒト免疫不全ウイルス等では感染細胞の細胞膜がエンベロープに利用されることによる細胞の破壊が観察されますが、SCP-1735-JP感染細胞は細胞膜の損傷修復が活発化しており細胞の破壊は観察されません。これにより、感染細胞は死滅することなくDNAに統合されたプロウイルスを元にSCP-1735-JPを産生し続けます。SCP-1735-JPの産生は感染した細胞が通常の細胞死に至るまで継続します。

SCP-1735-JPの増殖速度は極めて速く、2~5日の潜伏期間を経た後、感染者は免疫系の活性化を原因とする発熱や筋肉痛等のインフルエンザ様症状を示します。SCP-1735-JPに感染した造血幹細胞から発達した免疫細胞はSCP-1735-JPに対しての反応性を喪失します。SCP-1735-JPに感染した免疫細胞に体内の免疫細胞が置換されるにつれて、感染者のインフルエンザ様症状は沈静化します。

その後もSCP-1735-JPは無差別に感染者の細胞に感染しながら増殖し、1ヶ月程度で脳を含む中枢神経全体に感染します。その後、感染者は新陳代謝に伴ってSCP-1735-JP-Aに変化します。この際、感染者の肉体には通常の代謝からは逸脱した異常な細胞更新に伴う肉体的変容が観察されます。これらは進行の程度により5つのステージに分類されています。

肉体的変容の進行 感染からの期間 女性感染者の場合 男性感染者の場合
ステージ1 30~60日

代謝の活発化により皮膚の角化促進や体温の上昇、体重減少等が認められます。また、顆粒膜細胞、外卵胞膜細胞においてエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が僅かに増加します。

代謝の活発化により皮膚の角化促進や体温の上昇、体重減少等が認められます。また、副腎皮質、精巣においてエストロゲンの分泌量が僅かに増加します。加えて、副腎皮質でのプレグネノロンからのプロゲステロン生成が顕著に活発化します。

ステージ2 30~200日

感染者が性成熟している場合、無排卵性周期症に類似した月経異常が観察されます。ステージ1時点よりもエストロゲンの分泌量が増大し、子宮内膜が肥厚化して剥離し、出血します。元来の月経周期が28日程度である場合、月経異常は観察されません。

感染者の性機能が未成熟である場合、多量のゴナドトロピンが分泌され、急速に成熟します。この際、子宮は病的な肥厚化と連続した子宮内膜の剥離に見舞われます。これらによって子宮機能が成熟した後、月経が開始されます。

ステージ1時点よりもエストロゲンの分泌量が増大し、一方でテストステロンの分泌が阻害されます。これにより女性化乳房、筋力低下、脂肪組織の増加、体毛の減少、性欲の減退、勃起障害等が観察されます。ホルモンバランスの変化に伴い、男性更年期障害に類似した症状を示します。精巣機能の著しい低下が観察され、睾丸の萎縮、無精子症を示します。加えて、前立腺と乳腺における細胞更新が活発化し細胞死と細胞分裂が繰り返され組織の再構築が進行します。

ステージ3 200~350日

月経周期が28日程度に安定します。対象が17歳未満の場合、全身における細胞の分裂サイクルが加速し、成長が促進されます。これに伴い皮膚の角化、頭髪の成長が顕著に促進され、骨組織の急激な成長により軟骨や筋肉が炎症を起こします。

対象が18歳以上である場合も同様に細胞の分裂サイクルの加速に伴う皮膚の角化、頭髪の成長等が確認されますが成熟、加齢等の兆候が細胞分裂と共に失われ、外見上若返っているように観察されます。

男性機能を喪失します。男性器は細胞死によって徐々に萎縮し、萎縮開始から40日程で完全に機能を失います。一方で神経組織は部分的に残存します。

機能喪失後の陰茎は陰核に相当する器官として機能します。萎縮した精巣は鼠径部収納され、異常な幹細胞化を経て卵巣に類似した器官へと発達します。精巣の収納と並行して、陰嚢の大陰唇化、残留した陰茎皮膚の小陰唇化、尿道海綿体の膣前庭化が引き起こされます。また前立腺が下腹部へと移動し、最終的には新たに形成された膣上壁と接続されてスキーン腺と類似した器官へと発達します。前立腺小室も同様に移動しますがより顕著に肥大化し、子宮様の器官へと発達します。当初、新たに形成された子宮様器官は完全に体内に存在していますが十分に発達を遂げると大陰唇と接続し、膣口を形成します。特筆すべき点としてこれらの変化の大部分は男性と女性の生殖器の相同性に準じています。

これらの劇的な生殖器の変容には激しい痛みを伴い、粘膜からの出血と炎症にともなう発熱が観察されます。

同時に乳腺と脂肪組織の発達も観察され、次第に小葉、乳管が形成されます。乳房の肥大化に伴い靭帯の発達も観察されます。

感染者が17歳未満の場合は女性と同様に細胞の分裂サイクルが加速し成長が促進され、18歳以上である場合は成熟、加齢等の兆候が細胞分裂と共に失われます。

ステージ4 350~700日

成長/若返りが完了した後、全身の代謝がさらに活発化し、顔貌等の身体的特徴が徐々に向井真由氏に近いものへと変化します。この変化は骨格にまで及び、身長が161cmになるまで骨組織の分解と最構築が行われます。また、この段階に達すると対象の外観はほぼ向井真由氏と同様のものになります。

成長/若返りが完了した後、全身の代謝がさらに活発化し、顔貌等の身体的特徴が徐々に向井真由氏に近いものへと変化します。この変化は骨格にまで及び、身長が161cmになるまで骨組織の分解と最構築が行われます。また、この段階に達すると対象の外観はほぼ向井真由氏と同様のものになります。性機能は完全な変質を遂げ、生理学的、解剖学的に女性化します。

ステージ5 730日

感染者の中枢神経において細胞の破壊を伴わない神経細胞の解離と再接続が観察されます。原理は不明であり、細胞の本来の強度を無視した細胞の解離が起きていることも確認されています。この過程によって感染者の中枢神経構造は作り替えられているものと考えられています。この現象は大脳、小脳において顕著に観察される一方、間脳では観察されません。感染者は意識障害に陥り、この状態は3~8時間程度持続します。

神経細胞の再構築後の感染者は、元来の自我と記憶の大部分を喪失し向井真由氏のものと考えられる記憶と人格を有しています。この状態の感染者はSCP-1735-JP-Aに指定されます。

SCP-1735-JP-Aへの変容を化学的に治療する試みは成功していません。外科手術による元来の外見への全身再建手術は成功していますが、ステージ5による脳構造の変化を治療する手段は発見されていません。

なお、ステージ5の感染者に見られる特徴に関して性差は確認されていません。

感染がステージ5に達し、SCP-1735-JP-Aへと変態した感染者は向井真由氏として振舞います。SCP-1735-JP-Aは身体の変容以前の記憶の大部分を喪失しており、自己を向井真由氏と同一の存在であると認識しています。一方で、SCP-1735-JP-Aは他のSCP-1735-JP-A個体についても自己と同様に向井真由氏と同一の存在であると認識していることが確認されており、自己と同一の存在が複数存在することに対してSCP-1735-JP-Aは疑問を抱きません。加えてSCP-1735-JP-Aは向井真由氏が既に死亡していることについても認識しており、主観的な死亡時の記憶を有しています。これらのことからSCP-1735-JP-Aの自我は元来の向井真由氏を完全には模倣しておらず、変質しているものと推測されています。

SCP-1735-JP-Aが自称する向井真由氏は2004年7月9日に死亡しています。向井真由氏は茨城県結城市████に居住していた17歳の日本人女性でした。向井真由氏は2004年7月11日に栃木県小山市████で遺体で発見され、栃木県警により小山市████における女子高生誘拐殺人事件として捜査されました。

発見された遺体には複数箇所の骨折、打撲、切創、臓器損傷が認められていました。栃木県警は司法解剖により、頭部への鈍的外傷による外傷性脳損傷で7月9日午後20時頃に死亡したものであると結論づけました。栃木県警は遺留品に残された指紋等の証拠及び周辺の目撃情報から栃木県小山市███在住の18歳男性である大西██氏、同市████在住の21歳男性である竹中███氏、茨城県結城市██在住の17歳男性である寺之内█氏を被疑者として捜査しました。これらの人物は事件後、茨城県内に潜伏していたものと推測されていますが7月24日午後21時頃に目撃されたのを最後に消息を断ちました。財団の介入後に行われた調査により、栃木県警が向井真由氏の体内から回収していた複数の人物の体液とこれらの人物のDNAが合致することが確認されており大西氏、竹中氏、寺之内氏が向井真由氏を加害したことは確実視されています。

向井真由氏の父親にあたる向井芳雄氏はGoI-8101("日本生類創研")ウィルス学部門第██研究室に所属していた研究員でありPoI-3104に指定されています。PoI-3104はGoI-8101において、遺伝子導入に関する研究に従事していたことが確認されています。PoI-3104は2004年7月22日以降、失踪しています。GoI-8101へのサイバー攻撃の際に得られた情報から、PoI-3104がGoI-8101からも行方を捜索されていることが判明しています。サイバー攻撃によって得られた内部資料によると、PoI-3104は7月22日にGoI-8101の研究施設において故意に何らかの病原体を漏出させバイオハザードを引き起こし、その混乱に乗じて同施設ウィルス学部門の複数の研究室から機密情報と研究用試料、各資機材、標本を持ち出したものとされています。これらの行動から、PoI-3104はGoI-8101倫理審査委員会3により研究倫理違反を理由とした高優先度の要確保・粛清対象に指定されていました。これらの情報を踏まえ、財団はPoI-3104が何らかの異常活動に関与している可能性を鑑み、SCP-1735-JP発見以前から対象の行方を捜索していました。

SCP-1735-JP及びSCP-1735-JP-Aは、2007年9月に実施されたPoI-3104確保作戦の際に発見されました。PoI-3104が大阪府大阪市西成区で目撃されたことから、該当地域一帯での調査を実施しました。調査から同地域内の建築物にPoI-3104が潜伏している事を確認し、直ちに機動部隊による確保作戦が実行されました。これによりPoI-3104は問題なく確保されました。

建築物内では24体のSCP-1735-JP-Aが共同生活を送っており、これらも全て確保されました。また建築物内にはGoI-8101から持ち出されたものと考えられる各種資機材、研究設備が存在していました。SCP-1735-JPはこれらの設備を用いてPoI-3104によって作成されていたものと思われ、保管されていた複数のSCP-1735-JP感染組織標本が回収されました。これらの標本はPoI-3104により「Andronicus」という識別名が与えられていましいた。

確保されたPoI-3104と全てのSCP-1735-JP-A、及びSCP-1735-JPはサイト-81██へと移送されました。この段階ではSCP-1735-JPに関連した異常性は不明であったため、早急な異常性把握を目的としてPoI-3104及びSCP-1735-JP-Aへのインタビューが実施されました。以下は移送後に行われたインタビューの記録です。

PoI-3104の供述に基づいて広域調査を実施したところ、東京都新宿区[編集済み]に存在する非合法性風俗店「█████」、神奈川県川崎市██の████氏の自宅、宮城県仙台市の[編集済み]コミュニティ集会所にて特異な3体のSCP-1735-JP-Aが発見されました。これらのSCP-1735-JP-Aは共通して感染者独自の脳構造が維持されており、外科的な改造が加えられていました。発見されたSCP-1735-JP-Aの大まかな概要は以下の通りです。

SCP-1735-JP-A-25: 四肢、声帯、歯、舌、卵巣を外科的処置により除去されており、不明なメカニズムによって作動する生命維持装置が腹部に埋設されています。金属製開口具を装着されており、上下顎及び頭蓋骨に固定されています。頚部には「繁殖用」という文字と、「Demetrius」という識別コードが刺青されています。意思疎通が困難でありインタビューは実施されていないものの、脳組織のDNAからSCP-1735-JP-A-25は大西██氏であると考えられています。

SCP-1735-JP-A-26: 男性器が縮退の過程で維持されており未発達な女性器と共に併存しています。声帯、舌、歯、全ての指、卵巣を外科的処置により除去されており、女性器が外科的に整形、拡張されています。SCP-1735-JP-26の両瞼は発見された住居の所有者である████氏によって粗雑に縫合されており、その過程で眼球が損傷しています。不明なメカニズムによって作動する生命維持装置が腹部に埋設されています。頚部には「繁殖用」という文字と、「Chiron」という識別コードが刺青されています。意思疎通が困難でありインタビューは実施されていないものの、脳組織のDNAからSCP-1735-JP-A-26は寺之内█氏であると考えられています。

SCP-1735-JP-A-27: 耳介、声帯、歯、前腕、下腿を外科的処置により除去されており、舌が延長され茎突舌骨筋が人為的に切断されています。不明なメカニズムによって作動する小型の生命維持装置が腹部に埋設されています。頚部には「繁殖用」という文字と、「Aaron」という識別コードが刺青されています。意思疎通が困難でありインタビューは実施されていないものの、脳組織のDNAからSCP-1735-JP-A-27は竹中███氏であると考えられています。

これらのSCP-1735-JP-A群は2006年8月頃から各所に配置され、主に性的な目的で利用されていたものと考えられています。SCP-1735-JP-A群と性行為に及んだ対象の総数は不明であるものの、現在までにこれらのSCP-1735-JP-A群の周囲から、変態途上にある449名のSCP-1735-JP感染者、51体のSCP-1735-JP-Aが発見されています。これらの感染者のうち321名は二次、三次感染者であると考えられており明確な感染経路が不明な対象も含まれています。未特定の感染者が存在するものと考えられており、捜索が行われています。

これらのSCP-1735-JP-A群はSCP-1735-JPの感染コントロール成功例であることから、再建手術等の医療的ケア、安楽死処置は行わず研究対象として保護、収容を継続することが決定しています。運動機能は外科的処置により制限されているものの、これらSCP-1735-JP-A群の自傷、自死の試みを阻止することを目的として身体拘束下に置くことが倫理委員会により許可されています。

補遺1: 2008年1月17日、サイト-8191に拘留されていたPoI-3104がGoI-8101("日本生類創研")倫理審査委員会執行部工作員4名による襲撃を受けました。これらの工作員は偽装された職員IDを用いてサイト-8191に侵入し収容房へと到達した後、爆発物を用いてPoI-3104を殺害しようと試みました。保安職員によって対象は制圧されPoI-3104は避難させられたものの、PoI-3104収容房は爆発物によって破壊され収容機能を喪失しました。

確保された4名の工作員への強化尋問の結果、PoI-3104が財団に身柄を確保されたことを察知したGoI-8101倫理審査委員会が情報漏洩防止のための即時粛清を執行部へと指示していたことが判明しました。GoI-8101がサイト-8191の所在を認識しておりかつPoI-3104への積極的粛清に乗り出していることから、PoI-3104をサイト-8191に拘留し続けるのは安全上のリスクが大きいと判断され、19日付けで秘密裏にサイト-81██へと輸送することが決定しました。

2008年1月19日、PoI-3104は一般車両に偽装された小型輸送車でサイト-81██へと陸路で輸送されていました。午前3時15分頃、PoI-3104を載せた小型輸送車及び護送車両群は██県██████国道[編集済み]号線上を走行中に大型トラック4台、普通自動車3台による衝突を受け停止、横転しました。これらの車両の衝突は人為的な物であり、後の調査から用いられた車両は東京都、茨城県で盗難されていたものであることが判明しています。

この攻撃と同時に、輸送車と護送車両群は不明な勢力による介入を受けました。当該勢力は輸送に参加していた職員を攻撃し、その際に迅速にPoI-3104を確保、用意されていた普通自動車によって逃走しました。これらの勢力のうち逃走に失敗した9名が無力化、制圧されました。これらの対象は、全員がSCP-1735-JP感染のステージ5にある財団の掌握下にないSCP-1735-JP-Aでした。確保後に行われた尋問からどのような経緯で輸送計画を察知したのかは不明であるものの、これらのSCP-1735-JP-AはPoI-3104の奪還を目的として当該事案を引き起こしたものと考えられています。逃走に用いられた車両は、2005年11月21日に静岡県[編集済み]漁港の海中から発見されました。車両は意図的に海中へと遺棄されたものと見られ、内部にSCP-1735-JP-A群、PoI-3104に関連する物品は残されていませんでした。逃走したSCP-1735-JP-A群、PoI-3104の足取りは不明であり、捜索が行われています。

補遺2: 2013年9月6日、GoI-8101("日本生類創研")内の内通者から齎された情報にPoI-3104、SCP-1735-JPに関連する情報が含まれていました。当該情報はGoI-8101倫理審査委員会執行部が作成したPoI-3104の調査報告書であり、財団の察知していない情報が多く含まれていました。以下は回収された電子情報です。

イ号-5144-B報告書

日本生類創研倫理審査委員会執行部


要粛清対象概要
向井芳雄ウィルス学部門第██研究室元主任研究員(以下、要粛清対象と呼称。)は、2004年7月22日に[機密指定]において複数の標本を用いて意図的な生物災害を引き起こし、その際に高度機密情報を含む情報の持ち出し、各種財産の持ち出し等の倫理規定に違反したものである。当該の事案により、21名の死者、39名の重軽傷者が生じ、事態の鎮圧までに2日を要した。日本生類創研倫理審査委員会の決定により、2004年7月26日を以て高優先度の要粛清対象へと指定された。要粛清対象は、当該事案の際に持ち出した「き-V-0071」標本を元として人工的なレトロウィルス(識別名 アンドロニカスウィルス)を作成し、利用していることが確認されている。

2007年9月には監視対象団体である[機密指定](財団)に逮捕・拘留されており、倫理審査委員会は機密情報漏洩の危険性から早急な粛清を指示していた。財団研究施設に潜入した執行部員により第一次粛清作戦が実施されたものの失敗、作戦参加者のうち4名が行方不明となっている。その後、要粛清対象は外部のアンドロニカスウィルス感染者による幇助を受け財団の拘留下から逃走、以降は[機密指定]の島嶼である[機密指定]に拠点を構築し、297体(推定)のアンドロニカスウィルス感染者と潜伏している。当該拠点には2004年7月22日に持ち出された技術を由来とする有機的兵器群が存在しており、攻略が難航している。

当該島嶼拠点への作戦行動は現在まで二度行われているものの現在まで要粛清対象の粛清、確保、アンドロニカスウィルス研究データの確保には至っていない。第二次粛清作戦においては要粛清対象に対して、粛清を回避することを条件に拘束下に入ることを勧告したものの、決裂した。要粛清対象は精神障害的傾向にあり、交渉に際しては「家族との時間を邪魔しないでほしい」旨を頻繁に述べていたものの大部分は支離滅裂であった。これにより交渉による身柄の確保は困難と見なされ、要粛清対象は即時粛清対象として再指定されたものである。

当情報では、詳細は不明であるものPoI-3104がいずれかの島嶼に拠点を構築し、多数のSCP-1735-JP-Aと潜伏していることが示されています。加えて、GoI-8101がPoI-3104の粛清に際してSCP-1735-JPの研究データの奪取を試みていることも示されています。GoI-8101がSCP-1735-JPに関連する研究データを獲得した場合、SCP-1735-JPの研究を応用した異常存在開発に利用される可能性が高いと考えられています。PoI-3104、GoI-8101双方の異常活動に対する警戒のため、更なる調査が求められます。

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