SCP-1745
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旧式のカメラで撮影された、既知の範囲で最も新しいSCP-1745の画像

アイテム番号: SCP-1745

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1745はゾーン-1745の敷地内に収容されなければなりません。SCP-1745の1km範囲内にはいかなる電子機器を持ち込むこともあってはなりません。ゾーン-1745の中心から10km離れた円上に、20台の無線発信装置を配置しなければなりません。常時、SCP-1745から最も古いユニットが発信し、それ以外の全てのユニットは沈黙させなければなりません。望遠鏡及び人工衛星によるSCP-1745の監視を継続しなければなりません。SCP-1745が脱走した場合即座にゴルィニチ1-A事案実行が発令されます

説明: SCP-1745は実体を持たないソヴィエトのヘリコプターです。外見上は Mil Mi-24D (NATOによる「ハインド」の呼称でも知られる) と同一ですが、完全に実体を持たず、あらゆる物理的障害を自身も障害物にも影響を与えず透過できるようです。質量を持たないにもかかわらず、視認できる原因は明らかにされていません。加えて、SCP-1745は継続的に、未知の音源から、同一の製造された正常なヘリと同一の駆動音を発します。外見上のコンディションはひどいダメージを受けた状態 (ただし飛行・操縦には影響がありません) から綺麗な状態へと変動します。

SCP-1745の存在は半径約300m以内の電子回路に即座にダメージを与えます。そのダメージの正確な原因は不明で、一般に深刻なオーバーヒートの兆候を示していると見られます。このため、近距離での電子機器による観察、記録、試験は一般に不可能です。

SCP-1745は人工的な無線信号に惹きつけられるようです。対象がどのように信号が人工物かどうかを判断するのか、そして信号の内容を解読・理解しているのかは明らかになっていません。SCP-1745のこの性質により、現在の収容手順の実施が可能となっていますが、明確な危険も存在します。民間人の居住地域に引き寄せられる傾向があり、破壊不可能で実体を持たない性質、そして電子機器への悪影響のため、SCP-1745の脱走はRKクラスのテクノロジー崩壊を引き起こす可能性があります。

SCP-1745は一連の潜在的な脱走事件を承けて1994年にロシアの連絡員[編集済]によって財団の管理下へと移送されました。それまでにGRU "P" 部局によって考案されていた収容手順を財団職員が引継ぎ、SCP-1745に関する1994年以前の履歴に関する文書を見返りに入手しました。現在、SCP-1745は1979年に[編集済]で撃墜されたGRU "P" 部局のエージェントが操縦していた Mil Mi-24D が起源であると考えられています。当時の[編集済]とソ連間の敵対により、攻撃標的がGRU "P" 部局のものと特定できなかったためです。事故により搭乗員のうち生存者はいませんでしたが、チタン製の容器に入っていた一連の文書が回収されました。以下はその文書の抜粋です (ロシア語からの翻訳)。

1979/██/██の記録: 品物が今日届いた。類のない無機化合物だ。ケイ素、マグネシウム、鉄……、衝突クレーターの軌道は解析中だ。音声記録によると、衝突は0523時に起こったに違いなく、その起源についておぼろげな考えしか得られない。いずれにせよ、一連の試験だけでは対象の異常さについては全く明らかになっていない。我々はそれを第一保管庫へ移動した。

1979/██/██の記録: 奴らがどんなたわごとを言っているのかは知らない。今朝は区画内でホタルが野放しになっていると言って起こされた。聞いているあいだ、「なんで私がそんなことを?」と「ここにホタルがどうして?」と言うしかなかった。私は全域の捜索を命令した。研究室も、宿舎も、食堂にもいなかった。だが皆ここにいると確信しているようだ。だから彼らは装備に被害あることに気づいてないと確信した。3台の電算機の回路が焼け、誰もその理由を言えない。始めにありふれた小惑星があって、今はこれだ。こんなことが続くようなら閉鎖すると司令部は言っているようだ。この部署と道化師の群れに私を配属したクソ野郎どもを罵った。

また電子顕微鏡が1つ壊れた。くそったれ!

1979/██/██の記録: そうだな、彼らに謝らなくては。だが他にもっと言うべきことがある。我々はそいつをコミュニケーションセンターで発見した。それはまさしく浮遊している光球だった。全く質量がないようだが、試験することはできない。触れようとしたが、そいつは狂暴になり、備品が燃えるところだった。コミュニケーションルームを破壊せしめるゆとりはないので、一時的に部屋から退去するよう命令した。まったくめちゃくちゃだ。

1979/██/██の記録: これで設備が破壊されたことの説明がつく。危険に陥ったときだけ、そいつは激昂するようだ (あるいは、そいつが危険に陥ったと判断した時に)。そいつの周りでは慇懃に、注意深く振る舞う限りは何も問題はなく、むしろ友好的で、通り過ぎる職員の上に浮かび上がったりしさえする (普通、あらゆるテストにおいて人をそいつに接触させたが、反抗的な行動の兆しは見られなかった)。そいつの「体」は暖かく感じられ、摂氏45度くらいのようだ。職員はまだそいつをホタルと呼んでいる。こいつは小惑星からやって来たのか……?それを知るすべはないが、つじつまは合う。たぶんこの騒動は全く意味のないものだった。

1979/██/██の記録: 新発見だ。あいつは無線信号に惹きつけられる。あいつがコミュニケーションルームから離れない理由がそれだ。なぜかは説明できないが、人工の無線信号にのみ引き寄せられるようだ。これについて応用可能性を調査したが、未だ大きな成果はない。司令部は残骸では満足しないが、このホタルの発見は少なくとも興味をひく。活用方法を発見できなければその興味を長続きしないだろう。

無力化命令を送ってこないことを願う。

1979/██/██の記録: 応用研究はどこにも行き着いていない。職員たちがあいつを甘やかしていることがいくらかの妨げになっているし、避けようのない娯楽でもある。あいつには誰にとってもその効果がある。私は遅くまで仕事をして、デスクで眠りに落ちた。私は眠の中で上下して、そして目覚めた。私は少なくとももう1時間起きていて、明るい、温かい中に座っていた。仕事をせず、ただ座っていた。あいつが私に寄りかかっているようだった……眠っているのか?あいつは子どもなんだろう。あいつはたぶん、無線信号に何か意味があるのだと認識したから聞いていたのだ。まったく現実的ではないが、昨夜あいつは私のところへ来たのだ。あいつは誰かが本を読み聞かせているのを聞いているようだと思った。

1979/██/██の記録: 本日、司令部から「ホタル」を持ってくるように命令を受けた。誰もあいつが行ってしまうのを見たくはなかったし、私もそれを責めることができない。あいつはここで我々を楽しませてくれる唯一の存在だった。後で考える時間はたくさんある。ここに現れた理由、私がこの部署に配属された理由……、全く思い出せない。つまり、「なぜ」は知っているがなぜかは分からないということだ。あのホタルの奴はこんなふうに悩んだりしないんだろう、たぶん悩んだりしない。それはいいことに違いない。私はただそのように感じた……物事がより単純になった。なぜなにもかもが複雑でなければならないんだ?なぜ何事にも段階が要るんだ?段階とは何を意味するんだ?

わたしたちはここでなにをしてるんだ?

ヘリが輸送していた異常物体は残骸から回収されておらず、破壊されたものと考えられます。文書中で言及される研究区画は未知の勢力により破壊されました。GRU "P" 部局の部隊が回収した地球外の物体は行方不明のままです。

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