SCP-1746-JP
評価: +51+x
blank.png

アイテム番号: SCP-1746-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1746-JPは死亡しています。特別収容プロトコルを含む以下の文書は、GoI-8102により同様の異常性を持つ実体が製造された場合を備えアーカイブされたものです。

SCP-1746-JPはエリア-81JHの人型用収容室に収容されます。SCP-1746-JPが異常性を行使した場合、収容室へ制圧用催眠ガスを放ち、SCP-1746-JPを制圧してください。SCP-1746-JPが発生させたSCP-1746-JP-Aは即座に終了してください。

説明: SCP-1746-JPはGoI-8102「広域指定暴力団東栄會1直系"有村組2"」構成員麻生英司あそうえいじです。モンゴロイド系男性であり、50歳程度と評価される外見的特徴を持ちます。ただし、SCP-1746-JPの実年齢は1980年当時22歳であり、外見的特徴と実年齢の乖離はSCP-1746-JPの異常性に由来します。

SCP-1746-JPは任意に自身と同様の遺伝子情報を持つ人型実体(SCP-1746-JP-Aと呼称。)を発生させます。SCP-1746-JP-Aは障害物の存在しない空間に予兆なく瞬時に発生します。SCP-1746-JP-Aは自律的に行動し、行動パターンはSCP-1746-JPと類似すると評価されています。SCP-1746-JP-Aの認識した情報は、不明な原理によりSCP-1746-JPに伝達されます。また、SCP-1746-JPがSCP-1746-JP-Aを発生させる度に、SCP-1746-JPに老化が観測されます。財団の調査により、1体のSCP-1746-JP-Aを発生させる度に約1か月分程度老化することが判明しています。

SCP-1746-JPの来歴について調査を行った所、SCP-1746-JPが有村組の構成員となる以前の写真や映像では、SCP-1746-JPの異常な老化は確認できません。SCP-1746-JPの持つ異常性は有村組により後天的に付与されたと考えられています。SCP-1746-JPに対し、異常性の来歴に関するインタビューを行っていますが、SCP-1746-JPは黙秘を続けています。

追記: ████/██/██に発生したインシデントによって、SCP-1746-JPが死亡した場合、SCP-1746-JP-Aは消滅することが判明しました。詳細は補遺.2を参照して下さい。

補遺.1: 発見

民間保険会社"████████"から支払われた多額の保険金が、複数の口座を経由し有村組へ振り込まれたことが財団の注目を集めました。保険会社の職員に対し財団がインタビューを行ったことでSCP-1746-JPの存在が明らかになりました。以下は財団の諜報活動の結果明らかになった上記イベントのタイムラインです。

日付 内容
3/2 SCP-1746-JPが"麻生寝具"という架空の布団販売業者を名乗り、民間保険会社"████████"埼玉営業所へ訪問販売を行う。この時SCP-1746-JPは████████埼玉営業所に所属する女性販売員達の名刺を収集している。なお、この時SCP-1746-JPが販売した寝具類は異常性の無い市販品であることが判明している。
3/9 SCP-1746-JPが83体のSCP-1746-JP-Aを発生させる。これに際してSCP-1746-JPは83人分の戸籍を不正に入手し、83人分の銀行口座を作成している。口座作成の際に利用された住所情報は有村組所有の集合住宅だった。
3/11 SCP-1746-JPが収集した名刺を頼りに女性販売員に直接接触する。その際、SCP-1746-JPは女性販売員に対し、寝具類の購入と交換条件に複数件の保険の契約を行う取引を持ち掛けている。販売員女性はこの取引に応じ、寝具類5セットの購入と83件の生命保険契約を販売した。
3/12 SCP-1746-JPは上記販売員女性の紹介で、上記販売員女性と同班の販売員女性3名に接触。上記販売員女性と同様の取引を行った。
6/28 83体のSCP-1746-JP-Aが様々な死因で死亡する。後の調査で、いずれも不慮の事故に偽装された有村組による工作であることが判明しているが、当時の警察は事故として処理した。
7/2 不審に思った████████本社により、保険支払いに際する調査が行われるが、異常な事柄を発見できなかった上、有村組により脅迫が行われたため████████は保険金を支払ってしまう。この保険金は複数の口座を経由し、有村組組長"有村 香澄"の個人口座に振り込まれている。
7/2 財団諜報部がこのイベントを認知。

SCP-1746-JPへ生命保険契約を販売した女性販売員は財団のインタビューに対し、『架空口座を利用したバーター商法だと思い、販売実績確保のため班全体で利用した。』と説明しています。1980年当時の日本国では本人確認法3が制定されておらず、架空口座を利用した脱法行為が横行していていました。女性販売員は有村組以外の組織と、上記法の不整備を利用した取引を過去に複数回行っており、SCP-1746-JPとの取引に特別な不審感を抱かなかったと証言しています。

財団諜報部の調査により、SCP-1746-JPは同様の手口を複数回利用し、多額の保険金を受け取っていたことが判明しています。この保険金は有村組に上納され、有村組の行う抗争に利用されました。有村組はこの功績を根拠にSCP-1746-JPを若頭補佐に昇格させています。有村組は財団によるSCP-1746-JPの収容を警察による逮捕と誤認しているため、法的な手続きによりSCP-1746-JPの釈放を求めています。

補遺.2: インシデントとSCP-1746-JPの死亡

SCP-1746-JPが脱走し、死亡するインシデントが発生しました。SCP-1746-JPは1988年に完成したエリア-81JHに移送されており、エリアに備え付けられた収容違反防止設備と鎮圧機動部隊によって重大なインシデントには至りませんでした。以下は発生したインシデントのタイムラインです。
時間 内容
20:18:33 SCP-1746-JPが首元を抑えて苦しんでいるのを巡回中の警備職員3名が発見する。
20:19:01 警備職員が収容室の扉を開く。
20:19:07 大量のSCP-1746-JP-Aが発生し警備職員を攻撃する。後の調査でSCP-1746-JPのバイタルサインは安定していたこと明らかになっており、芝居であったことが判明している。
20:19:08 SCP-1746-JPがSCP-1746-JP-Aを残し出口方面へ走る。
20:19:24 警備職員室の職員により、人型実体収容区画に対する隔壁封鎖が実行される。
20:19:26 SCP-1746-JP-Aが新たに大量に発生し、隔壁に挟まることで封鎖を遅延させる。
20:19:30 SCP-1746-JPが人型実体収容区画を突破、非常階段を登り1Fへ侵入する。
20:20:12 天陽管理官により鎮圧機動部隊へ出撃命令が下される。これと同時にケースB収容違反に伴う全区画隔壁封鎖が実行される。
20:20:28 全区画の封鎖が完了。
20:22:31 SCP-1746-JPが1Fへ到着、低危険度オブジェクト第1収容区画に侵入する。待機していた鎮圧機動部隊ブレイズ-31、ブレイズ-32、ブレイズ-33に包囲される。
20:22:49 大量のSCP-1746-JP-Aが発生。機動部隊と交戦を開始。
20:23:37 区画一面にSCP-1746-JP-Aが発生し、鎮圧機動部隊ブレイズ-31、ブレイズ-32、ブレイズ-33が制圧される。
20:24:00 低危険度オブジェクト第1収容区画の7番隔壁と23番隔壁が解放され、新たに鎮圧機動部隊ブレイズ-08、ブレイズ-09、ブレイズ-10、ブレイズ-11、ブレイズ-34、ブレイズ-35、ブレイズ-36が投入される。
20:24:22 SCP-1746-JP-Aの死体を盾にSCP-1746-JP-Aが突撃を実行。23番隔壁方面に展開したブレイズ-34、ブレイズ-35、ブレイズ-36が突破される。SCP-1746-JPが低危険度オブジェクト第4収容区画へ侵入。
20:24:30 SCP-1746-JPに激しい老化の兆候が見られ、運動量が低下しているのが確認される。
20:24:49 ブレイズ-08、ブレイズ-09、ブレイズ-10、ブレイズ-11、ブレイズ-34、ブレイズ-35、ブレイズ-36が低危険度オブジェクト第4収容区画へ到着。
20:24:50 全区画に鎮圧ガスが散布される。
20:24:52 再び大量のSCP-1746-JP-Aが発生する。ガスを積極的に吸い込む挙動が確認される。
20:25:11 鎮圧機動部隊がSCP-1746-JP-A群と交戦開始。更に大量のSCP-1746-JP-Aが発生する。
20:25:24 大量のSCP-1746-JP-Aが発生する。発生する実体の外見的特徴が激しく老化しているのが確認される。
20:26:58 全てのSCP-1746-JP-Aが消滅する。SCP-1746-JPの死体が確認される。SCP-1746-JPの死因は老衰だった。
20:27:10 ブレイズ-08の隊員によってSCP-1746-JPの死体が回収される。

インシデント発生から2日後に、SCP-1746-JPの実母が心筋梗塞により死亡したことが報告されました。SCP-1746-JPの実母は奈良県山間部の一軒家に独居しており、在宅中に心筋梗塞を発症しましたが、匿名の存在により通報され、県内の███総合病院へ搬送されていました。また、SCP-1746-JPの実母の自宅には、2人分の食事が用意されていたことが確認されています。これらの不審な現象の背景にはSCP-1746-JPが存在していると推測されており、SCP-1746-JP-AがSCP-1746-JPの実母と同居していたと考えられています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。