SCP-1747-JP
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アイテム番号: 1747-JP
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
warning

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SCP-1747-JP実例のDVDケース。

特別収容プロトコル: 発見された全てのSCP-1747-JP実例は、サイト-43の大規模収容倉庫の棚番号#23~28内に保管されます。一般職員のSCP-1747-JP及びその複製の直接的閲覧はいかなる場合でも禁止されます。

財団AIC.Charonはインターネット、特にSNSやディスカッションを監視しSCP-1747-JPに言及した投稿を抑制します。SCP-1747-JPを所有していることが判明した民間人は所有に至った経緯をインタビューした後、アノマリーの回収並びに適切な記憶処理を行います。現在、相当数のSCP-1747-JPが民間に流通していることが推定されており、アノマリーの流通経路を特定する試みが進行中です。

説明: SCP-1747-JPはGoI-5889 (“ヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディア”) によって製作・配布され、“広がる”と題されたホラー映画を収めた媒体です。

SCP-1747-JPはVHSテープ及びDVDのもの両方が確認されていますが、描写された映画が公的に上映された記録は存在しません。映画内に登場する俳優や舞台は未知のものであり、これらに関する情報は一切判明していません。DVDケース等にクレジット表記は記載されていません。

全ての実例でSCP-1747-JPの映画の内容は同一です。SCP-1747-JPの再生を開始すると、黒い画面に白い文字で、当該映画が18歳未満の人物による視聴に適していないという旨の警告文が13秒間流れます。その後以下のメッセージが画面上に表れます。

この映画は実話に基づいています。
放送に適さないと考えられたシーンも製作者の意志を尊重し、表現を無修正でお送りいたします。
よく目を凝らしてください。もしかすると、冷蔵庫の暗い隙間に、マンホールの裏側に彼らが潜んでいるかもしれません。
その時がもうすぐ訪れます。
外を注意深く警戒してください。

メッセージが画面から消失すると同時に映画本編の放送が開始されます。映画内容はパンデミックテーマのゴア/ボディホラーのジャンルに分類されます。1しかしながら、映画の視点は名称が明かされない不特定多数の男女や動物から脈絡なく変化し、頻繁に時系列が移動する他、脈来のないセリフがたびたび挿入されるため、プロットの全容を把握することは困難です。映画内の舞台は“それ”として知られる感染症、あるいは寄生存在によって危機に瀕しているようであり、登場人物たちは“それ”から身を守るべく山奥や孤立した避難所で生活しています。しかしながら、作中で登場人物たちは不注意や油断、偶然が重なった結果引き起こされた災難によって“それ”に感染、何らかの形で死亡します。2映画は最後の登場人物である中年男性が自身の感染の事実を確信し絶望した場面で突如として終了します。エンドロールでは何かが滴り落ちる音と共に、黒塗りされた俳優やスタッフの名前が6分37秒に渡ってスクロールします。

映画本編3を2分以上に渡って連続で視聴した人物は、アノマリーの異常な影響に曝されます。被影響者は映画内で描写された事象及び物事が、これから発生しうる現実の出来事を描写していると確信します。大多数の被影響者は映画内容を終末論的な“預言”と考え、これを近い未来における基本的前提と見做します。これまで行われたあらゆる科学的事実に基づいた説得は被影響者の異常症状を逆転させるのに不十分でした。

補遺.1: SCP-1747-JPの最古の関連記録は1999年2月8日に発生した、アメリカ合衆国モンタナ州ミズーラのパニックにまでさかのぼることが可能です。同時期、当該地域に居住していた民間人の一家が不明な経路でSCP-1747-JPに感染し、“ノストラダムスの予言”にまつわる言及で近隣住民らとのトラブルを引き起こしました。警察機関に潜入していたエージェントにより、SCP-1747-JPは押収され全ての関係者に記憶処理が適応されました。この時点ではSCP-1747-JPは単一の異常存在として考えられていました。

2007年頃、インターネット上のディスカッションでSCP-1747-JPについて言及したと推定される投稿が確認され始めました。投稿のいくつかはSCP-1747-JP内の映画の複製が含まれており、機動部隊ミュー-4 ("デバッガー")の出動を必要としました。これ以後、インターネット上にSCP-1747-JPの言及が見られましたが、これらは極めて小規模かつ閉鎖的なものであったため、低優先度の事項として扱われていました。

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Twitterに投稿されたSCP-1747-JP関連投稿。投稿には上記の画像と共に“今起こってることの真実”という文章が付与されていた。

2019年の新型コロナウイルス感染症 (COVID‑19) のパンデミックは前例のないSCP-1747-JP情報の拡散をもたらしました。2019年12月18~20日、Twitter上にSCP-1747-JP映画の複製が256件投稿され、全てが財団AICによって削除されるまでに動画は最大で14万回再生されました。当該動画を2分以上視聴した人物の総数が未特定のため新規の被影響者の規模は不明ですが、SCP-1747-JPの存在が不特定多数に露見することとなりました。2019年12月21日、SCP-1747-JPの収容クラスはEuclidからKeterにアップグレードされました。

これ以後映画に関連した陰謀論系コミュニティの活性化が顕著になりました。初期においてはインターネット上に存在していた映画の複製や言及が参照され、映画における“それ”の地位を確定させるための議論が開始しました。約一週間後、“それ”の“寄生虫説”が大多数の意見によって否定され、少数派はディスカッションからBanによって追放されました。

情報規制プロトコルに伴うサイトの閉鎖にも関わらず、インターネット上の被影響者らは新たなサイトの作成や4chへの議論の移行という形で一定の影響力を保ち続けました。相次ぐサイトの閉鎖によって陰謀論の議論の中では“政府内の秘密機関によってウイルスが拡散されているため、情報の封じ込めが行われている。”といった説が主流となり始めました。同時に少数派である“寄生虫説”支持者の中では“病原体説”支持者は政府が雇用している工作員であるという意見が広まりました。

2020年1月6日、武装した被影響者の一団によってサイト-43が襲撃されました。これによって職員と被影響者の中で戦闘が発生し34名が軽傷、5名が重傷を負いました。被影響者の尋問によると“ヴァル・クール”という人物によって、サイト-434内でウイルスの製造が行われていることが告発されたためであると主張しました。その後の調査で“ヴァル・クール”はTwiterに存在する陰謀論を主張するアカウントの一つであると特定されました。“ヴァル・クール”が何らかの予知能力者、もしくは全知能力実体である可能性が指摘されたため、財団渉外部門はTwitter, Inc.と交渉し、当該アカウントを削除させるよう指示しました。しかしながら、システム上に未知のエラーが発生し続け削除の試みは失敗しました。

数時間以内にサイト-43襲撃の情報がインターネット上で拡散され、情報規制のため機動部隊ガンマ-5("燻製ニシンの虚偽")が要請されました。ガンマ-5は大多数の物理的証拠を隠蔽することに成功したものの、“ヴァル・クール”が襲撃に関連した情報を投稿し続けたため、作戦は襲撃の情報を大多数の民間人にフェイクニュースと認識させる方針に変更されました。サイト-43内のアノマリーの一部は暫定的にサイト-5に移送され、施設の修復が開始しました。

襲撃後、“ヴァル・クール”は陰謀論の中心的存在となりました。ディスカッションでは“ヴァル・クール”の投稿が頻繁に引用され、この人物が“病原体説”支持者か“寄生虫説”支持者かという議論も巻き起こされました。以下は“ヴァル・クール”の投稿からの抜粋です。




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補遺.2: 以下は情報規制の一環によって行われたSCP-1747-JPの被影響者へのインタビューです。

インタビュアー: ローレン・グレーバー博士
インタビュー対象: リチャード・アンソン
付記: インタビューはアンソンの自宅で行われた。


[記録開始]

[映像が開始する。グレーバー博士はアンソン氏の自宅のインターホンを鳴らす。]

グレーバー博士: こんにちは。アンソンさんは-

アンソン: [インターホン越しに] 何もんだ?

グレーバー博士: グレーバーという者です。お話に参り-

アンソン: じゃあこれを言えるはずだよな。“全ての星は”なんだ?

グレーバー博士: 何をおっしゃっているのか分からな-

アンソン: お前がグレーバー本人なら知ってるはずだ。確かに送ったぞ。

[グレーバー博士は何かを思い出した様子で鞄からスマートフォンを取り出し、それを操作する。]

アンソン: 10秒間待ってやる。お前が政府の手先だと分かった暁には俺のグロック17が火を噴き-

グレーバー博士: “50の光を放つ”、ですよね。

アンソン: ん、その通りだ。あー、今ドアを開ける。

[30秒程度経ってアンソンによってドアが開けられる。]

グレーバー博士: さっきのは何だったんですか?

アンソン: 暗号だ。俺らはクソの世界政府と戦争してんだぜ。いつ奴らの捜査員が来てもおかしくねえ。

グレーバー博士: 事前に今日訪問すると連絡したはずですが。

アンソン: 万が一ってことがあるだろ。歓迎するぜ、入ってくれ。

[アンソンとグレーバー博士は玄関を抜け、廊下から居間へと移動する。アンソンはソファに座りグレーバー博士に対面の椅子に座るよう勧める。]

グレーバー博士: ありがとうございます。早速ですが質問を始めてよろしいですか?

アンソン: ああ、俺らのやってることを大衆に知らしめてくれ。5ぼかすのは抜き、全部語るさ。

グレーバー博士: まず、あなた方のグループはどういう過程によって結成されましたか?

アンソン: 俺はあの騒動以前はつまらねえ生活をしてた。騒動ってのはコロナ菌のことだがな。感染がヨーロッパで広がってた時に、4chでちょっと調べ事してたんだ。そしたら、とある動画を挙げてる奴がいて、それが始まりだったね。

グレーバー博士: 動画とは?

アンソン: まあCG使ったグロ系ドラマだか映画なんだがそういうことは重要じゃない。すぐに分かったさ、これが世界の真実なんだってな。今広がってるウイルスはまさしくこれだ。何十年も前に今起こってる黙示録を予言してる人間がいたってことよ。そこからすぐにTwitterのアカウントを作って、ウイルスの情報を広めることにしたんだ。結構な人数が真実に気づいてくれたぜ。まあ、テレビのニュースしか信じられない残念な頭の奴も多かったがな。

グレーバー博士: それで他の仲間と交流し始めたのですね?

アンソン: そうだ。イルミナティが計画してる“ワールドリセット”の計画とか、パキスタンのウイルス製造工場とか新しい発見が毎日のようにある! 思えばTwitterでも4chでも皆忙しくしてるな。世界には凄い奴らがいっぱいいるってことを知ったよ。

グレーバー博士: なるほど。あなたとしては今起こっているパンデミックをどう考えていますか?

アンソン: コロナは世界政府が画策しているビッグプロジェクトの一部だ、間違いねえ。世界中の限られたエリートは文字通りの意味で大衆に終末をもたらそうとしてるんだ。奴らは神になろうとしてる。メディアも全部コントロールされてるんで、マスクだのワクチンだの無意味どころか害になることしか言わねえ。世界中の大統領さえも洗脳されてるか、既にアンドロイドに成り代わられてる。総動員で大衆の目を曇らしてる。

グレーバー博士: そうですか。ところでアンソンさんは“ヴァル・クール”という人物についてご存じですか?

アンソン: おお! “ヴァル・クール”を知ってんのか?

グレーバー博士: ええ、それなりの有名人ですよね。

アンソン: 現代の英雄だよ。あいつが現れてから俺たちの視界はよりクリアになった。勤勉で頭のいい奴だ。何しろ今起こってる問題をその辺のガキに学ばせるかのように教えてくれる。あれなら俺らより真理に近づいてない奴でも事の重大さを理解できるだろ。あいつの言葉を教科書に載せるべきだと俺個人としては思うね。

[グレーバー博士は無言でメモを取る。]

アンソン: そうだ! 倉庫に奴らの工作員を倒すための武器を作っておいてあるんだ。アンタの新聞に作り方を載せといてくれ、大衆が身を守るための手段として。

グレーバー博士: ありがとうございます。拝見させていただきます。

アンソン: 最近は倉庫が小さく感じるんだ。近々核シェルターを買おうと思って-

[2時間17分の記録を省略]


後書: アンソンには記憶処理が適応された。

補遺.3 2020年4月13日、“ヴァル・クール”によって以下の内容が投稿されました。




Valkool
@valkool_tome

皆さん現実のリアル・リアリティ・ゲーム6をお楽しみでしょうか? 我々、“ヴァ”ル-“ク”ール7は遂に初のイースターエッグを用意する準備を整えました!

追加コンテンツ: “広がる シーズン2 より良いアイデアはより広まる” 

Coming Soon…

  • リツイート 4.3万
  • いいね 6.2万

“ヴァル・クール”はこれ以降いかなる投稿も行っていません。これはSCP-1747-JP被影響者の動向に変化をもたらさず、依然として被影響者は“ヴァル・クール”を最重要人物として扱っています。

監督評議会は包括的分析の結果として現在のCOVID‑19パンデミックの起源にヴィキャンデル=ニードが関与していないことを結論付けました。

SCP-1747-JPの続編の調査が進行中です。

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