SCP-1752-JP
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アイテム番号: SCP-1752-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 高知県内で火災が発生した際にはエージェントを派遣し、SCP-1752-JPを目撃した人物がいる場合は記憶処理を行います。高知県に限り消火活動の際に余裕をもって多めに人員の派遣を行うよう消防署に規定します。また、完全な収容方法の確立のためSCP-1752-JPの研究が進められています。

説明: SCP-1752-JPは戸籍に土井佳代子と登録された、64歳住所不定の日本人女性です。遠隔からの非接触分析の結果、SCP-1752-JPは後述の異常性を除いて一般的なヒトとの身体的な差異、戸籍や経歴における明らかな異常は確認されていないことが判明しています。

SCP-1752-JPは日本の高知県内の住居火災が発生している場所に稀に出現します。出現の後SCP-1752-JPは火災の発生している住居への侵入を試みますが、その際に住居内部に自身の息子が居る旨1を発言、及び強い興奮状態を示します。SCP-1752-JPによる侵入の試みはこれまでの出現事例において全て消防士の付近で行われているため、制止により侵入に成功した事はありません。SCP-1752-JPの出現、消失は確認できておらず、火災が発生していない地点での目撃例も存在しません。

結果として、SCP-1752-JPの行動は消火活動の妨害に終始しており、突発的に出現/消失する他に異常性は確認されていません。またSCP-1752-JPの息子と思われる人物が発見された例、及び戸籍上SCP-1752-JPに息子が存在していた事実は確認されていません。しかしながら、SCP-1752-JPの出現事例が財団が調査を開始した2020年から2年間の内に38件と多数確認されていることから、何らかの異常性が存在すると予測されています。SCP-1752-JPの目的、異常性の具体的な調査が現在進行中です。

出現記録1752-JP: 以下に示すのは、SCP-1752-JPの出現事例の抜粋です。全ての事例において出火原因は非異常であることが判明しています。
  火災発生場所 日時 備考 出火原因
事例1752-JP-1 高知県須崎市豊浦-24 2020/12/11 当該住居の住人2名は生存 石油ストーブの故障
事例1752-JP-2 高知県四万十町船岡-2丁目7 2021/2/1 当該住居の住人5名は生存 コンロの火の消し忘れ
事例1752-JP-3 高知県黒潮町元山田-231 2021/4/30 当該住居の住人4名の内1人死亡 タバコの消し忘れ
事例1752-JP-5 高知県宿毛市小谷-11 2021/5/21 当該住居は空き家 たこ足配線による漏電
事例1752-JP-9 高知県四万十市脇田-3の5 2021/9/7 当該住居の住人11名は生存 不明
事例1752-JP-11 高知県仁淀川町若葉台-99 2021/11/6 当該住居の住人6名は生存 タバコの消し忘れ
事例1752-JP-16 高知県いの町桜ケ丘-1丁目34 2021/11/30 当該住居の住人2名は生存、延焼した隣家の住人3名も生存 野焼き
事例1752-JP-21 高知県大川村私市-北56 2022/1/14 当該住居は空き家 タバコの消し忘れ
事例1752-JP-22 高知県香美市幸田-サンライズ幸田202号室 2022/3/1 当該住居は空き家 電気ストーブの故障
事例1752-JP-25 高知県室戸市室戸中央-1 2022/6/8 当該住居の住人1名は生存 放火
事例1752-JP-28 高知県安芸市西青木-23 2022/6/11 当該住居の住人1名が死亡 放火
事例1752-JP-38 高知県高知市遠藤-110 2022/12/28 当該住居は空き家 不明

インタビュー記録: 以下に示すのは、2022/12/19に出現したSCP-1752-JPに対して財団が行ったインタビューの記録です。SCP-1752-JPの異常性の解明に有用な情報を含んでいると考えられており、当報告書が作成された時点で調査チームが解析を行っています。

インタビュー記録1752-JP,2022/12/19

インタビュアー: 江村博士

対象: SCP-1752-JP

備考: 江村博士は警察関係者を装ってインタビューを行っています。また、SCP-1752-JPの興奮状態を抑えるため、精神安定薬を投与してからインタビューは行われました。


«記録開始»

江村博士: 落ち着きましたか? 土井さん、大丈夫ですか?

SCP-1752-JP: え、ええ。なんとか。

江村博士: 私たちは警察の者です。これからあなたにいくつか質問をしますが、あなたが何かの容疑にかけられているとか、そういったものは一切ないので、安心してください。よろしいですか?

SCP-1752-JP: は、はい。

江村博士: 今回の火事について聞きたいのですが、あなたは火事の時何をしていましたか?

SCP-1752-JP: ええ、買い物を終えてちょうど家に帰っているときでした。そうしたら、家の周りに消防車が止まっていたから、何が起こったのか見ようとして、あの、火事を見つけました。

江村博士: それで、あなたの家が火事になっていることが分かったと。

SCP-1752-JP: はい。それで、家では息子が留守番していたはずなので避難できているか周りを探しました。ですが、(少し沈黙)ですがどこにもいなくて、まだ家の中にいると思って。

江村博士: なるほど、だから家に入ろうとしたんですね。でも、家の中は火で危険なのにどうして入ろうとしたのですか?

SCP-1752-JP: すいません、頭が混乱して、何が何だか分からなくなっちゃって。

江村博士: そうですか。混乱していたから、消防士の制止にもかかわらず、入ろうとしたというわけですね。

SCP-1752-JP: はい、すいません。で、でも、息子は無事なんですか?

江村博士: その件についてですが、残念ながら鎮火後もあなたの息子という人は見つかっておりませんし、遺体も発見されていません。

SCP-1752-JP: そんな! そんなわけありません。息子は家の中にいたんです。信じてください。私のたった一人の息子なんですよ。知っていますよね? ね?

江村博士: そもそもですが、あなたに息子さんがいたという事実はこちらで確認できていません。むしろこちらから聞かせてください。本当にあなたに息子さんはいるんですか?

SCP-1752-JP: (5秒沈黙)もちろんですよ。そちらはちゃんと調べたんですか? 適当に調べただけじゃないんですか? あ、本当はあなたたちが隠してるんじゃないですか? その部屋! そこの部屋に閉じ込めてたりするんじゃ

江村博士: そんなことはありません。隣室にいるのは警察官だけですよ。では、加えて聞きますが、今回火事の起こった家は本当にあなたの家なのですか?

SCP-1752-JP: 家? 何を言ってるんですか? 馬鹿なこと言わないでください! あそこは、私と息子がずっと暮らしていたところですよ! 馬鹿! 阿呆!

江村博士: ではさらに重ねて聞きますが、あなたは今回の火事以外にもいくつかの事例で同様に火事の家に侵入しようとしていたことが分かっています。それらは全て違う住居で起きています。まさか全部が全部息子と暮らしていたところというわけではありませんよね?

SCP-1752-JP: 違います! 違う! 違う! 違う!

江村博士: 抗不安薬を再度投与します。福留警部補、追加の薬を持ってきてください。

(江村博士は隣室に連絡を行う)

江村博士: 福留警部補? (5秒沈黙)エージェント・福留? 聞こえていますか?

SCP-1752-JP: 違う! 息子はいたんです! あの中に! 違う!

江村博士: 落ち着いてください、土井さん。ここは安全です。

SCP-1752-JP: 違う! 火の中に! 息子がまだいるんです! 違う違う違う違う!

江村博士: 落ち着いて!

SCP-1752-JP: 違う、ちが、ひっ、ひっ、ひっ、ちがっ、ひっ

江村博士: ああ、クソ。どうなってるんだ、おい!

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ

江村博士: ああもう!

(江村博士は隣室のドアを開ける。同時に隣室から炎が噴出する)

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ

江村博士: 黙っていてください! 緊急事態なんです。

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、火の中に息子が! まだ息子があの中にいるんです!

江村博士: クソ! なんなんだ、おい福留! 無事か? おい!

SCP-1752-JP: 刑事さん、助けて! 私の息子があの中にいるんです!

江村博士: 何を言ってるんだ?いい加減にしろ!

SCP-1752-JP: どうして? 早く息子を助けてくださいよ! ねえ!

(SCP-1752-JPは制止する江村博士につかみかかる。江村博士は転び、気絶する)

SCP-1752-JP: 火の中にまだ息子が残されているんです! 誰でもいいから、助けてください!

(SCP-1752-JPは隣室に入り、その後消失する)

«記録終了»


付記: 火災が発生したためインタビューは中断されました。鎮火後の調査の結果、出火原因は隣室の電気ケトルからの漏電であることが判明しました。スプリンクラーが動作しなかった点、延焼の様子から計算してインタビュー開始前には出火していたにもかかわらず職員が気付かなかった点等、未知の異常性が関与すると考えられており、報告書作成時点で調査中です。また、インタビュー中に名前を呼ばれた「エージェント・福留(福留警部補)」に関する人事情報は財団には存在しません。2

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