SCP-1756-JP
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アイテム番号: SCP-1756-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1756-JPは個体数を把握したうえで追跡、探索を行い、一定区域外への偶発的な流出を防いでください。"アバドンイベント"に使用される洞窟は冬季の間侵入を禁止し、SCP-1756-JP以外の生物の侵入を排除してください。

説明: SCP-1756-JPは██県██集落付近に生息するトノサマバッタ(Locusta migratoria)の亜種と推測される昆虫です。生態はトノサマバッタの群生相1と類似しており、イネ科の植物の草本を中心とした食性を持ちます。食欲は同種と比べると非常に僅少で、付近の植物相に影響を与えることはありません。

通常の同種との大きな違いとして、長距離移動に適した生体にも拘らず██集落付近の地域に留まる傾向があることが確認されています。また、メス個体は腹部に10〜20本の産卵管を持ち、そのうちの1本が特有のフェロモン2を分泌し、最も多く産卵管を持つメス(SCP-1756-JP-A)を中心に、10匹〜100億匹程度の社会性のある群れを形成することがあげられます。

おもに初夏と秋に産卵を行い、夏季は1か月ほどで孵化しますが、秋に産卵した卵は翌年春に一斉に孵化します。孵化した幼生のメスは共食いにより産卵管の取り合いを行い、最初に10本の産卵管を持ったSCP-1756-JP-Aを筆頭に新たなSCP-1756-JPの群れを形成します。

「アバドンイベント」: "アバドンイベント"は冬季に発生する異常イベントです。SCP-1756-JPの群れは冬季になると██集落に存在する洞窟へと移動します。洞窟へ移動するとSCP-1756-JP-Aは上述のものと異なるフェロモンを分泌した後、約100匹程度を従え洞窟外へ移動、越冬を行います。残されたSCP-1756-JP群は洞窟内にて共食いを行います。

また、この際洞窟内にSCP-1756-JP以外の生物(以下、関係生物)が存在した場合、その食性、知能に関わらず共食いに参加することが確認されています。SCP-1756-JP及び関係生物は共食いを行った回数に比例し筋力の増加、体躯の異常な発達等が確認されます。この共食いは洞窟内のSCP-1756-JP及び関係生物が1匹になるまで行われます。以下はこれまでに財団が確認した関係生物の一部リストです。

関係生物: SCP-1756-JP個体

特徴: 全長約2mほどに変化し前翅、後翅、後脚が著しく発達。外骨格も発達し、通常のキチン質に加え、多様なタンパク質等の比率からなる多層構造へと変化していることが確認された。凶暴性も増しており、財団職員への攻撃を行ったことが確認される。財団の関与以降、実験を除き通常の出現はこの個体に限定される。

備考: 財団による攻撃及び捕獲作業中、約20分で衰弱死。寒冷気候に適応していなかったと推測される。

関係生物: ニホンジカ(Cervus nippon)と推測される個体

特徴: 体長約3mほどであり、非常に発達した角を持っていたとされる。食性も肉食に変化し、他の生物を襲っていたところを猟師数人がかりで捕獲したとされる。

備考: 付近集落の伝承による。アバドンイベントに遭遇したものと推測される。

関係生物: ミスジマイマイ(Euhadra peliomphala)

特徴: 全長約5m程に変化し、移動速度が時速約18km程に増加。食性は変化していないものの歯舌が発達しており、移動と共に地盤を削り取ることが確認された。

備考: 周囲をしばらく徘徊したのち行動を停止、殻内に潜行したのち休眠状態に移行した。寒冷環境によって冬眠したと推測される。現在は回収され特異生物研究ブロックにて飼育されている。

補遺1: ██集落において、SCP-1756-JPの起源に関係するとされる口承説話が伝わっていることが確認されました。以下は、██集落の██氏に対する取材ログです。

取材記録1756-JP-01 - 日付 20██/██/██

対象: ██氏

インタビュアー: エージェント・新田 

付記: ██氏は██集落における最年長の生存者であり、エージェント・新田は民族学関係の調査としてインタビューを行っている。また、██氏の発言は強い訛りがあるため、一部固有名詞を除き標準語に変換されている。

<録音開始>

(事実確認の為省略)

██氏: んだもんで、俺の爺様のまた爺様の爺様くらいの古い話だと聞いてるがな。この村がウンカにやられたのよ

エージェント・新田: なるほど、いわゆる蝗害が発生したと

██氏: そうそう、コメが全部やられてな。ここいらは冬場はえらく冷えるから、蓄えもねえしこのままでは死ぬか村を捨てるしかねえという話になったんだと。で、当時の名主が流れの行者、御行ってやつだな。それにどうにかならんかと相談したそうな。そうすると行者、あどん様に頼めと

エージェント・新田: あどん様ですか。聞いたことない名前ですね

██氏: だな、俺も知らねえが、そのあどん様ってのは蝗の神様なんだと。で、名主藁にもすがる思いで念じたらあどん様が出てきてなんじゃいなと聞いたそうだわ。そこでかくかくしかじかこういうわけじゃからどうにかならんかと尋ねてみた。するとあどん様、んなこたあ俺の知ることじゃねえや、ここは俺の国じゃねえし、ってんだけどもよ、村一同なんとか、って頭下げて頼み込んだ。それ見てあどん様、まあ、そこまで頼まれてんだったら仕方ねえや、そのかわり、覚悟はいいな、苦しいことなくしてうめえ話はねえぞって言ってこの山の奥の洞窟に消えたんだと。昔はあの近くにまで村があったが、俺の爺様の爺様くらいに出水があってな。そっからはほとんど寄り付かねえというか、俺も場所もわかんねえんだが

エージェント・新田: はあ、覚悟というのはなんなんでしょうね

██氏: それがまあ、バッタがよく出るようになっただけなんだという話だ。年に一度は馬ほどもあるのが出て暴れたと聞く、まあ、覚悟というには拍子抜けだがな

エージェント・新田: それが苦しいことだったのでは? 馬ほどのバッタが暴れたら大迷惑でしょうし

██氏: つっても、それが出たのは冬のころだと聞くからバッタなんぞ死んじまうしなあ。たいしたことねえやな、あどん様は暖かい国の出だったんだろうな。で、話の続きなんだがな、おかげさまで村は助かった、とっぴんぱらりのぷうだ

エージェント・新田: え、デカいバッタが出てめでたしめでたしですか? おかしくないですか? 少なくとも気持ち悪いとか、そうだ、そのあどん様の言ううめえ話ってのは

██氏: そりゃアンタ、バッタうめえだろうよ

<録音終了>

補遺2: "アバドンイベント"後生き残った関連生物を調査したところ、通常の同種と比較して非常に高たんぱく、高脂質であり、摂食すれば無機質やビタミン等の必須栄養素が過不足なく摂取できることが確認されました。また、Dクラスを用いた摂食実験においては全員が味に高い評価を行いました。現在、 財団糧食部がSCP-1756-JPを研究し、フィールドエージェントの携行食として加工する案が審議中です。

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