SCP-1758-JP
評価: +14+x

アイテム番号: SCP-1758-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1758-JPはサイト-8181の低危険物収容ロッカーに保管されます。本オブジェクトに関するDクラスを用いた実験は、大規模な現実改変を引き起こすため禁止されています。

一般市場にSCP-1758-JPの類似品が流通していないかを確認するため、財団Webクローラによる市場の監視が常に行われています。類似品が発見された場合は直ちに回収してください。

説明: SCP-1758-JPは1枚のDVDとパッケージで構成されています。DVDに収録されている映像の複製は不可能です。SCP-1758-JPのDVDには子供向けの教育アニメ形式の番組が4編収録されています。番組の再生時間はいずれも24分17秒です。

パッケージの表には「サルでもわかる!シリーズ」というタイトルと、サルを模したキャラクター1匹、白衣を着た初老の男性を模したキャラクター1人が描かれています。パッケージの裏は一部破損していますが、番組内容がさまざまな技術の紹介であることと、「この番組で勉強して周りのサルに差をつけて、ひとつ上のサルになろう!」という言葉が書かれています。オブジェクトに関する追加調査において、パッケージの一部と考えられる、サル目の進化系統樹を簡易的に表現した図の紙片が発見されています。

PrimatesTree.jpg

パッケージの一部とされる紙片

 

SCP-1758-JPの番組は、パッケージの表に描かれた白衣を着た初老の男性がサルに対して技術を教える内容です。4編の番組においてピアノ演奏、カラオケ歌唱、調理技術、絵画技法が紹介されています。しかし番組内で教授される内容には常識的な間違い1が1番組につき2~3個含まれており、視聴者はほぼすべての場合において"番組は不正確である"と評価します。

SCP-1758-JPの異常性は、ヒト(Homo sapiens)を除く除く含めたサル目の生物がSCP-1758-JPの各番組を最後まで視聴した際に現れます。番組内容に批判的な感想を持たなかった場合において、視聴した生物は、視聴後に当該技術を極めて高いレベルで習得します。同時に、パッケージ裏の進化系統樹の紙面における「ひとつ上のサル」へと動物種が変化し、当該生物が元から変化後の動物種であったかのような現実改変が発生します。その際、身体構造的に不可能と思われる技術の場合は、当該生物の身体の最適化(四肢の強化や延伸、障害の回復など)を引き起こします。

オブジェクトの収容当初はSCP-1758-JPが持つ現実改変能力により、技術習得のみが異常性と考えられていました。その後、███博士の指摘を受けて行われた再調査により、現在の異常性が発覚しました。元の実験記録はSCP-1758-JPによる現実改変の影響を受けていたため、現在の報告書ではサイトにおける各種記録とSCP-1758-JPの異常性から推測される内容を追記しています。

SCP-1758-JPは20██/██/██、"近所の家でチンパンジーがピアノを弾きながら鳴いている"との通報を受け、警察機関に潜伏していたエージェントによりピアノを弾きながら鳴き声を上げるチンパンジーとともに、北海道釧路市の故██████氏の自宅にて回収されました。収容されたチンパンジーは現在サイト内の大型動物収容房で飼育されています。オブジェクトとの関連が疑われるため、故██████氏の遺品調査が引き続き行われています。
 
実験記録1758-JP-1 - 日付20██/06/12

対象: D-1844(ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: 絵画技法

結果: 番組視聴後も対象の絵画技術に向上は見られなかった。対象は番組内容を"でたらめ"と評価した。

分析: ヒトが視聴したヒトが視聴した番組内容に懐疑的な感想を持った場合は異常性が発揮されないと思われる。念のため追加実験も計画すべきだろう。

実験記録1758-JP-2 - 日付20██/06/15

対象: D-1845(チンパンジー(Pan troglodytes)チンパンジー(Pan troglodytes)ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: 絵画技法

結果: 動物種がチンパンジーに変化し、高度な絵画技術を習得した。対象は非常に写実的な人物画を描いた。

分析: やはりヒト以外において効果が生じるようだ。絵画の人物に該当者はおらず、対象が何を参考に描いたのかは不明である。やはりヒト以外において効果が生じるようだ。絵画の人物に該当者はおらず、いかなる情報を参考に描いたのかは不明である。Dクラス職員の不自然な欠番や実験室の入退室記録より、動物種の変化が生じたと推測されている。以降の実験も同様である。なお、絵画の人物はD-1845であったと思われる。

実験記録1758-JP-3 - 日付20██/06/18

対象: ゴリラ(Gorilla gorilla)ゴリラ(Gorilla gorilla)チンパンジー(Pan troglodytes)

視聴した番組: カラオケ歌唱

結果: 動物種がゴリラに変化し、曲の音程に合わせた発声能力を習得した。

分析: 音は合っているしビブラートなどの技術もできているが、鳴き声はゴリラのままであった。発話能力まではカラオケ歌唱技術に含んでいないようである。チンパンジーはゴリラに動物種が変化していた。本当にパッケージの通りにひとつ上のサルになるらしい。

実験記録1758-JP-4 - 日付20██/06/21

対象: D-1846(チンパンジー(Pan troglodytes)チンパンジー(Pan troglodytes)ヒト(Homo sapiens))(逮捕時に警察から拳銃による発砲を受けており、右腕に障害がある)

視聴した番組: ピアノ演奏

結果: 動物種がチンパンジーに変化し、右腕の障害が完治するとともに、ピアノ演奏技術を習得した。

分析: 技術習得に支障がある身体的な問題についても対処されることが判明した。また習得した演奏技術は、プロのピアニストと比較しても遜色のないように見受けられる。

実験記録1758-JP-5 - 日付20██/06/24

対象: D-1847(ゴリラ(Gorilla gorilla)ゴリラ(Gorilla gorilla)ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: ピアノ演奏、カラオケ歌唱

結果: 動物種がチンパンジー、ゴリラと順に変化した。ピアノ演奏、曲の音程に合わせた発声能力の両方を習得し、ピアノを弾きながら音程に合わせた鳴き声を上げることができた。

分析: 2つの番組を視聴した場合、動物種が2段階変化し、両方の技術習得が問題なく行われるようである。個々の技術習得状況は、個別での実験と同様であった。オブジェクト発見時に確保されたチンパンジーは本実験と同様2番組を視聴したものと考えられる。さらに視聴番組を増やした場合の実験を進める。

 
 
 

実験記録1758-JP-6~8 - 日付20██/06/27, 06/30, 07/03

対象: D1848~1850(ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: SCP-1758-JPの番組3つ

結果: 実験記録の抹消

分析: 現在存在しない動物種への変化により対象が消失し、それに伴う現実改変により実験自体がなかったものとされたと考えられる。


実験記録1758-JP-669 - 日付20██/07/06

対象: D-1851(オランウータン(Pongo Pygmaeus)オランウータン(Pongo Pygmaeus)ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: ピアノ演奏、カラオケ歌唱、調理技術、絵画技法

結果: 動物種がチンパンジー、ゴリラ、現在存在しない動物種、オランウータンと順に変化した。ピアノ演奏、カラオケ歌唱、調理技術、絵画技法をすべて習得した。

分析: 視聴させる番組数をさらに増やしたが、予測通りすべて同時に習得できるようである。調理、絵画のいずれも人間のプロと同等の技術を有しているようであった。現在存在しない動物種への変化は、一時的なものであれば、対象の消失は発生しないようである。

実験記録1758-JP-7710 - 日付20██/07/09

対象: D-1852(ヒト(Homo sapiens))

視聴した番組: 調理技術

結果: サイト内でSCP-████-JPの収容違反が発生し、番組の終了直前で視聴を中断した。技術習得は行われなった。

分析: 後のインタビューにおいて、D-1852は番組で教授される内容を真実であると認識していたことが判明した。これは視聴者が番組内容を不正確と評価しなかった状態で動物種の変化が生じなかった、現在までに発覚している唯一の例である。

補遺1: SCP-1758-JPとともに収容されたチンパンジーが、飼育担当者に向かって一定のパターンでの鳴き声、およびジェスチャーと思われる動きを繰り返していることが報告されています。

補遺2: ピアニストであった故██████氏に関する追加調査の結果、彼がピアニストとして活動を始めた1996年11月2以前の公的記録において、不整合がいくつかあることが判明しました。また、一人暮らしであったとされる██████氏の自宅から、██████氏以外に女性が1名生活していたと思われる痕跡が見つかっており、引き続き調査が進められています。

補遺3: ██████氏の遺品から、SCP-1758-JPのパッケージ裏の続きと思われる紙片が発見されました。

補遺4: ███博士のメモ

補遺3: ███博士のメモ

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。