アイテム番号: SCP-177
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: この物品の安全度を鑑み、SCP-177はカリブ博士の部屋に収容し、彼あるいはレベル4管理者の監督下でのみ移動してよいものとします。 SCP-177はレベル4保管ロッカーに留め置いてください。SCP-177の使用中はチェスの標準的なルールを遵守しなくてはなりません。イカサマやルール違反をしようとした被験者は部屋の外へ連れ出してください。
説明: SCP-177は縦8マス横8マスの標準的なチェス盤で、大きさは縦40cm横40cmです。盤上には16個のポーン、2個のキング、2個のクイーン、4個のビショップ、4個のナイト、4個のルークがあり、合計で黒16個白16個の駒があります。どの駒も象牙を彫って作られたものです。白の駒は動かすことができ、最小限の力で盤上から取り除くことさえできます。しかし、黒の駒は盤上から取り除くことはできず、どれほどの外力でも動かすこともできません。3キロニュートンを超える力を黒の駒に加えても、ただ装置が破損するばかりでした。
ルールに適った初手を白の駒を使って指すと、SCP-177は活性状態に入ります。活性であるとき、SCP-177は標準的なルール(白が先手、ポーンは最初に動かすときには2マス動かせる、など)でチェスを指すのに使えます。黒の駒は自律的に動き、白の駒で一手指すと、その駒は黒が一手指すまで動かせなくなります。駒が取られると、自動的にその駒は盤の横に動かされ、ゲームから取り除かれます。白が勝った場合には、黒の駒はすべて自動的に初期配置に戻り、新しいゲームが開始するまでそれ以上の作用はなにも示しません。黒が勝った場合には、初期配置に立ち戻る前に、黒の駒は祝福の『舞』を踊り、白の駒は倒れます。スティルメイトが発生したなら、すべての駒が倒れ、初期配置に戻ります。
補遺: SCP-177の来歴: SCP-177が財団の保護下に入ったのは199█/03/██、イギリスのロンドン地域にあるアンティーク店の定期巡回を承けてのことでした。問題の店には変わったところは見られませんでしたが、カリブ博士の収得したSCP-177だけが例外でした。以来、さらなる特異な活動がないかその店を監視しています。
テスト記録の一部:
テスト#: 001
白番: D-177-01、女性、白人、25歳。被験者はチェスの素質があったので選ばれた。
試合結果: 黒側の被害が大きく、60手の後に黒がチェックメイトされて終了。
テスト#:014
白番: D-177-01、これ以前の13試合と同じ被験者である。
試合結果: 黒側の被害は小さく、50手目でD-177-01が投了して終了。ほとんど全ての白の駒が取られた。これはSCP-177が実際に勝利した最初の記録である。
テスト#:025
白番: ████ ██ ████、男性、中国人、34歳。中国江蘇省にある町[編集済]の地元チェスチャンピオンである。████氏にはSCP-177はシャーマン・コンピュータ・プロダクツ(Sherman Computer Products)が開発した先進的なチェス・コンピュータが遠隔操作していると伝えてある。
試合結果: SCP-177はポーンの一つをクイーンに成らせることに成功し、最終的に75手でチェックメイトに及ぶ前に、この駒を使って何度か████氏をチェックに追い込んだ。████氏には記憶消去処置を施し解放した。
テスト#: 051
白番: ████ ███、男性、日本人、50歳。元日本国内チェスチャンピオン。
試合結果: SCP-177は手番のたびに少なからぬ長さの考慮時間を取り(しばしば10分を超えた)、ゆっくりと駒を動かした。最終的に███氏は投了し、この盤は『壊れて』いて『馬鹿みたいに時間をとる』と言い放った。後のテストでは、このテストと同じことを間違っても繰り返さないようにするために時間制限を用いることにする。███氏には記憶消去処置を施し解放した。
テスト#: 167
白番: カリブ博士、チェスの専門家でSCP-177の主任研究員。カリブ博士がSCP-177と一局指したいと要望した。
試合結果: 154手でSCP-177をチェックメイト。カリブ博士は、これは『[彼が]今まででやった試合の中でも死ぬほど最高の試合』であったと宣言し、再戦に興味を示した。
テスト#: 200
白番: 『ディープ・ブルー』チェスコンピュータ
試合結果: SCP-177は50手でディープ・ブルーとの接戦に敗れた。この時以来、SCP-177のチェス戦略は大変な改善を見せる。
テスト#: 406
白番: カリブ博士
試合結果: カリブ博士を11手でチェックメイト、これはSCP-177の新記録である。カリブ博士はSCP-177が『イカサマをしたに違いない』と述べ、アン・パサンの誤用に言及した。記録映像はSCP-177がルールに則って指していたことを示している。
テスト#: 529
白番: ██████████ █████、20██年世界チェスチャンピオン。█████氏にはSCP-177はシャーマン・コンピュータ・プロダクツ(Sherman Computer Products)が開発した先進的なチェス・コンピュータが操作していると伝えてある。
試合結果: █████氏は90手でSCP-177に敗北、『このコンピュータをプログラムした誰かさんは天才だ』と述べた。█████氏にはテストの後クラスA記憶消去処置を施し解放した。
テスト#:702
白番: 『リプカ(Rybka)』チェスコンピュータ、2007-2010年世界チェスコンピュータ・チャンピオンシップ勝者。
試合結果: SCP-177が25手で勝利。
テスト#: 975
白番: 『アンデルセン』、はっきりとSCP-177を打ち倒すことを目的としてカリブ博士が開発したチェスコンピュータ。このコンピュータはチェスのルールに違反でき、必要なら『イカサマ』をすることができるよう構築された。白の駒はロボットアームで取り扱われる。
試合結果: 試合は63手目まで普通に進行し、そこでアンデルセンはチェックするために白のクイーンをナイトのようにL字形に動かそうと試みた。これに続いて、SCP-177が目に見えない力でアンデルセンを██km/hを超える速さで『投げ飛ばし』、結果的にこのコンピュータの重要な回路幾つかが壊れた。
新しいプロトコルだ。イカサマは禁止。言わなきゃダメかね、人間がこいつにイカサマしたらなにが起きるか?! ――カリブ博士