
2002/██/██に発生したSCP-1770-JP
アイテム番号: SCP-1770-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-1770-JPの発生およびその進路は財団が保有する気象衛星および太平洋上の北緯25度付近に設置された観測浮標によって観測されます。SCP-1770-JPの発生が確認された場合、その進路からSCP-1770-JP-1の捜索が行われます。発見されたSCP-1770-JP-1は財団が保有する孤島に隔離するか人口密度の低い地点まで輸送し、SCP-1770-JPの被害を最小限に止めてください。SCP-1770-JP-1が領域-1770内に侵入する際には耐衝撃スーツと簡易酸素吸引具、映像記録装置と通信装置、およびパラシュートを装備させてください。上昇気流発生イベント開始後は適切な指示によって領域-1770内からSCP-1770-JP-1を脱出させてください。
説明: SCP-1770-JPは異常な性質を有する台風です。一般的な台風と比較して、SCP-1770-JPは明確な台風の目1を持ちます。また、それ以外の点においてSCP-1770-JPは異常性発現まで非異常性の台風と同様の挙動を示すため、異常性発現前のSCP-1770-JPを一般的な台風と区別することは困難です。
SCP-1770-JPの異常性はSCP-1770-JPが北緯25度付近に到達した際に発現します。北緯25度付近に到達したSCP-1770-JPは、その勢力を増しながら上空に存在する気流の方向を無視して特定の人物(この人物をSCP-1770-JP-1に指定)を追跡します。この過程においてSCP-1770-JPは通常の台風と同様に強風や大雨を伴って移動するため、その進路上に大きな被害をもたらします。SCP-1770-JPはSCP-1770-JP-1に接近していくにつれ、台風の目と呼ばれる領域(この領域を領域-1770に指定)を徐々に縮小させます。SCP-1770-JP-1が領域-1770内に侵入するほどの距離の時、領域-1770は最終的に直径100m程度まで縮小します。またSCP-1770-JPの異常性が発現する直前、SCP-1770-JPから非異常性の海産物や米、塩などが降ってくる現象が確認されます。
SCP-1770-JP-1が領域-1770内に侵入する、あるいは非常に接近するとSCP-1770-JPは領域-1770内に原理不明な上昇気流2を発生させ、SCP-1770-JP-1を上空に吸い込みます(当現象は上昇気流発生イベントと呼称されています)。上昇気流発生イベント時に発生する気流の瞬間風速は90m/s程度であり、これによってSCP-1770-JP-1含む多くの物体が上空に吹き飛ばされます。上昇気流発生イベントは以下のいずれかが起こることで停止します。
- SCP-1770-JP-1が上昇気流から放り出される
- SCP-1770-JP-1が上昇気流中で死亡する
- SCP-1770-JP-1が高度16km付近に到達する
上昇気流発生イベント終了後SCP-1770-JPは異常性を喪失し、一般的な台風と同様に振舞うようになります。またSCP-1770-JP-1が高度16km付近に到達すると、SCP-1770-JP-1は上空で消失します。しかし、上昇気流によって巻き上げられた物体との衝突や高高度での低温・低酸素の結果、SCP-1770-JP-1が生存したまま高度16kmに到達する確率は低いと考えられています。SCP-1770-JP-1が上昇気流発生イベントにおいて上昇気流から脱出する、あるいは上昇気流中で死亡すると、稀に太平洋沖を震源とした軽微な地震が発生します。この地震発生の確率は低く、現在確認されたのは1█件のみです。当該地震は一度発生すると高確率で次のSCP-1770-JP発生の際も確認されますが、有意な関係性があるかは不明です。
現在までに確認されたSCP-1770-JP-1には特筆すべき共通点は見受けられず、SCP-1770-JPがSCP-1770-JP-1となる人物を選択する具体的な条件は判明していません。しかしSCP-1770-JP-1の多くは社会一般において著名な人物である、あるいは特定分野の第一人者である等、他者と比較して何らかの特色ある人物が多い傾向があります。
補遺: 瀬岡氏が装備していた通信装置により、SCP-1770-JP内部では赤や黄色など様々な色をした雷光と同時に「レトロなゲーム音楽」と表現される音も確認されました。瀬岡氏はSCP-1770-JP-1に2度選択されており、2回目の上昇気流発生イベントにおいてSCP-1770-JPは瀬岡氏の動きに合わせてその位置を細かく移動し、瀬岡氏の脱出を防ぐような行動をとったことが確認されています。瀬岡氏の消失直後、瀬岡氏が装備していた音声通信装置から非常に大音量かつ低周波数の音が送信されました。以下はこれをもとに解析された音声を文章に起こしたものです。
不明な存在-1: あなや!あめのみはしら殿のゆうほうきゃっちゃあの技、いみじきことそこはかとなし。かようななまめかし女をただ一度にとりあそばすとは思はずなり。
不明な存在-2: このげえせんは、かく久しき遊びしゆえ慣らへるなり。力をぬいてものすが技なり。
不明な存在-1: うべなうべな。吾もいまいちどしてみむ。