SCP-1775-JP
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ヘンリー・ブッシュウェル入国審査官を自称するSCP-1775-JP-1

アイテム番号: SCP-1775-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 一般人のSCP-1775-JPとの接触の防止、及び継続した実験のため、SCP-1775-JPを中心に小規模仮設サイト-81██-αが建設されています。小規模仮設サイト-81██-αには2名の警備員が常駐し、実験の際はサイト-81██より職員が派遣されます。

説明: SCP-1775-JPは北海道██郡██町の山中で発見された異常なログベンチ1脚とログテーブル1台の総称です。SCP-1775-JPは不動性を有しており、現在位置から移動不可能です。一方でSCP-1775-JPは腐朽が進行していることから、仮設サイトによって保護を行うプロトコルが制定されました。

動物がSCP-1775-JPのログベンチ部に着座した場合、更なる異常性が活性化し、ログテーブル部に外見上は異常の見られない1頭のヤブイヌ(Speothos venaticus)が出現します(以下SCP-1775-JP-1と呼称)。現在までに出現したSCP-1775-JP-1個体は全て同一個体と考えられており、遭遇の際は一貫して「ヘンリー・ブッシュウェル入国審査官」を名乗ります。SCP-1775-JP-1に対する物理的な接触は不可能です。

SCP-1775-JP-1との遭遇後、即座にイベント-SCP-1775-JPが開始されます。このイベントは概ね入国審査の形式を模しており、SCP-1775-JP-1より「グレートブッシュドッグ王国」への入国に関しての質問が行われます。この際、SCP-1775-JP-1は日本語、英語、フランス語を始めとして、財団が検証を行った全ての言語による応答が可能です。また、質問に対する回答は不明な手段により真偽が判定され、偽造書類や不正確な回答は全て看破されます。入国の可否をもってイベント-SCP-1775-JPは終了し、SCP-1775-JP-1は消失します。

財団の実験に於いて、イベント-SCP-1775-JPによって入国を認められた人間は存在しません。

補遺1:発見時調査ログ 以下は財団エージェントによるSCP-1775-JPの発見時調査の音声記録の書き起こしです。

記録者: 大葉フィールドエージェント(以下、大葉と記述)

<ログ開始>

大葉: フィールドエージェントの大葉が記録します。██町██地区で噂されていた「狸が現れるテーブル」と思わしき物品を発見しました。

大葉: サンプルの採取……。可能ですね、小動物型実体は出現していません。噂に従い、ベンチに座ります。

大葉: 実体が出現しました。

SCP-1775-JP-1: こんにちは。私はヘンリー・ブッシュウェル入国審査官。ここはグレートブッシュドッグ王国入国審査場です。入国をご希望ですか?

大葉: 交流を試みます。

大葉: ええと、私は大葉という者です。入国希望ではありません。こんなところに入国審査場があるとは思いませんでした。もし良ければ、あなたとこの場所、そしてグレートブッシュドッグ王国についてお聞かせ願えませんか?

SCP-1775-JP-1: はい、いいですよ。祖国の歴史を語れるのは私にとっても嬉しい事です。さて、グレートブッシュドッグ王国はヤブイヌによる全てのイヌのための王国です。住処が少なくなり、絶滅の危機に瀕した我々のためにジョージ・ブッシュマンが建国しました。

大葉: ふむ。あなたもジョージ・ブッシュマン氏もヤブイヌという種なのですか?

SCP-1775-JP-1: 我々はヤブイヌという種を超越してしまいましたから、正確にはヤブイヌではないのでしょう。しかしながら我々はヤブイヌとしての誇りを忘れたことはありません。王国は現在、ジョージ7世国王陛下によって統治されています。

大葉: なるほど。しかし、私が知る限りではヤブイヌという種が私の住む日本という国に居たという話は聞いたことがありません。何故この審査場はこの場所にあるのですか?

SCP-1775-JP-1: 元々この審査場は全てのイヌのために地球各地を転移していたのですが、長い時を経てその力を失ってしまいました。昔はもっと立派な建物だったんですよ。王国織りの絨毯や、ヴェナティカス文様の芸術品も置かれて……。

大葉: あなたはそれだけの長い間、この場所で働き続けたのですね。

SCP-1775-JP-1: はい、そして生活に苦しむ沢山の山犬や狸、狐を王国に招きました。

大葉: それは素晴らしい事ですが、何故他の種も受け入れるのですか?

SCP-1775-JP-1: それがヤブイヌとしての誇りです。我々は我々が地球上で最も原始のイヌであると信じています。先に生まれた者として、後に生まれた者を助けるのは当然の事でしょう。

大葉: ふむ……。その誇りの高さに敬意を表します。ところで、あなたが認めさえすればグレートブッシュドッグ王国に入国出来るのですか?

SCP-1775-JP-1: はい、またその際は私が王国への旅路に付き添います。

大葉: なるほど……。また後日、詳しいお話を聞かせてもらうことになると思います。最後に、あなたの写真を撮らせて頂いても良いでしょうか?

SCP-1775-JP-1: はい、いいですよ。

<ログ終了>

補遺2:実験ログ 以下は「グレートブッシュドッグ王国」への入国を目的に行われた実験記録の抜粋です。

実験ログ001 - 日付2022/10/██

被験者: D-13441

概要: D-13441をSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。SCP-1775-JP-1はパスポートの提示を求める。D-13441はパスポートを所持していなかったため、入国を拒否される。

実験ログ002 - 日付2022/10/██

被験者: D-13441

概要: D-13441をSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。財団によって作成された非正規のパスポートをD-13441に携行させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。SCP-1775-JP-1はパスポートの提示を求める。D-13441はパスポート提出するが、偽造パスポートであることを根拠に入国を拒否される。

実験ログ003 - 日付2022/10/██

被験者: D-13441

概要: D-13441をSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。正当な手続きによって取得した日本国の正規のパスポートをD-13441に携行させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。D-13441はパスポートを提示する。SCP-1775-JP-1は入国の理由を質問する。無線での指示により、D-13441は観光と回答する。SCP-1775-JP-1は「それは不正確な回答ですね。」と言い、D-13441は入国を拒否される。

実験ログ005 - 日付2022/10/██

被験者: 非異常のヤブイヌ

概要: ヤブイヌをSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。ヤブイヌはSCP-1775-JP-1と鳴き声による意思疎通を行う1。ヤブイヌは消失する。

実験ログ006 - 日付2022/10/██

被験者: 非異常のラブラドールレトリバー

概要: ラブラドールレトリバーをSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。 ラブラドールレトリバーはSCP-1775-JP-1と鳴き声による意思疎通を行う2。ラブラドールレトリバーは消失する。

実験ログ008 - 日付2022/10/██

被験者: D-13441

概要: D-13441をSCP-1775-JPのログベンチ部に着座させる。正当な手続きによって取得した日本国の正規のパスポートをD-13441に携行させる。入国理由は調査のためと回答させる。

結果: SCP-1775-JP-1が出現する。D-13441はパスポートを提示する。SCP-1775-JP-1は入国の理由を質問する、事前に指示されていた通り、D-13441は調査のためと回答する。SCP-1775-JP-1は狂犬病予防接種歴についてD-13441に質問する、無線での指示によりD-13441は「したことがある。」と虚偽の回答を行う。虚偽の回答であること、及び接種歴がないことを根拠に入国を拒否される。

補遺3:事故記録 第9回実験に於いて、事故が発生しました。以下は映像記録の書き起こしです。

被験者: D-13441

付記: 過去の実験の内容から、D-13441は狂犬病の予防接種を受けている。

<ログ開始>

[D-13441がSCP-1775-JPログベンチ部に着座する。SCP-1775-JPログテーブル部にSCP-1775-JP-1が出現する。]

D-13441: こんにちは、ヘンリーさん。また来ましたよ。

SCP-1775-JP-1: やあ小林さん3。こうやってあなたに会えるのが最近の楽しみになりつつありますよ。では……。私はヘンリー・ブッシュウェル入国審査官。ここはグレートブッシュドッグ王国入国審査場です。入国をご希望ですか?

D-13441: はい、入国を希望します。

[重要度が低い部分につき省略]

D-13441: はい、大丈夫ですよヘンリーさん。今回はきちんと狂犬病の予防接種も受けて来ましたよ。

SCP-1775-JP-1: 素晴らしい! では小林さん。貴方は何のイヌなのでしょうか?

[D-13441は困惑したような表情を浮かべる。]

D-13441: え……?

SCP-1775-JP-1: グレートブッシュドッグ王国はヤブイヌによる全てのイヌのための王国です、イヌでないならば入国は認められませんが……。

[D-13441は「人間である」と回答するように無線で指示される]

D-13441: 私は……。

[D-13441は逡巡したような表情を浮かべる。]

D-13441: 私はイヌです!! イヌと同じなんです!! 財団にとって都合の良い実験動物なんです!!

[実験中止が宣言され、警備員2名がD-13441をSCP-1775-JPから引きはがそうとする。SCP-1775-JP-1は大きく口を開けて警備員とD-13441を交互に見る。]

警備員: こらお前! 実験は中止だ、オブジェクトから離れろ!

D-13441: やめろ! 離せ!! 離してくれ!!

SCP-1775-JP-1: こ、小林さん! ちょっと皆さんも落ち着いてください!

D-13441: ヘンリーさん!!! 助けて!! 殺される!! 助けて下さい!

[継続して警備員2名がD-13441をSCP-1775-JPから引きはがそうとするが、D-13441は必死に抵抗しSCP-1775-JPにしがみついている。SCP-1775-JP-1は後脚で立ち上がろうとする動作を繰り返している。]

D-13441: いやだ! いやだ!

[D-13441は何か閃いたように目を開く。D-13441はSCP-1775-JP-1に振り向く。]

D-13441: 亡命します!! 私はグレートブッシュドッグ王国に亡命します!! ヘンリーさん!!

[SCP-1775-JP-1は目を見開いた後、小さく頷く。]

[D-13441とSCP-1775-JP-1が消失する。]

<ログ終了>

補遺4:事故後対応 財団はD-13441が重罪人であること、及び財団の資産であることを理由にSCP-1775-JP-1に引き渡しを求めていますが、SCP-1775-JP-1は以下の理由を根拠に引き渡しを拒否しています。

・SCP財団はイヌを含む動物を、非倫理的実験に用いていること。
・D-13441が重罪を犯した経歴は認められるものの、日本国の司法に則って釈放されていること。
・亡命者の取り扱いに関する議論はグレートブッシュドッグ王国と日本国の間でされるべきものであること。

交渉は継続されます。

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