アイテム番号: SCP-1777
オブジェクトクラス: Safe (O5の審査後Neutralizedへ変更)
特別収容プロトコル: SCP-1777-2の公共性と、SCP-1777-1の希少性/安全性から、SCP-1777の大部分は未収容状態です。サイト-E13は常時スタッフの待機状態を保ち、SCP-1777-2を24時間体制で遠隔監視します。SCP-1777-1が訪問者の前に出現した場合、サイトのスタッフは全ての発言を記録した後、ツアーガイドに扮した2名とSCP-1777-1に似た鎧を着用した1名からなる保安チームを派遣します。鎧を着たエージェントは地元劇団の再現役者であり、全ては演出だったというカバーストーリーが推奨されています。訪問者がカバーストーリーを信じていない場合は、スタンガンと記憶処理薬の使用が承認されます。
研究者はSCP-1777-2との相互作用を試みないことが推奨されています。
説明: SCP-1777-1は、SCP-1777-2内部に出現することが知られている、亡霊と思しき存在です。対象は15世紀のイギリスにおいて一般的なデザインの錆び付いた板金鎧で頭から爪先までを覆った、身長2mの人間男性の姿で出現します。鎧の数ヶ所には、SCP-1777-2の内部で見られるものと同じシンボルが刻み込まれています。SCP-1777-1は、樋2本が彫り込まれた形式の刃を十字柄に据えた、長さ約1.5mのロングソードを握った状態で現れます。剣の柄には“Veritas”1という単語が刻まれています。これまでの所、如何なる手法でもSCP-1777-1に触れることは出来ないと証明されています。
SCP-1777-2はスコットランドのアラン島にある、“King’s Cave / 王の洞”として知られる自然洞窟です。内部の主柱には数多くのシンボルが刻まれており、その中には弓らしき物を頭上に掲げている人間1人と、同じように剣を掲げる人間1人が含まれます。実験の結果、この柱に彫り込まれている全てのシンボルは、SCP-1777-1出没時に鎧の表面に現れていることが明らかになっています。
SCP-1777-1の出現は、歴代イギリス国王の直系の子孫が訪れることによって引き起こされると考えられます。SCP-1777-1は女王の子孫には反応しません。該当者がSCP-1777-2に入ると、SCP-1777-1が出現し、一瞬彼らを検分する様子を見せます。その後、SCP-1777-1はラテン語の一方言と特定された言葉で「Puer de (先祖の王の名) est non tempus」2と述べ、消失します。何故この事象が発生するかは分かっていませんが、国王の既知の子孫は可能な限りSCP-1777-2から遠ざけておく手順が取られています3。
これまでSCP-1777-1が血統の特定を誤ったことは一度もありません。
補遺1: 2006/03/24、スヴェン一世の血を引くD-86701をSCP-1777-2へ入場させる実験が行われました。SCP-1777-1の出現に際してヤヌス主任研究員はインタビューを試み、数分間にわたって継続的に行動を遮ることによって、SCP-1777-1をこれまで以上に長期の実体化状態に保ちました。ここに至ってSCP-1777-1は初めてその周辺環境との相互作用を行い、研究員に逆手打ちを喰らわせて顎骨を折りました。SCP-1777-1はこれに続けて「Stultus bestia, relinquere me ad meum munus」4と発言し、その後D-86701に通常の声明を述べて消えました。
この事案以降、財団の研究者やその他工作員が訪問者に同行している場合、SCP-1777-1は実体化しなくなりました。
補遺2: 2011/07/12、後にイギリスのサセックス出身であるバーナード・スクリーヴェン(23)と特定された人物がSCP-1777-2内部を訪問しました。当時、スタッフは現場にはおらず、ビデオ映像を監視していました。SCP-1777-1は通常に出現しましたが、声明を述べる代わりに、スクリーヴェン氏に自らの剣を手渡して消失しました。保安チームが現場を封鎖し、何が起こったのかを確認するために派遣されましたが、到着したチームはスクリーヴェン氏から攻撃を受けました。非致死的武力が行使されたにも拘らず、スタンガンはスクリーヴェン氏の心臓発作を誘発し、結果的に彼は死亡しました。この時点でSCP-1777-1は再び出現し、「Requiesce in pace Arturus, sic finit Camelot」5と発言しました。この事案以来、SCP-1777-1は姿を現していません。
剣は異常特性の断定に続く分類待ちの状態です。