
回収した物品AO-1780-3
特別収容プロトコル:
SCP-1780はサイト-17にある高価値異常物品保管ロッカー#0097に保管します。担当HMCL主任(現在はイリーザ・スレイダー博士)の判断でレベル4クリアランスの職員にアクセス許可が下ります。SCP-1780と全ての準指定対象物での実験は無期限に停止しています。以下の手順は記録保存と緊急事態への備えを目的として記します。
SCP-1780-1の調査はD-クラス職員とロボット調査車両にのみ制限しています。活性中、SCP-1780-1の入口は常に最低3人のレベル3保安職員で警備しなければなりません。SCP-1780-1で回収した異常物品は特別収容手順が制定されるか、低価値異常物品保管庫に保管されるまで標準E-クラス規約の下で収容します。SCP-1780-1で回収した非異常性物品は、担当HMCL主任の判断で低価値物品保管への保管または処分を行います。SCP-1780-1の中に財団職員及び資料が中にある場合、サイト-17のレベル3保安職員1人はSCP-1780-1のドアの開放を維持しなければなりません。
個体数または種類に限らずSCP-1780-2実体が出現した場合、SCP-1780-1の入口を封鎖し、即座にSCP-1780を非活性状態にします。SCP-1780-2収容を目的として致死性武器の使用は許可されています。以前の調査で回収したSCP-1780-2の実体は標準人型収容規約(HCP-1)の下で収容が可能です。
SCP-1780-3のハードコピーの1つを高価値異常文書保管金庫#0053に保管します。常にSCP-1780-3の裏面を不透明のプラスチックスリーブに向くようにします。無許可で文書の裏面を読んだ職員を発見した場合、即座に処分します。追加で発見したSCP-1780-3の完全なコピーは焼却します。
説明:
SCP-1780は1990から2003年に財団が使用していたプラスチック製のオフィス用ネームプレートです。この物品に損害や経年劣化に対する特別な耐性は見られず、その状態は19██年の回収時点で数十年間埋められていた事を示唆します。財団エンブレムの後に"████████ █████、博士/部長:時間異常部門"の銘が続きます。財団従業員データベースにそのような名前の職員は存在せず、また時間異常部門の記録も存在しません。
SCP-1780は適切な大きさのネームプレートの台に嵌められない限り、非活性状態を維持します。活性状態になると、SCP-1780は3m以内にある最も近くの扉に対してSCP-1780-1として指定する、長期的な時空間異常を顕現させます。窓またはガラス扉を通じたSCP-1780-1の顕現の様子の高速度撮影でこの効果は1フレームに近い速度で瞬間的に現れると確認されました。そのため、この変化の仕組みは不明です。この扉が通じる元の空間は存在したままであり、別の入口を通るか、壁を破壊する事で出入りが可能です;しかし、SCP-1780の活性中、SCP-1780によって使用中の扉は破壊する事ができず、開放する事もできません。
SCP-1780-1はサイト-17のEuclid対象物実験棟の█████フロアにあるオフィスCB-████の外観をしています1。その後の観察において、SCP-1780-1には様々な放置と未使用の状態が見られますが、常に以下の物品が収まっています:
- 1995年のサイト-17の改装時に購入した物と一致する財団事務用家具。
- 様々な文章と数学方程式が書かれたホワイトボード([情報災害により文章削除済])
- レミントンm870、12ゲージ規格のショットガン、装填済み。
- 完全版オックスフォード英語大辞典1冊。出版社情報は2███年の印刷を示します。
- Time LifeのGreat Ages of Man: A History of the World’s Cultures3部、そのうち1部のみが過去の記録と一致します。
- 最低1つのSCP-1780の物体と1台のアルミニウム製のネームプレート用のブラケット。
回収した追加のSCP-1780の物体による実験2で複数のSCP-1780-1の事例を同時に顕現できる事が判明しました。2箇所の顕現による互いに与える影響の有無は不明です。GPS追跡と[編集済]は全ての事例は同じ物理的位置にあり、これらが未知の時間の間隔で区切られている事を示します。時計を未表示にした動画及び音声監視、ロボット無人機によるこの時間転移の性質の調査で確定的な結果は出ていません。回収に成功した時間データは全ての事例において、SCP-1780-1が10億年以上存続しており、実験活動の頓挫を示唆します。入口を閉じた時にSCP-1780-1に残った物体や人物は、SCP-1780-1の再開放時には存在せず、その回収は不可能であるとみなされています。しかし、部屋の扉が開放を維持している限り、SCP-1780-1は私達の世界線の通常の時間関係を維持します。回収した顕著な物品、文書の一覧は付録1780-1を参照して下さい。
約10回に1回(~10%)のSCP-1780-1の顕現でSCP-1780-2と指定する、複数の人型実体が含まれていました。これら実体の外見と行動は異なりますが、常に財団従業員であると主張します。現在までに遭遇した全てのSCP-1780-2個体は以下の1つを主張しました:
- SCP-1780を担当するサイト-17の保安職員。これらの個体は現存のサイト-17職員に協力的である点に注意してください。
- 時間異常を取り扱う未知の財団特別企画班'RCT-Δt'に割り当てられたフィールドエージェントと研究博士。これら個体は予測不能な存在であり、サイト-17職員に対して敵対的な場合があります。この'収容班'の一員は収容されると自己処分をする事で知られています。
- ████████ █████博士。この実体(SCP-1780-2a)はその起源、目的、性質に関係する情報を明かす事を断固として拒否し、現在までの全て捕獲の試みからの回避を成功させています。この実体の行動は敵対的な人型実体の収容戦術を熟知している事を示唆します。
観察したSCP-1780-2実体██体のうち、██体は処分、収容、及びその他の処理に成功しました。SCP-1780-2顕現に関係する顕著な事案については付録1780-2を参照して下さい。SCP-1780での実験以外でSCP-1780-2aが顕現した事は確認されておらず、追加の収容の試みは不必要な危険としてみなされました。
SCP-1780-3はSCP-1780-1内で定期的に発見される、1998年頃の財団用レターヘッドに印刷され、明らかにSCP-1780-2aが記述したと思われる文書です。偶発的に曝露したエージェント・B████とその後のD-クラス職員による実験で、その異常特性は裏面に限定されており、異常特性の顕現には閲読と全体的な異常特性に対する理解が必要であると判明しました。SCP-1780-3の主な内容は'歓迎の書状'と未知の財団特別企画班'RCT-Δt'のオリエンテーションです。
最初から読んだ場合、報告によるとSCP-1780-3の裏面は'タキオン流動'、[情報災害により文章削除済]、時間の率と方向を制御する'T'ボソンの性質を詳細に記述します。
'導入'段落を含んでいない文書の裏面の抜粋を与えられた人物は、その他全ての段落が理解不能の数式と技術用語で構成されていると報告します。これら人物は物品の効果の対象にはなりません3。現在までにSCP-1780-3の全部を閲読した人物は、恒常的な監視下にあったとしても全員瞬時に消え去りました。これが発生する仕組みは現在不明です。(より詳細な情報は付録1780-3を参照)
レベル4の職員はSCP-1780-3の非異常性の段落を複写した文書1780-WLへのアクセスが可能です。
補遺1780-1: 回収物品
これらの物品は活性中にSCP-1780-1内で発見し、回収と研究に十分な価値があるとみなされた物です。
- ルガー9mm弾の薬室がある未知の半自動式拳銃1丁4。
- 財団のマークが印字されている、常に正確な時間を表示する3本の自動巻腕時計。
- 2体の人間の死体、明らかに飢餓が原因で死亡しています。死体は財団保安職員の物と類似する模様の付いた未知の防護服を着装していました5。
- 複数の陶器類の断片と未知のルーン文字の言語が刻まれた儀式用の刀身。刀身は鈍く、刃毀れしている為、検査が不可能です。
- 1900から████年までの様々な定期刊行の出版物、近代史と完全に一致した出来事を記した物はありませんでした。
- [データ削除済]等、█████(█)のSCPオブジェクト。
補遺1780-2: 顕著な事案の概要
事案1780-01: 1990/01/08
マイケル・ハドリー軍曹はSCP-1780-1の内部で未知の小火器を調査していた時、突然入口が閉まりました。開放するとSCP-1780-1は異なる状態になり、中には1体のSCP-1780-2がいました。この個体は即座に降伏し、自身をグレゴリー・トンプソン伍長であると紹介し、促されると無効ではあるがシステムとしては一致した保安証明書を提示しました。調査の為、実体は保護管理を受けています。予想外のSCP-1780-1への隔離を防ぐ為、収容手順を修正しました。
事案1780-02: 1990/05/24
SCP-1780-2aの出現の最初の記録です。実体はSCP-1780-1からの即時の避難を職員に要求し、護衛職員に発砲を始めると、早くSCP-1780-1を閉鎖するよう促しました。この事件の収容後、実験室に発射体は見つかりませんでした。これはSCP-1780-2aが研究員に空砲を発射したからだと考えられています。実験室に常に武装保安職員を配置するよう、収容手順を修正しました。
事案1780-07: 1997/04/04
SCP-1780-1内部でSCP-1780-2aの説明と一致する6体のSCP-1780-2を発見しました。実体達は混乱した様子で、護衛保安職員の命令を拒否して発砲すると、3人の研究員が負傷しました。SCP-1780-1の封鎖に成功しました。最低3人の保安職員の存在を配置するよう、収容手順を修正しました。
事案1780-09: 2003/12/06
顕現して直ぐに出現した5体のSCP-1780-2個体群は保護を求め、護衛保安職員との会話を始めました。実体達は自身をRCT-Δtの一員であると紹介し、サイト-17への出入りを求めると、SCP-███の差し迫った収容違反に言及しました。全てのSCP-1780-2個体は有効な保安証明書を提示する事ができました。うち1人は護衛保安職員である███████ ██████軍曹と一致していると判明しました。SCP-1780-2個体群は武器を降ろし、保安職員によって捕縛されました。全ての個体は収容中に未知の手段で自己処分しました。██████軍曹は[編集済]の対象となり、クラスC記憶処理が施された後、任務活動に復帰しました。SCP-███は収容違反を起こしておらず、無許可のアクセスの試みも記録されていませんでした。
事案1780-12: 2006/06/13
障害が発生したロボット無人機の回収を試みている間にグレゴリー・トンプソン伍長は規約を違反しました。SCP-1780-1の入口を維持する為の木の楔が外され、扉が閉まりました。開放するとSCP-1780-1は異なる状態になり、中には1体のSCP-1780-2がいました。この個体は即座に降伏し、自身をマイケル・ハドリー軍曹(08/01/1990、MIAと認定)であると紹介し、促されると有効な保安証明書を提示しました。過去のSCP-1780-2遭遇の運営監査でサイト-17の収容所でグレゴリー・トンプソン伍長を発見しました。両保安職員はSCP-1780への曝露による他のSCPオブジェクトとの相互汚染を防止する為に、無期限に収容されています。
補遺1780-3: エージェント・B████とのインタビュー
前書: 1992/04/22、エージェント・B████は偶発的にSCP-1780-3に曝露し、その失踪後は死亡したとみなされていました。14/08/2006、SCP-1780-1に1体のSCP-1780-2が顕現し、促されると自身をエージェント・B████であると紹介し、有効な保安証明書を提示しました。注目点として、14年間の失踪にもかかわらず、エージェント・B████の外見に変化はありませんでした。ドナルド・コーエン曹長の監督の下、イリーザ・スレイダー博士によってインタビューが実施されました
スレイダー博士: おかえりなさい、████。こんな状況で合う事になって残念だわ。ここであなたは—
エージェント・B████: やめてください、お願いです。
スレイダー博士: …分かったわ、さて。あなたの考えでは、どれぐらい時間が経ったと考えているのかしら?
エージェント・B████: 3年、28日、8時間、45分…前後かと。
スレイダー博士: とても詳細な答えね。確信はある?
エージェント・B████: はい。確かに。
スレイダー博士: 何かで計算したのかしら、それとも…?
エージェント・B████: いいえ。[対象はテーブルでリズムを刻み始めます。リズムは正確に1秒の間隔がありました。部屋には時計が無かった事に注意してください。]数えたのです。
スレイダー博士: 申し訳ないけど、それは信じられない話だわ。数え損ねなかったというの?たった1度も?
エージェント・B████: [対象はリズムを止めます]'前後'と言いましたよね?計時が得意なんです…そう、まさにこれが俺が戻ってこれた理由です。
スレイダー博士: あなたが主張する計時能力はとてもだけど—
エージェント・B████: 止めて。止めてください。貴女が自身の教養に誇りを感じている事、とても賢い女性である事は知っています。しかし、いいですか:貴女は貴女達自身の予定の妨げになっています。
スレイダー博士: どういう事?
エージェント・B████: いいですか、仮定として、財団は今から正確に1ヶ月後に発生する特異事象を知っていたとします、そして…多数の命がどうなるか分かりません。だけど貴女の意見では、その事象を止めて人々を救う方法を見出す事が俺達の仕事ですよね?
スレイダー博士: 勿論その通りよ。他に何が?
エージェント・B████: そうです、俺もそう思っています。俺が理解できないのは、問題の事象が1ヶ月前に発生した場合、その答えがどうしてそんなに物議を醸すことになるのかという言う事です。
スレイダー博士: 仮に既に発生したとする、そしたらわたし達にできる事は何も無いわね。その結末を生き残っていない限り、わたし達がその事象について知る事はできないのだから。他に知る方法があるとしたら、それこそが異常だわ、それは一般的な規約と財団の宣言に背いている。それに、そもそもその原因を止める活動や、その事象に関する話題を知る方法がな—
エージェント・B████: 分かった!十分です…それでは言い換えます:いいですか、仮定として、俺が正確に31日後に発生する特異事象を知っていたとします[対象は4秒間黙ります]…ちょうど今からです。俺はそれが約100万の人間の命を奪うと知っているとします。既にその事象が発生した未来から、俺は来たから知っているとします。そして、俺は財団が望めばこの事象を止める事ができると知っているとします。それでは問います、ただの仮定です。貴女はその事態に何をしますか?
スレイダー博士: あなたを信じないでしょう:あなたが異常存在という事になるのだから。あなたが真実を述べた証拠は無いと判断するし、全てあなたが財団を操るために嘘をついたとする証拠として判断するわ。
エージェント・B████: そうですか…とても、良いことです。
スレイダー博士: 何なの?
エージェント・B████: いまの話は仮定ですから、今でもなお貴女は自分がどうなるのか知りえないのです。だけど、俺は心配していません。有難い事に、それは貴女には関係ない話です。
記録終了
このインタビューの後、エージェント・B████はその他SCP対象物との接触の可能性を避ける為、永久的な収容につきました。このインタビューの後の90日間に言及された規模の特異事象は記録されませんでした。
補遺780-4: 回収されたメモ
以下はSCP-1780-1で回収した、SCP-1780-2aが記したと思われる手書きのメモです。SCP-1780-2aとの意思疎通を試みる為に同様のメモを使用する試みは未確定です。メモは回収順に一覧化しました。
140 @ 1300、20██/██/██、036文。001から198を上書きする!
このメモをループしろ。
歓迎しよう、だがそれが最後の警告だ。
不正なフラッグ!次のメモを無視しろ!
不正な警告。前のメモを無視してくれ。
敵意を送る不明の文;それらのうちの少なくとも2文@1953。
用意はできた。メッセージをループしろ。
財団(達)への警告:
私の歓迎の手紙を手にするのを止めてくれ。
印刷の為にそれらを承認することは、ますます困難になっている。
まだ達成に必要な人間は少なくとも20人いる。
申し訳ない…君は同じ事をしただろう。
エージェント・█████と███████@2301、報告。
誰がドーナッツを使い続けているんだ?!
財団(達)への警告:
君達のカメラ装置の事務作業は私の時間と君達の資源を浪費している。
それらを回収することは無いだろう、試行を止めるんだ。