SCP-1799-JP
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SCP-1799-JP-1

アイテム番号: SCP-1799-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1799-JPは標準人型収容室に収容されます。異常性の調査のため、SCP-1799-JP用の寝具から半径15m以内の部屋にDクラス職員を配置し、異常な視覚情報の内容を記録してください。SCP-1799-JPの精神状態の安定化のため、SCP-1799-JPからの要望は可能な範囲で受け入れてください。SCP-1799-JPは2名以上の職員の付き添いのもと、サイト-8141内のセキュリティクリアランスレベル0の区画の散歩を許可されています。

説明: SCP-1799-JPは年齢76歳、身長142cm、体重32kgの日本人女性です。SCP-1799-JPはノンレム睡眠状態に入ると異常性が発現し、額から直径5cmの半透明で赤色透明の泡状の存在(以後SCP-1799-JP-1と表記)を発生させ続けます。SCP-1799-JP-1はノンレム睡眠状態で必ず発生する訳ではなく、一定の周期で発生します。発見当初の異常性の発生周期は25日前後でしたが、徐々にその周期は短くなっています。

財団の調査により、SCP-1799-JP-1はSCP-1799-JPの記憶及び感情と強い関連性を持つ事が判明しています。SCP-1799-JP-1の生成と共に、SCP-1799-JPの記憶は新しい記憶から順に消滅していきます。SCP-1799-JPにとって強い感情を伴う記憶ほどSCP-1799-JP-1の発生速度が増加します。

SCP-1799-JP-1は地面と垂直方向に上昇し、額から離れて頭部から0.8mの位置で停止します。SCP-1799-JP-1の発生速度が早い場合、SCP-1799-JP-1同士の接触時の衝撃で連鎖的に破裂し消滅します。結果として、SCP-1799-JPは異常性の発現と共に過去に経験した強い感情を伴う記憶までを一区切りとして記憶喪失になります。また、SCP-1799-JP-1が破裂した場合、半径15m以内の人物に対し異常性により最後に失われた記憶が視覚情報の形で伝播1します。

SCP-1799-JPのノンレム睡眠状態はSCP-1799-JP-1が破壊されるまで続きます。SCP-1799-JP-1は物理的な干渉を透過する性質を持っており、SCP-1799-JP-1同士が接触した時の衝撃以外で破壊される事はありません。SCP-1799-JPは█年以内に全ての記憶を失い昏睡状態に陥ると予測されており、異常性の進行を抑制する方法を模索中です。

SCP-1799-JPは1996年8月██日、東京都千代田区有楽町の████病院で発見されました。SCP-1799-JPの配偶者は中期のアルツハイマー型認知症を患っており、SCP-1799-JPは配偶者の認知症による連日の徘徊に付き添っていました。その際にSCP-1799-JPは熱中症で最寄りの████病院に搬送され、入院中にSCP-1799-JP-1が発現した事で異常性が財団に捕捉されました。

補遺1: 異常性による記憶喪失に伴いSCP-1799-JPの精神状態が急激に悪化し始めました。以下はSCP-1799-JP-1により確認された視覚情報の記録を発生順にナンバリングし、抜粋した表2です。

ナンバリング 視覚情報 備考
SCP-1799-JP-1-47 狭い部屋の中で、ふかし芋の置かれたちゃぶ台の前に笑顔の若い男が座っている。 若い男は20代のSCP-1799-JP配偶者と推定される。
本事案以降、SCP-1799-JPの精神状態が急激に悪化し始めた。
SCP-1799-JP-1-48 橋の上で、男性の胸元に視界を覆われている。 視野の大部分が男性の胸元で占められており、状況の詳細は不明。
SCP-1799-JP-1の発生周期が3日に1回の頻度に縮まった。
SCP-1799-JP-1-49 ゴザに座る一人の露天商と目が合う。露天商は驚くような表情で何かを口にするが、SCP-1799-JPは背を向けて走り去った。 場所は戦後のヤミ市で、露天商はSCP-1799-JP配偶者と推定される。服装の一致からSCP-1799-JP-1-48の男性と同一人物とみられる。
SCP-1799-JP-1-51 道端で数名の少年から石や泥状の物体を投げつけられている。 確認したDクラス職員は少年達から敵意を向けられているように感じたと報告している。
SCP-1799-JP-1-53 視界は天井に向けられており、裸のネグロイド系男性の胸元が前後に動いている。 性行為を行っていると推定される。
これ以降も不特定の人物との間で類似した状況が複数回発生している。
SCP-1799-JP-1-60 橋の上で米軍の男性兵士の袖を引いている。 当時SCP-1799-JPは連合国軍兵士相手の街娼を行っていた。橋はその特徴から数寄屋橋3と推定される。
SCP-1799-JP-1の発生周期が2日に1回の頻度に縮まった。
SCP-1799-JP-1-64 鏡の前で、厚化粧の女性から赤い口紅の引き方を教わっている。SCP-1799-JPは強張った表情をしている。 当時の街娼によく見られる厚化粧を行っている。
本事案発生後にSCP-1799-JPは配偶者との面会を要求するようになった。配偶者は嚥下障害による肺炎の治療中のため、容態が安定した後にサイト-8141に輸送する予定。
SCP-1799-JP-1-68 ラジオの前に多数の人が立ち、うつむいて涙を流している。 時期や周囲の状況から玉音放送と推定される。SCP-1799-JPの腕はやせ細っており、栄養状態の悪さが伺える。
SCP-1799-JP-1-70 公園のような場所に大量の焼死体が安置されており、その中の一つの遺体の前で手を合わせている。 目の前の遺体にSCP-1799-JPと同姓の名札が付いている事を確認。SCP-1799-JPの血縁者と見られる。
SCP-1799-JP-1-71 激しい人込みの中、橋の下の川に入り街の様子を見ている。至る所で激しい火の手が上がっている。 時期や周囲の状況から東京大空襲と推定される。
本事案以降SCP-1799-JP-1の赤色が薄れ始め、発生の度に透明に近付いている。
SCP-1799-JP-1-75 駅のホームで日本軍の軍服を来た若い男性にお守りのような物を渡している。若い男性はそれを受け取ると、真面目な顔をして何かを話している。 若い男性はSCP-1799-JP配偶者と推定される。
SCP-1799-JP-1が毎日発生するようになった。
SCP-1799-JP-1-77 少し離れた位置に立つ若い男性の横顔を見ている。若い男性はSCP-1799-JPの視線に気付いていない。 若い男性はSCP-1799-JP配偶者と推定される。
SCP-1799-JP-1の色が消え、完全に透明になった。
SCP-1799-JP配偶者の容態が安定したため、サイト-8141に輸送した。

補遺2: SCP-1799-JPと配偶者の面会の時間を設けた所、面会時の記憶のみでSCP-1799-JP-1の破壊4が行われるようになり、SCP-1799-JPとの交流の過程で配偶者の認知症の症状5が若干緩和されました。一時的な状態と考えられるものの、SCP-1799-JPの長期記憶の逆行の阻止に成功しており、現状を維持すべく配偶者の健康管理を行っています。

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