SCP-1811
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アイテム番号: SCP-1811

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1811はサイト-68の標準ロッカーに収容されます。実例SCP-1811-1から-217は現在、財団図書館制限セクションのD308号室に保管されています。これらの書籍へのアクセスにはクリアランスレベル3及びSCP-1811担当研究者の承認が必要です。

説明: SCP-1811は0.8m×0.8m×0.2mの本棚です。未特定の木材から作られており、褐色の塗装仕上げが施され、ベージュ色のビニール製滑り止めシートが貼られています。SCP-1811の棚の上に放置された本は融合し、複製サイクルを経て新しい本(SCP-1811-Xと指定、Xは作成番号)を生成する可能性があります。この過程で生成される本は異常な物理的特性を持ちませんが、潜在的に危険な情報が掲載されている場合があります。

融合が発生するには、お互いに直接接触している2冊の本が、相当量の埃が上に積もるまで放置されなければいけません。2冊の本は同じ文字で執筆されていなければいけませんが、同一の言語である必要はありません。2冊の文字が異なる発音区別符号を有する場合、複製は引き続き起こりますが、発生確率は低下します。例として、英語の本は一部のフランス語の本と融合することがありますが、キリル文字の本とは決して融合しません。

2冊の本が融合した後、その内容はシャッフルされ、オリジナルの本2冊に使われていた文字で書き記せる任意の言語で、新しい首尾一貫した文章を形成します。続けて、その本はページを複製して2倍の大きさになり、2冊の同一の本へと分裂します。さらに、分裂した本は再度内容をシャッフルしてからそれぞれ2冊の異なる本に分かれます。最終的に、オリジナルの本2冊はSCP-1811-X実例4冊に置換され、文字の総数は印刷当初の2倍に増大します。本が動かされる、埃の層が掻き乱されるなどした場合、融合過程は不可逆的に停止します。

カバーアートは複製されず、融合中に失われるか、SCP-1811-X実例の1冊によって未改変のまま使用されます。写真や挿絵が主体となっている本はSCP-1811の影響を受けません。しかしながら、方程式や化学式、表や図表を含む本の融合は発生します。結果として得られるSCP-1811-X実例では、これらの記号や線は再配置されて異なる式や表になります。

SCP-1811-1から-56は過去に存在を知られていない本であり、SCP-1811と共に回収されました。

SCP-1811-57は破られ、焼け焦げた未知の本の表紙です(“欺瞞と消失: 国家政治保安部の愉快なマジックトリック101選”、アズガロス・ジェルジンスキー著)。この本の表紙以外は発見されておらず、破壊されたものと推定されます。

SCP-1811-58から-217は財団の実験手順で生成された本です。

履歴: SCP-1811は1995年6月に古書店(マサチューセッツ州ウースターの“ペーパー・パゴダ”)で回収されました。店主のエイドリアン・バルズウェルは現在行方不明です。失踪当時、バルズウェル氏はアメリカ内国歳入庁の調査対象となっていました。彼は1989年から1994年にかけて、商業的な成功を収めた小説を様々なペンネームで出版し、総額およそ300万ドルの収益を得たことが判明しています。彼の失踪に関する奇妙な詳細と“ペーパー・パゴダ”で発見された本の不審な性質が、財団エージェント████████の注目を引き付けました。バルズウェル氏の日記はSCP-1811が異常オブジェクトである可能性を示唆していました。

補遺1811: エイドリアン・バルズウェルの日記の抜粋。この日記帳は劣悪な状態であり、大部分が破損して焼けています。

1976年1月19日
また原稿を突き返された。何故誰も私の小説を気に入ってくれないんだろう? 何故彼らはあんなにも意地が悪いんだ? 創作に取り組み続けているが、まるで円を描いて走っているようだ。毎日本を売っているんだから、自力で執筆できても良さそうなもんだ。

(追記) ラヴクラフト選集が見つからない。ウッドハウスの全集も消えた。きっとこの不細工なチビ本棚の裏に落ちているんだろう。見覚えの無い本を4冊見つけた。1冊はアルジャーノン・ホワイトウッドなる作家の中編小説“ブランディングズ城の影1。他に“恋の三角柱プリズムとその他のプラトニックならざる固体”という3ページの匿名の本もある。一体何なんだ? きっとタワーズの悪ふざけに違いない、あの(判読不能)。

1976年1月24日
驚いたことに、あの中編はなかなか読み応えがあった。軽いユーモアと悲観的な陰気臭さの取り合わせは実に奇妙だが、文章は見事だ。訊いて回ったが、誰も作者の名前を聞いたことが無い。私もこんな本が執筆できれば… 他3冊は酷い。グランにあげて屋外トイレにでも置いてもらおう。

1977年9月2日
またしても起こった。“弁証法シミュレーション理論” ふざけるな! こんな本は一度も買ってない。あの棚の本は繁殖している。他に説明が付かない。

(日付無し)
バカ猫が山を崩したせいでまた一からやり直しだ。遅くてかなわない。本の上に余分な埃をまぶせば魔法を加速できるかもしれないと思ったが、成功しなかった。しかし、垂直に積めば同時に複数の本を繁殖させられる。

(日付無し)
-こんなふざけた小説を読んだのは生まれて初めてだった。今、こいつと私の古い“現代物理学”(1931年版)を交尾させようとしている。面白い結果が得られそうだ! この小さな本棚は驚異だ。しかし、この知識は何処からやって来たのだろうか? 探り-

1995年6月9日
(判読不能) 猫が消えた。タワーズは何処だ? 掃除婦も見当たらない。人々は彼女の話すらしていない。 (判読不能) バカめ、“原稿は決して燃えない”2だと? やってやろうじゃ-

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