アイテム番号: SCP-1834-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: 定常なSCP-1834-JPへの転移現象の発生範囲である旧サイト-8143は周囲にフェンスが設置され、巡回警備を行います。フェンスの出入り用ゲート近くにはSCP-1834-JP収容/実験用セルを設置し、セル内には暗視カメラが配備されます。毎日の日没時にはSCP-1834-JP収容/実験用セルにDクラス職員1名を配置し、消失するまでカメラで監視を行います。SCP-1834-JPを探索する際には、前述のDクラス職員に指示を行い、ヘッドマウントカメラ及びGPS信号装置、標準的な探索用装備一式を装備させて実施されます。
説明: SCP-1834-JPは、我々の存在する世界(以下、基底世界)に類似した外見を持つ異世界です。SCP-1834-JP内へは、旧サイト-8143内でを中心にランダムに発生する、人間を対象とした転移現象によって侵入する事が可能であり、転移現象の発生には以下の条件が必要である事が判明しています。
- 午後11時から翌午前1時の間の時間帯である事。
- 転移の対象となる人物が照度10 lx以下の空間内に存在する事(転移する人物の人数及び空間の容積に制限は確認されていない)。
転移現象に転移対象の人物が気付くことは困難であり、外部からの観察では肉眼・観測機器共に、転移対象の反射率が連続的に低下し観測不可能になる形で消失する様子が観測されます。転移現象は1日に1箇所で、もし旧サイト-8143内にこの条件を満たす空間ないしは人間が存在しなければ、現象は発生しません。旧サイト-8143近傍の条件を満たした無作為な空間で発生する為、この現象を抑制する事は不可能です。転移に際して、当該人物が所持・装備した物品も共にSCP-1834-JPへ転移します。
SCP-1834-JP内は基本的には基底世界の複製ですが、以下の点に差異があります。
- 一切の生物が存在しない1。その一方、食料等の生物に由来する非生物的物品は問題なく存在している。
- SCP-1834-JP-Aを除く内部の電子機器類の一切が原因不明の機能停止に陥っている。
- SCP-1834-JP-Aが多数存在する。
SCP-1834-JPは探査された限りは転移イベント発生当日における午後5~7時の基底世界の複製であると判明しており、前回転移時に行われたあらゆる操作の痕跡が消失する事から、SCP-1834-JPは毎日更新/再生成されていると推測されています。 転移現象によってSCP-1834-JPに持ち込まれた物品は全て、SCP-1834-JPへの転移と同様の形式で基底世界におけるイベント発生後の日の出と共に基底世界上の対応する地点に転移します。
SCP-1834-JP-Aは、SCP-1834-JP内部に存在する敵対的な光源です。現在まで██種が確認されており、その詳細な特異性は個体ごとに異なりますが、以下の共通する性質が確認されています。
- SCP-1834-JP-Aの特異性は、オブジェクトが発する可視光によって形成された影または陰を媒介として発現する。特異性の強度は影ないしは陰を形成している光の照度に応じて変動し、2.5×105 lxで最大に達し、凡そ1 lx以下で観測不可能な程小さくなる。
- その特異性が生物に対して特異的に発揮される。元来生物特異的な異常性なのか、SCP-1834-JP-Aが生物のみを対象にするよう特異性を調整しているのかは不明。
- 自発的に流動する粘性のある黒い液体が多量に付着しており、SCP-1834-JP-Aはこれを専らの移動手段として用いる(一切移動しないSCP-1834-JP-A個体も確認されている)。液体は50 lx以上の照度に晒された場合、直ちに消失するが、光源を50 lx未満の環境へ移せば即座に復帰する。
- ある程度の知能を持ち、生物、特にヒトに対して極めて攻撃的に振る舞う。どの様にして生物・非生物を区別しているかは不明だが、試みられた全ての偽装工作は失敗に終わっている。生物と非接触時の活動と合わせて以下の様な行動様式が存在する。
- SCP-1834-JP内を徘徊している実体: 生物を発見していない場合、異世界内を無作為に散策している。生物を発見するとその生物を追跡し、特異性を用いて攻撃を試みる。
- SCP-1834-JP内の特定の地点に固定された個体: 平常時は唯の照明として機能し、生物を感知すると特異性を発現させ始める。
SCP-1834-JP-Aはその発光部を破壊する事で活動が停止し、特異性も消失します。
SCP-1834-JPは、20██/██頃からサイト-8143内で連続した職員の変死事件がきっかけで発見されました。当時はサイト-8143内に未知のアノマリーが存在する可能性が高いと考えられ、全職員が退避の上で機動部隊とDクラスによる調査が進められました。その結果、夜間にサイト内の調査隊が消失し、異なる空間へ移動する現象の存在が確認された事で、この異常性がSCP-1834-JPに認定されました。
オブジェクト認定によって転移現象に焦点を当てた調査が開始されました。この過程でSCP-1834-JP内部の探査及びSCP-1834-JP-Aの詳細な性質の解明も進行しました。
SCP-1834-JPの条件が明確となった事でサイト-8143は正式に放棄、収容される事が決定し、現在の収容プロトコルが制定される事になりました。ましたが、プロトコル施行の3日後、旧サイト-8143から██km北西に位置する████市内でSCP-1834-JP-Aに殺害されたものと一致する特徴のある変死体が発見された事で、SCP-1834-JPの再検証が行われました。結果としてSCP-1834-JPが旧サイト-8143外においても発生しうる事象である事が判明し、特別収容プロトコルの改定とオブジェクトクラスの変更が行われました。
現在も特別収容プロトコルの一環としてDクラス職員を用いたSCP-1834-JP-Wの探索が続けられています。特に、第███調査の際D-4124のカメラに撮影された現象についてのより詳細な解析が重要と考えられています。