SCP-1840
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SCP-1840の歴史的写真。

アイテム番号: SCP-1840

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1840の地理的な所在地は全面立入禁止区域に指定されています。全ての航空機及びドローンは、空撮写真・映像の内容を一般的な砂漠の風景と置換する偽情報プロトコルの対象となります。

武装した侵入者がSCP-1840の境界を越えた場合、回収後に身体中心部への複数の銃創と一致する三次救急症状に対しての医療処置を施す必要があります。これらは大部分が心理的な症状ですが、心因性の合併症が生じることも判明しています。最終手段としての記憶処理薬の使用は事前承認済みです。

治療後、侵入者には記憶処理を施し、解離性遁走状態の患者という名目で現地法執行機関に引き渡します。ニューメキシコ州政府に潜入している財団工作員は、歴史保存・地図作成・土地管理事業を妨害し、SCP-1840が確実に公的記録から抹消されるように取り計らいます。SCP-1840の“縛り首の木”の部分的な残骸はかつて収容されていましたが、測定可能な異常性を全く示さないことが確認された後、焼却処分されました。

説明: SCP-1840はニューメキシコ州にある異常な土地であり、SCP-1840-A及びSCP-1840-Bと指定される2体の浮遊性ガス状ヒト型霊体が出没します。SCP-1840の影響領域は、かつてシェイクスピアの名称で知られていたゴーストタウン1の境界と一致します。異常現象が発現する以前、この町は駅馬車の休憩地点であり、19世紀に無法者の私刑制裁が行われた場所として最も良く知られていました。2 ほとんどの建造物は既に存在しませんが、酒場、娼館/ホテル、飼い葉桶2個、風車小屋の大部分、墓地、及び屋外トイレの半分がまだ残されています。

SCP-1840の境界内の地形は、一連の砂丘と盆地から成るチワワ砂漠の一角にあたります。太陽光で漂白された動物の骨が常に存在するものの、現地の動物はSCP-1840の境界を越えようとしないことが知られています。領域内での異常現象が境界を越えることはありませんが、境界の縁辺部では頻繁に発生します。

SCP-1840-Aは身体に合った正装をしているように見える一方で、SCP-1840-Bは着古した服装に見えます。日没時に墓地に出現した後、SCP-1840-Aと-Bは両方とも覚束ない足取りで、SCP-1840の領域内をゆっくり円を描くように漂い始めます。非武装の人間が接近すると、片方または両方が非言語的な手段で意思疎通を試みます。SCP-1840-Aと-Bは連携せず、活動中に互いの存在に気付いている様子は全く見られません。両実体は必ずしも同時に出現するわけでも、同じ区画へ移動するわけでもなく、仮に遭遇した場合も明確な相互認識の兆候を示さず、交流しません。

装填済みの銃火器を所持した人物がSCP-1840に入ると、SCP-1840-Aと-Bは異なる形式で出現します。日中に侵入した場合、両実体は日没時にSCP-1840の正確な中心点に出現します。日没後に侵入した場合、-Aと-Bは共に町の中心点で互いと向かい合うように移動します。侵入者はSCP-1840から退出できなくなり、不可避的に中心部へと誘引されます。三者が町の中心に集合すると、SCP-1840-Aと-Bは拳銃の早撃ち決闘を行います。同時に、決闘の結果とは関係なく、侵入者及び過去の侵入歴がある人物らは、特定の部位12ヶ所を中心とする強烈な腹痛を感じ、意識を喪失します。この間、侵入者の身体は無意識で痙攣しながら空中浮揚し、あたかも12発の銃弾を撃ち込まれたかのような反応を示します。

遠隔生体測定では、侵入者の心臓の動悸が激しくなり、体温が最低でも華氏102度 (摂氏38.8度) まで上昇する様子が観測できます。意識を取り戻した侵入者は、口中に土の味を感じると報告しますが、これは水で口中を濯ぐと治まります。その後、SCP-1840-Aは活動期が終了するまで平時の行動を再開しますが、SCP-1840-Bはその場に静止し続けるか、またはSCP-1840の中心にうつ伏せに横たわって、観察者から“半狂乱”と表現される動きを取ります。疑似的な死の経験に予想される典型的な心理的トラウマを別とすれば、侵入者はいかなる時点でも実際の危害には晒されません。

日の出とともに、両実体はSCP-1840の北東端に移動します。ここにはかつて絞首刑用の木として使われていたハコヤナギが生えていましたが、現在は既に存在しません。横並びに立った後、両実体の身体から力が抜けて約1.5m上昇し、視認不可能になるまで薄れて消失します。消失する際、両実体ともにもがきながら自らの首を掴む様子が観察されています。このサイクルは、日の出に伴う最終的な消失の経緯も含めて、毎晩繰り返されます。

遺伝子系図調査の結果、観測可能なSCP-1840現象の統計的急増は、いずれもウィリアム・タッテンバウムとサンディ・キングの遠縁の親族たちが数百マイル離れた場所で親睦会を開いた日付と相関していることが判明しています。このデータの重要性は現在審査中ですが、その旨を付記したうえで当ファイルに掲載します。

正確な墓標や記録が無いため、タッテンバウムとキングの遺体を発掘する試みは成功していません。ほとんどの墓石は劣化して読み取れなくなっており、墓地の中心にある大きな花崗岩だけが現在も碑文を留めています。内容は次の通りです。

それは犯罪よりも尚悪しきもの、即ち過ちであった。

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