アイテム番号: SCP-1841
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1841はサイト-77特異文書棟内の標準収容ロッカー内に収容されます。SCP-1841の研究に割り当てられた職員はSCP-1841によって説明・明示されたすべての場所を含む特異性のないデジタルコピーの研究を行うことになります。試験中において、D-クラス職員のみがSCP-1841との直接の接触を許可されます。
説明: SCP-1841は古みを帯びたソフトカバー本であり、『死ぬ前に行くべき1001の場所1』というタイトルを持っています。ページ数は不定であり、4センチメートルの厚さを持ちます。 SCP-1841内に記された版権情報によると、この本は『Periscope Publishing』によって1989年に出版されています。捜査の結果、その名前は1985年に登録されているものの、いかなる本もそのレーベルの元に出版されておらず、使用されていないと考えられています。
初めの95ページにおいて、SCP-1841は関連のない95の有名観光地を列挙し主要な見所を説明します。加えて、SCP-1841が出版された当時での推奨される移動手段も記載されています。これら冒頭部の内容に由来する特異な性質は報告されていません。95ページ読了後、被験者はSCP-1841に記載されたさらなる場所や活動を報告します。これら報告されるものは閲覧毎に重複無く一意です。
95ページの後でSCP-1841によって説明される場所は、当初は被験者が物理的に到達できないような場所、例えば山の頂上や私有地などとなる傾向があります。被験者が読み進めるごとに、場所への到達難度は飛躍的に上昇し、あわせて説明もより扇情的かつ肯定的なものとなります。1997年09月18日現在、6件の使用されていない財団の物件2と、3件の使用されていない財団フロント所有の建造物が報告されていますが、使用されている施設が報告された例はありません。
被験者が1001ページを読み終えると、さらなる項目がSCP-1841内に出現します。これらの新しいページはSCP-1841に質量を追加せず、また次のページを読むために反転させると消失します。これらのページに載った場所の説明は被験者に直接向けられており、訪問中に被験者が遂行するべき指示が記載されています。その例は以下です:
場所 | 説明 | 指示 |
---|---|---|
古い家 | 親父が少し出かけたようだ。これのほとんどはあのGillespieのヤツに取り壊されるか傷つけられるかしたが、まだ古い池が残っている。あれは採石の引き上げや、新鮮な水を取るために使用されたものだ。 | 古い池に向かい、外にいるトンボに手を伸ばせ。そのトンボはまた飛んで逃げたりはしないだろう。しばらく座ったままでいてもいい。 |
高い場所 | それはどこかの森だ。思いだせ、それはまるでMaryの欲しがったものではないだろうか?お前は家にいて、こういった絵を何時間か描く。ふん、お前はそこにヒーロー番組のキャラクターを描いたっけな。たぶんそうなるはずじゃなかったんだが、いったい他に何を失うべきだというのだろうか? | すべての鳥、あなたが若い頃に姿をみせたその鳥たちの鳴き声を聴くために旅せよ。 |
グリーンハウス4 | 窓は割れてしまったが、まだ無事だ。古い隠れ家を訪れるならガラスに気をつけて、散らかった破片があるから。 | 鞘の中の種を数えよ。おそらくそれらに名を付けることになるだろう。そうすれば呼ばれる事がなければ育たなくなる。 |
外 | 君ならできる。君が土や泥の感触を足指の間に感じるようになってから随分経つが、それでもそこはまだ外なんだ。もし忘れてしまったのだったら、今がそれを思い出すことができる最後の機会だ。 | 雲が作ることのできるすべての形を見よ。雲の作り得ない形に名付けよ。 |
Travisの住処 | ずいぶん長い時間が掛かったが、彼は諦めた。みんな、結局はそうしただろう。 | 友の子の初めての足音を聴け。いかなる許しの言葉より良いものだ。 |
SCP-1841への暴露後、被験者はSCP-1841内で説明された場所への旅行に関する鮮明な悪夢を見たことを報告します。その夢において、目的地に到着する直前で目が覚めたこともまた報告します。幾らかの被験者がこれらの場所を訪問したいという強い欲求を感じたことを報告し、これらの場所を訪れSCP-1841に記された指示を遂行することを試みようとします。試みが成功したか否かを問わず、そのほとんどの者が自身の遂行に対して充足感を報告します。
SCP-1841はフロリダ州ジャクソンビルの高齢者居住施設にて、従業員がその特異な効果を地元の自治体に報告した後に回収されました。その発生源への調査の結果、SCPー1841は████ ██████という名の、最近に死亡した書籍収集家の高齢居住者が施設に持ち込んだものであることが判明しました。彼の死亡する以前、████ ██████は████████に所在する彼のかつての家を訪れたいという要求を11回行っていました。目撃者に対してはクラス-Cの記憶処理が施され、SCP-1841はSafeに分類されました。
補遺: SCP-1841の背表紙に発見された記述
あなたが目にすることの叶わない美や驚嘆の世界があります。この部屋の外には、あなたが成長し探検するための無限のポテンシャルを秘めた場所があります。でもあなたはそれを目にするができない。遅すぎたのです、あなたが生まれたその時から。生まれると同時に、触れることはおろか知ることさえ叶わなくなるものがあるのです。幾度かの夜、あなたはそれにもう少しで触れそうになります。半ば現実のものとなる時、それはあなたの面前に存在しうる物の巨大な平面として広がっています。
そしてあなたが目を覚ますと、あなたの目の前に広がるものはベッドシーツだけです。でもそれでよいのです。
たとえあなたの見ることができないものが沢山あったとしても、あなたが成し遂げたものだけで十分なのです。全てを見るのに足りる時間など持ち得ることはありませんが、あなたの持っているもので幸せになる時間ならあります。
もしその世界をあなたが見なかったとしたらどうなるでしょうか?家族、友人、そしてあなただけの体験があったでしょう。それは我々一人ひとりが持っているもので、あなたがこの思いやりの無い世界の全てから得たものです。あなたの見たことがないものが沢山あったとしても、その驚くべき未知の何かには決して見ることのできない物があります。あなたの体験です。
あなたはあなたのすべきだったことを終わらせました。さあ、休みましょう。おやすみなさい。