SCP-1848-JP
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SCP-1848-JP

アイテム番号: SCP-1848-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1848-JPはエリア-81JHの地下11層の高危険度人型用収容区画に拘束された状態で収容されます。SCP-1848-JPに不審な動向が確認された場合は、機動部隊による制圧が行われます。

SCP-1848-JPから没収に成功したSCP-1848-JP-A群はサイト-8181にSafeクラスオブジェクトとして収容されます。

GoI-8101による遺伝子施術を受けた人物を特定に成功した場合は、エリア-81JHの低危険度人型用収容室に収容されます。

説明: SCP-1848-JPは"児童保護救助士 ピディアトリクス・シルバー"を自称する人型実体です。未知の金属と繊維から構成される白銀色を基調とした装甲服及び各種装備(以下、SCP-1848-JP-Aと呼称)を着用しており、声質から若年の男性と推測されます。SCP-1848-JPは常にSCP-1848-JP-Aを着用しており、SCP-1848-JP-Aを脱衣させる試みは失敗しています。

SCP-1848-JP-AはSCP-1848-JPの身体能力を大幅に向上させている他、様々な能力を付与しています。以下は財団が確認しているSCP-1848-JP-Aの機能一覧です。
番号 説明
SCP-1848-JP-A-1 SCP-1848-JPの頭部全面に装着されたバイザー型モニター。SCP-1848-JPは「ダイアグノシス・バイザー・オメガ」と呼称しており、SCP-1848-JPはモニター越しに捉えた対象の氏名・年齢・性別・疾患・アレルギー・手術歴を一覧にして表示する機能を持つと証言しています。この機能に用いられるデータベースの由来は判明していません。
SCP-1848-JP-A-2 異常な切断力を持つ日本刀。SCP-1848-JPは「ムラクモ・ブレードAX」と呼称しており、抜刀されたSCP-1848-JPの刀身からはクラスⅨ神霊素反応が観測されます。元・蒐集院のエージェントの証言では、この霊素反応はSCP-1848-JP-A-2の切断力を大幅に向上させるとされています。また、生物がSCP-1848-JP-A-2によって斬撃を受けた場合は、その傷口が即座に回復します。
SCP-1848-JP-A-3 SCP-1848-JPの左上腕部に装着された発光装置。SCP-1848-JPは「ヒーロー・チャームZR」と呼称しており、SCP-1848-JP-A-3が放つ可視光を視認した人物にSCP-1848-JPへの好意を引き起こすミーム災害を齎します。このミーム災害は軽度の記憶改竄を併発します。
SCP-1848-JP-A-4 不明な動力で稼動し続ける携帯端末。ホログラフ投射による現実拡張を採用した操作タイプであり、SCP-1848-JPが「装甲救急ヘリ メヌエット・ハンドレッド」と呼称するヘリコプターを呼び出すのに利用されます。このヘリコプターは自律的に稼働し、GoI-8120"東弊重工"を由来とする殺傷兵器を駆使した火力支援を行います。
SCP-1848-JP-A-5 SCP-1848-JPが所持しているレーザー照射機。SCP-1848-JPは「エマージェンシー・レーザー」と呼称しており、照射された人物を消滅させます。この消滅した人物はLoI-0850"恋昏崎"へ転移していると予想されます。

SCP-1848-JPはLoI-0850"恋昏崎1"のローカルヒーロー2を自称しています。そのため、GoI-8139"超  電  救  助  隊Hyper Electric Rescue Organization"の所属を自称する実体群とは目的や活動内容が異なり、ショー公演の傍ら、児童をLoI-0850へ拉致することを主な活動内容としています。拉致の対象となる児童の法則性は発見されておらず、これに関してSCP-1848-JPは黙秘を続けています。については補遺.3を参照してください。また、SCP-1848-JPは財団とGoI-8101"日本生類創研"に対し敵対的な態度を示しており、特にSCP-1848-JPによる日本生類創研への頻繁な襲撃が報告されています。

補遺.1: SCP-T5HM-JPとの関連性

SCP-1848-JPはSCP-T5HM-JPとの関連性が指摘されています。SCP-T5HM-JPは"神速小児救命士 ピディアトリクス・シルバー"を自称していた人型実体であり、自称する名前や装備等外見的特徴に類似点が多く存在します。SCP-T5HM-JPは超電救助隊の古参構成員であり、財団に対し約40年に渡り敵対的妨害活動を行っていました。以下はSCP-T5HM-JPの装備品であったSCP-T5HM-JP-Aの一覧であり、SCP-1848-JPとの関連性を指摘する根拠の一部です。
番号 説明
SCP-T5HM-JP-A-1 SCP-T5HM-JPの頭部全面に装着されたバイザー型モニター。SCP-T5HM-JPは「ダイアグノシス・バイザー」と呼称しており、SCP-T5HM-JPはモニター越しに捉えた対象の疾患・手術痕を一覧にして表示する機能を持ちます。特に手術痕の発見精度は極めて高いことが確認されています。
SCP-T5HM-JP-A-2 異常な切断力を持つ日本刀。SCP-T5HM-JPは「ムラクモ・ブレード」と呼称しており、生物がSCP-T5HM-JP-A-2によって斬撃を受けた場合は、その傷口が即座に回復します。
SCP-T5HM-JP-A-3 SCP-T5HM-JPの所持する薬品。SCP-T5HM-JPは「ヒーロー・チャーム」と呼称しており、SCP-T5HM-JP-A-3を服用した人物にSCP-T5HM-JPへの好意を引き起こすミーム災害と軽度の記憶改竄を齎します。服用者へ█████剤を投与することで、この異常性から回復させることが可能です。
SCP-T5HM-JP-A-4 SCP-T5HM-JPが所持している携帯端末。㈱NTTドコモ社が販売している"らくらくホン"と同様の外見的特徴を持ちます。主にSCP-T5HM-JPが「装甲救急ヘリ メヌエット」と呼称するヘリコプターを呼び出すのに利用され、このヘリコプターは主にSCP-T5HM-JP-A-5によって回収された人物を自動で回収し、付近の医療施設へ運搬する用途として運用されます。
SCP-T5HM-JP-A-5 SCP-T5HM-JPが所持しているフルトン回収装置。SCP-T5HM-JPは「エマージェンシー・フルトン」と呼称しており、取り付けられた人物をSCP-T5HM-JP-A-4が待機する高度まで高速で打ち上げます。児童へ使用することを想定した設計がされており、従来のフルトン回収システムより被回収者への負担が少ないことが報告されています。主にSCP-T5HM-JPが医療的な処置を行った後に利用されます。

SCP-T5HM-JPは、主に児童が災害に被災した際に出現し、救命救助活動を行います。SCP-T5HM-JPは被災児童の救助のため、SCP-T5HM-JP-A-2を利用することで建造物等の障害物を排除し、最短距離で救助を行います。その際に建造物等の崩壊を誘発し、被害を拡大させる傾向にあります。また、財団に収容される直前はその活動内容に不審な点があり、市街地などに突如出没し、児童を拉致する様子報告されています。拉致される児童の法則性は発見されておらず、SCP-T5HM-JPにより拉致された児童は現在も捜索中です。SCP-T5HM-JPはエリア-81JHに収容されていましたが、インシデント-1WJK-JP"スマイリーデグレート"の混乱に乗じ脱走しています。

補遺.2: SCP-T5HM-JPの死亡に関する情報獲得

GoI-0853"恋昏崎新聞社3"のウェブニュースによって、SCP-T5HM-JPの死亡が報道されていることが判明しました。SCP-T5HM-JPの本名は片倉銀矢であり、██████小児病院の元院長であることが判明しています。 行方不明として捜索願が提出されており、その時期はSCP-T5HM-JPが財団に収容された時期と一致します。この病院を調査した所、院長室から間取りに無い地下空間へ続く昇降機が発見されました。この地下空間からは、他の超電救助隊の構成員と連絡を取るための通信機器や、SCP-T5HM-JP-A-2を除くSCP-T5HM-JP-Aのスペアが回収されており、SCP-T5HM-JPの活動拠点だと判明しています。また、病院内ヘリポートに保管されていたドクターヘリより光学的な偽装が発見されており、正体はSCP-T5HM-JPが「装甲救急ヘリ メヌエット」と呼称するヘリコプターでした。これらSCP-T5HM-JPに関するオブジェクト群はサイト-8181に収容されます。

恋昏崎新聞社によるウェブニュースの配信年月日は2018年1月7日であり、SCP-1848-JPはSCP-T5HM-JPの死後活動を開始した模倣犯であることが推測されます。ウェブニュースにはSCP-T5HM-JPがエリア-81JHを脱走後、恋昏崎へ遁走したことを示す内容が含まれており、SCP-1848-JPが恋昏崎のローカルヒーローを自称していることと関連性が指摘されています。

ウェブニュース全文はこちらを参照してください。

補遺.3: 児童拉致に関する法則性の発見

PoI-8101"日本生類創研"の配布しているカタログにて、"ジーニアス・ジーン施術"と呼称される施術を受けた経歴を持つ人物と、SCP-1848-JPやSCP-T5HM-JPにより拉致された人物の名簿が一致しました。この施術は現在でも販売されていると推測されるため、財団諜報部は購入者の追跡と特定を行っています。

"ジーニアス・ジーン施術"販売カタログの全文はこちらを参照してください。

補遺.4: インタビュー

SCP-1848-JPは自身の来歴について有力な証言を行っていませんでしたが、上記情報をもとにSCP-1848-JPに対しインタビューを行った所、情報の獲得に成功しました。以下はインタビュー記録の抜粋です。

証言記録『SCP-1848-JP』 #7
2019/11/1


≪開始≫

[インタビュー室にエージェント・時任(以下、時任と呼称)が入室する。]

SCP-1848-JP: あ! テメェ! [罵倒]、開放しやがれ、[罵倒]。

[時任が恋昏崎新聞社のウェブニュースを印刷した書類をSCP-1848-JPに差し出す。]

SCP-1848-JP: あ? なんだこれ──

[お互いに数秒無言]

時任: この記事で言及されている人物に覚えはありませんか?

SCP-1848-JP: こんなオッサン知らねーな。ピディアトリクス・シルバーってのは俺んことだからな、こんなフカシくせぇオッサンが死のうが興味ねーっつうの。

時任: 貴方がピディアトリクス・シルバー本人で無いことは分かっています。そして超電救助隊の構成員で無いこともです。

SCP-1848-JP: んだコラ。決めつけでモノ言いやがって。証拠でもあんのかオラ。

時任: もう何ていうか品質が低すぎるんですよ。そんな口調で話すヒーローが居ますか? 

SCP-1848-JP: あ? ち、ちげぇし。あれだよ、オンとオフってもんがあんだろうが。

時任: 本物はその辺も徹底してましたよ。よろしければ本物の生前の映像をお見せしましょうか?

SCP-1848-JP: え? マジで? 見せ──

時任: [無言で笑顔を浮かべる]

SCP-1848-JP: [舌打ち]、馬鹿じゃねぇの……。知らねぇよ。

時任: もう1度聞きます。この記事で言及されている人物に覚えがありますか?

SCP-1848-JP: [数秒無言] [ため息] それは俺たちの義理の親父だ。

時任: 義理の親父? それに"俺たち"とは?

SCP-1848-JP: このニュースで書かれている親父の後継者ってのは俺たちのことよ。俺たちは全員親父に保護された"先天性ジーニアス遺伝子疾患症"の患者だ。まぁ漢字あんまり読めないからよく知らねんだけど。

時任: 先天性ジーニアス遺伝子疾患症? うーん、その病名には聞き覚えがありませんが、もしかして日本生類創研と関係があるのではありませんか? ジーニアス遺伝子という単語は日創研が配布しているカタログで見かけたことがあります。

SCP-1848-JP: そこまで知ってんのか。その通り。俺たちは親のエゴと日本生類創研によって生き方を歪められたガキたちだ。親父はよく俺たちみたいなガキを見つけては連れて帰ってきては、親代わりになって飯食わせてくれてね。

時任: そういう繋がりなのですね。ピディアトリクス・シルバーの後継者などと書かれていますが、やはり全員そのような装備を?

SCP-1848-JP: いやいや、流石に皆は普通だわ。親父は俺たちが真っ当な生き方をできる様に医者になる勉強を教えてくれたんだよね。親父がピディアトリクス・シルバーって名前で結構荒いことやってたのなんか知らなかったもん。

時任: 今の貴方の現状は、その証言と全て矛盾して見えますが。まず貴方は医師になっていないですよね。医師にならなかったとしても貴方の活動には医療行為が含まれていません。貴方がそこまで恩師を慕い、ましてやピディアトリクス・シルバーを名乗っているならば……、と思うのですが。

SCP-1848-JP: 他のヤツらは医者になったよ。今でも親父の残した診療所を守ろうと必死に働いてるじゃないかな。俺も頑張って勉強したけど、[無言]、医者にはなれなかったな。

時任: まぁ、医者はハードルが高い職業ですからね。でも、だからってその現状は随分と飛躍してますね。診療所の運営は医師だけでは難しいのでは? 手伝えることはいくらでもあると思いますが。

SCP-1848-JP: なんて説明すりゃいいのかな。えっーと。俺の本名は横山格闘王チャンピオンって言うんだ。格闘王って書いてチャンピオン。ふざけてるよな。

時任: 横山? 横山っていえば同様の苗字の方がカタログのモデルケースとして書かれていた気がしますね。何か関係があるのでしょうか?

SCP-1848-JP: ああ、やっぱり知ってるよな。そうだよ。あのカタログのモデルケースとして書かれてたヤツ。あれ、俺のことなんだよね。

時任: 確か、顧客の希望が喧嘩師だとかファイターだとかでしたね。あれが貴方のことだったとは。

SCP-1848-JP: ああ。だからか分からないけど、俺は何かあるとすぐカッとなっちまうんだ。親父に保護される前は学校一の問題児、保護された後も恋昏崎が誇る暴力野郎。親父を殴ったことだってある。自分でも制御できないんだ。そんなんだから、昔から勉強はできなかったし、友達もいない、正直アイツらとも折り合いが悪くてさ。医者なんて絶対無理だったし、今更勉強って言われても全然ダメで。

時任: うーむ。では、そんな貴方がピディアトリクス・シルバーを名乗るように切っ掛けは何だったのでしょう。

SCP-1848-JP: あれは親父の葬式だった。親父の死は耐え難い出来事だったけど、親父の葬式は俺の転機になってくれた。親父の葬式には、親父の昔の仲間が来てた。さっきも言ったけど俺らはその人たちに話を聞くまで親父の昔の仕事を知らなかった。

時任: 本気で貴方達を医師として育てるつもりだったのでしょう。そのために過去の経歴も隠して貴方達に接していたのでは。

SCP-1848-JP: 俺もそうだと思う。俺はあの人たちに「貴方達みたいになるにはどうしたらいい?」って聞いたんだ。でも「親父の遺言だから」って教えてくれなかった。アンタの言う通り、そういうことだよな。でも俺は親父の昔の仕事を聞いてこれしかないって思った。戦うことで誰かを守ったり、助けたりすることができる道があることに気付いたんだ。

時任: それが動機という訳なんですね。

SCP-1848-JP: その後はコッソリと遺品として棺桶に入れられた親父のスーツと装備を持ち出して、恋昏崎の連中に改造を依頼したんだ。親父がアンタらに負けたって話も聞いてたからな。恋昏崎の連中も最初は反対してたけど、俺が実際に子供を保護して帰ったらエライ喜んでさ。俺にも居場所がやっと出来た気がして凄く嬉しかった。そうやって充実した生活をしていたらいつの間にか暴力衝動も起きなくなってさ、これこそ俺の生きる道だって思ったよ。

時任: ピディアトリクス・シルバーの意思とは反しているように感じますが、貴方はそれでもいいのですか?

SCP-1848-JP: もちろん親父の意思は俺の後ろ髪を引っ張ってくる。だけど、日本生類創研は未だにあの施術を堂々と販売してやがる。俺のようなヤツがまだまだ居るはずなんだ。俺はそんなヤツらを放っておけない。親父の意思と反していたといても、今が救われないと未来はもっと救われないと俺は思う。だから俺は諦めない、このスーツも脱がない。ハハッ、なんか元気が出てきた! さぁ! 悪の秘密結社共、俺を今すぐ解放しろ!

≪終了≫

現在、SCP-1848-JP-A-2を利用することでSCP-1848-JPの装備を切断し、SCP-1848-JP本体を露出させる試みが検討されています。SCP-1848-JP本体は現在調査中のジーニアス・ジーン施術、並びに先天性ジーニアス遺伝子疾患症の調査検体としてサイト-8161に移動させられます。

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