SCP-1849-JP
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SCP-1849-JP

アイテム番号: SCP-1849-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1849-JPはサイト-81██の低脅威度異常物品収容室に収容されます。SCP-1849-JPに関する実験の申請にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員から許可を得る必要があります。

説明: SCP-1849-JPは幅455mm奥行き520mm高さ1790mmの、掃除用具の収納を目的としたロッカーです。材質はスチール製であり、耐久性・性質共に異常な点は見受けられません。SCP-1849-JPには空気を循環させるための小さな孔が上下に存在し、そこから内部を確認することが可能です。

SCP-1849-JPの扉の内側には会話機能を有するインターホンが接着されています。このインターホンには四隅にネジを打ち込み固定するための穴が存在するものの、インターホンとロッカーの接着には瞬間接着剤のようなものが用いられています。接着しているインターホンは充分に機能しますが、X線検査によって内部には電源や配線、押しボタン用のスプリングなどが存在せず、プラスチック製の外装でしか構成されていないことが判明しています。このインターホンは一般に市販されている家庭用のそれと一致しており、同型番のものは異常性が確認できないことから、SCP-1849-JPの本質はSCP-1849-JP-1及びSCP-1849-JP-1が存在する空間であるとされています。

SCP-1849-JPの異常性は、SCP-1849-JPの内部に人間(以下、対象)が入室し、扉を閉めた状態でインターホンのボタンを押すと発現します。インターホンを押すと外側からの開扉のみが不可能となり、インターホンの会話機能を用いてSCP-1849-JP-1が対象と会話を行います。この際、外部の人間は先述した孔から対象を観察できますが、対象は「孔が何かで塞がれて外部を視認できない」と主張します。これは対象に装着されたヘッドカメラからも同様の現象が確認できます。この現象はSCP-1849-JP-1との対話が終了するまで持続します。SCP-1849-JP-1との対話は対象がSCP-1849-JPから退出することで強制的に終了させることが可能です。

SCP-1849-JP-1は不明な成人女性です。SCP-1849-JP-1に関する詳細な情報は未だ不明です。また、実験時にSCP-1849-JP-1は自身についての情報を主張することがありますが、SCP-1849-JP-1の存在をインターホン越しでしか確認できない特性上、これらの主張を裏付ける物的証拠は存在せず、信憑性に欠けることに留意してください。

SCP-1849-JPは2001/11/15に行われた京都市立████小学校跡地での地中埋設物調査の際に発見されました。発見当時、SCP-1849-JPは扉が開かれた状態で地中に埋没しており、不法投棄された非異常性の物品であるとされていましたが、SCP-1849-JPの内部に満ちた土が周囲の土よりも明らかに多くの火山灰を含んでいることが判明し、異常性を保持している可能性が疑われ、財団によって回収・調査されました。結果として──なぜ火山灰が多く含まれていたのかは不明なままですが──SCP-1849-JPの異常性が明らかになりました。


SCP-1849-JP.実験006(アクシデント001)


実施日: 2001/12/1
監督者: 赤井博士
被験者: D-88084

補足: 実験を円滑に行えるよう、D-88084には予めSCP-1849-JPに関係する凡その情報を通知しています。また、D-88084は密閉型の通信器を自身の右耳に装着しています。


<記録開始>

赤井博士: 体調は良好ですか?D-88084。

D-88084: いつも通り。それともあれか?今にもゲロ吐きそうっつったら実験やめてくれんのかい、博士さんよ。

赤井博士: それが事実であれば。

D-88084: [沈黙] まぁやるけどよ。で、このロッカーに入ればいいのか?随分とぼろっちいようだが。

赤井博士: そうです。内部に入室した後、扉を閉め、内側に付けられているインターホンを押してください。

[D-88084がSCP-1849-JP内部への入室を試みる。D-88084の体格はSCP-1849-JPの内寸法より少し小さい程度であり、胴体を捻らせることで辛うじて身体をSCP-1849-JPに収める]

D-88084: キッツイな。もっと小柄なヤツに実験させるべきじゃねぇの?

[D-88084が扉を閉める。SCP-1849-JP上部の孔からはD-88084の側頭部が確認できる]

D-88084: [嗚咽] クッセェ、じーちゃんを思い出すわ。狭いし暗いし、おまけに──これは砂か?床がなんかジャリジャリしてるんだよな。ちゃんと実験前に掃除したのか?……おい博士!この孔からじゃ外はあんま見えねぇけどいいのか?

赤井博士: 結構です。

D-88084: オーケー。じゃ、押すぞ。

[D-88084がSCP-1849-JP内部のインターホンを押下する。実験室に"ピンポーン"と軽やかな音が響く]

D-88084: うおっ、真っ暗で何も見えねぇ。博士、そこにいるよな?確かに孔が無くなった、というか塞がれ──

SCP-1849-JP-1: はーい。えっと……どちらさまでしょうか?

D-88084: [咳払い] ええっと、こんにちは。突然すみません、少々お聞きしたいことがございまして。

SCP-1849-JP-1: はぁ。

D-88084: おかしな事を聞くのですが、あー、ここは一体どこなんでしょうか。実は道に迷ってしまって途方に暮れているんです。

SCP-1849-JP-1: どこって言われても、うーん。██町だとしか言えないですけど。

D-88084: やっぱり困惑しちゃいますよね。いやぁ、変なこと聞いちゃってすみません。██町、██町ね。

[補佐研究員によって██町はSCP-1849-JP発見場所の████小学校から約400m離れた地域であることが判明する。これを受け赤井博士はD-88084に指示を出す]

SCP-1849-JP-1: あの?

D-88084: あぁ、すみません!もう一個聞きたいことがございまして、えっとそのですね、ここから████小学校までの道順を教えて頂きたいんですよ。

SCP-1849-JP-1: 道順、ねぇ。[沈黙] 貴方、お名前を教えてくれません?

D-88084: え。

SCP-1849-JP-1: 貴方ちょっと怪しいんですよね。私、最初に聞きましたよね、「どちら様ですか?」って。自分は質問しといてこっちの問いかけには答えないなんて変な話じゃないですか?

D-88084: いやいや、怪しくないですって!そう言わずに教えてくださ──

SCP-1849-JP-1: 帰ってくれますか?道順は他の人に聞いてください。怖いんですよ、貴方。

D-88084: 分かりましたよ!██1です。██と言うものです。すみませんね、怪しくて。

SCP-1849-JP-1: え、あぁ!はいはいはいはい!██2さんとこの!こっちに帰ってきてたのねぇ。ごめんね疑っちゃって。

D-88084: [沈黙] え、えぇ、そうです。母を知っているんですか?

SCP-1849-JP-1: 知っているも何も、████小学校のPTAでよく一緒に仕事してたのよ3。随分とやんちゃ坊主って聞いてたからどんな子かと思ってたけど、案外しっかりしてるじゃない。 [笑い] で、████小学校までの道が分からないって話だったよね?

D-88084: あの──

SCP-1849-JP: えっとー、そこのT字路を左に曲がって、その先にある長い階段を登ったら右手に小さなタバコ屋があるんだけど、それを通り過ぎた先にある信号の、あー、もう一個先の信号!そこを右に曲がると████小学校の校門が目の前にあるから。わかった?二個目の信号ね!いやでも懐かしいわねぇ。あの時は貴方のお母さんとよくランチに行って……

[途中、D-88084が自身の出身地に異議を唱えるも、SCP-1849-JP-1は聞いていないのかD-88084の母親に関係する昔話を絶えず話し続けている]

D-88084: [小声で] 博士、聞こえるか? 何言ってもコイツの耳には届かねぇみたいだ。もう外に出ていいよな?このクソアマと話してると気色悪くて吐きそうだ。

赤井博士: そうですね、ひとまず今回はこれで終了としま──

SCP-1849-JP-1: いけない!お外はものすごく寒いでしょう?ごめんなさいね、そんな中長話を聞かせちゃって。とりあえず家の中にお入りくださいな。

D-88084: は?

[SCP-1849-JPから"ガチャリ"と鍵を開けるような金属音が鳴る]

D-88084: [沈黙] おい、今なんか鍵を開けたような音がしなかったか?博士、これって扉を開けて大丈夫なんだろうな?

赤井博士: 今までの実験結果によれば、全ての被験者は扉を開けてSCP-1849-JPから退出しています。

D-88084: あぁ、俺もそう聞いている。で、その中に今みたいな鍵の音が鳴ったことは?

赤井博士: 残念ながら。

SCP-1849-JP-1: 遠慮しなくていいのよ。

D-88084: [罵倒] 黙ってろ!たまたまに決まってる。どうってことない。大丈夫だ、あぁ、大丈夫……。

赤井博士: どちらにしろSCP-1849-JPの出口はその扉のみです。安心してください、D-88084。我々には孔から貴方の刈り上げた頭が見えていますよ。扉の先にいるのはSCP-1849-JP-1ではなく、我々です。

D-88084: オーケー。[深呼吸] じゃ、開けるぞ。

[D-88084がSCP-1849-JPの扉を足で蹴り飛ばす。D-88084の顔は青ざめ、額には大粒の汗を浮かべている]

赤井博士: お久しぶりです。

D-88084: ……あぁ。

[D-88084が身を捩らせてSCP-1849-JPからの退出を試みるが、その体格のために苦戦する。約2分後、突如として身体がSCP-1849-JPから外れ、勢いのついたD-88084は転倒する]

D-88084: [うめき声] クソッタレ。

<記録終了>


実験後、D-88084はSCP-1849-JP内部に細かな砂が多く存在していたと主張しました。すぐに事実確認が行われましたが、SCP-1849-JP内部にD-88084の主張を裏付けるようなものは発見されませんでした。しかし、D-88084の靴裏には確かに砂状の物質が多く付着していました。検査の結果、これらは砕かれた飴であることが判明しました。

追記: 実験記録006でSCP-1849-JP-1が主張していた道順を████小学校から逆走し、SCP-1849-JP-1の存在位置を特定する試みが行われました。その結果、調査隊員はSCP-1849-JP-1の存在位置が最終到達可能地点から計測して約3m下の地中に存在すると報告しました。

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