アイテム番号: SCP-1855
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1855の入口周辺に設けられた境界は常時維持されます。道路の入口にはバリケードが設置されており、民間車両は私服エージェントから引き返すように誘導を受けます。SCP-1855への入口近辺に位置する物は定期的に保安カメラで監視を行います。
SCP-1855-1の挙動に変化が見られた場合、即座に収容担当職員へと通知し、至急対処すべきです。
説明: SCP-1855は、ルイジアナ州ポートヴィンセント近郊にある田舎道の終端に位置する物理領域です。SCP-1855の先には3kmの曲がりくねった舗装路が続いています。周辺領域には樹木が鬱蒼と茂っており、数ヶ所に住宅と小さなゴミ捨て場が存在します。
被験者は、2kmの地点に差し掛かった時点で、白い車体塗装を施された1967年型フォードF-100ピックアップトラック(SCP-1855-1)と遭遇します。SCP-1855-1はまず進路を遮った状態で出現し、1分後に遭遇車両を誘導してルイジアナ州高速道路22号線へと通じる舗装路の残りを送り届けます。SCP-1855-1の挙動は、道路を包括する工事現場で運転者たちを支援するために一般に用いられている先導車両のそれと同じであるように思われます。被験者がSCP-1855-1を無視して通り過ぎた場合、SCP-1855-2へと辿り着くことになります。
SCP-1855の入口を越えて中に入った対象者と、それ以前に侵入した対象者は、現時点では不明な理由から、領域内ではお互いに如何なる手段でも接触することができません。これは各SCP-1855事案が侵入した時間ごとに固有の物であることを示唆しています。入口の境界を越えた対象者を外部から観察した場合、一時的に(境界線を越えた後で)バックで逆走し、束の間停止した後、車の後部から前方に向かって走る“波”と共に消失する様子が知覚されます。
SCP-1855-2はルイジアナ州高速道路22号線およびその周辺領域と同一の空間ですが、少なくとも300km、もしくは無制限に何処までも続いています。この領域/次元は既知世界のレプリカだと考えられてはいますが、文書1855-Aに概説されるような数多くの変則性を内包しています。SCP-1855-2に侵入した対象者などの外部導入された存在は、本来であれば致命的結果を齎すであろうこれらの異常要素に対して脆弱性を示しません。
SCP-1855-2は、それまで通行してきた経路をループしてSCP-1855に再侵入すれば、脱出可能です。
文書1855-A: SCP-1855現象
内部存在の停滞 | |
機械的 | SCP-1855に侵入すると、それ以前には動いていたはずのメカニズムは機能しなくなります。SCP-1855内で機能しない物品にはアナログ時計、ウォームギア、車のトランスミッション、電動ドリルが含まれます。機械的システムは電源に繋いで動かすことが不可能になります ― 手動で活性化された物品は、その物品自体にダメージを与えること無く機能し続けることができません。 |
有機的 | SCP-1855の内部で生きている知的存在は発見されていません。SCP-1855内で見つかった動植物は身動きせず、腐敗してはいないものの、死んでいると考えられます。これらの死んだ動植物を動かす試みには効果がありません ― 如何なる強い力を加えても、死骸の組成や位置には僅かな変化すら起こりません。 |
外部導入 | 外部から侵入した対象者は、SCP-1855の大気中における、通常は居住に適さないような“自然の”変則性の影響を受けないように思われます。凍り付くような温度や限られた酸素供給量といった物事は、対象者に効果を及ぼしていません。空腹などは引き続きSCP-1855内の外部対象者に影響し続けます。 |
環境の停滞 | |
時間 | [データ削除済]動時計は、あたかも時間の動きが前後しているかのように、まともに表示されなくなります。SCP-1855内部には昼夜サイクルが無いように思われ、SCP-1855に侵入した時間帯の様子に固定されています。 |
気温 | 気温の変化は存在しません。SCP-1855に侵入した時間帯の気温と同一の状態が保たれます。 |
その他の異常性 | 電荷、波、および酸化は存在しません。SCP-1855内の光と熱感が何に由来しているのかは解明されていません。 |
SCP-1855-1へのインタビュー: SCP-1855-1の車内に位置している実体は、目の高さまで引き下げられた濃い着色ガラスの窓が原因で、部分的にしか視認できていません。
SCP-1855-1: 車ん中で待ってな、こっから先じゃ解体工事をやってんだ。
エージェント ブリーン: ちょっと質問があるんだけど。
SCP-1855-1: ならさっさと済ませてくんな、アンタのせいで道路が詰まっちまうじゃねぇか。
エージェント ブリーン: この道路で先導車を運転してるのはいつから?
SCP-1855-1: 可笑しなこと訊いてきやがる。そう長くはねぇよ。今朝方起きて、トラックに乗って、現場まで一直線だ。アンタ警察? 俺ぁ何も悪いことしてねぇぜ。
エージェント ブリーン: この道路は何処に続いてる?
SCP-1855-1: LAの22号線だ。でもまぁ、引き返すことをお勧めするがな。アンタが行きたいとこは何処にも繋がらねぇよ、少なくともすぐさまには。どっちを向いても家や空き地が10マイルばかり続くだけだ。曲がりくねった道や突き当りや個人地所も山ほどある。州間高速に乗ったらどうだい。
エージェント ブリーン: ここで実際に工事が行われてるようには見えないけどね。居るのは君だけだし、22号線に繋がる道も綺麗に舗装されてるみたいだし。
SCP-1855-1: おいアンタ、俺はただ先導用のトラックを運転してるだけだぜ。もし何かここの着工計画について知りたきゃ、バトンルージュまで行ってそこの責任者と話してくれ。
エージェント ブリーン: 車から降りてくんないかな。
SCP-1855-1: あぁクソ、なんか胡散くせぇなと思った。いいか、バッジを見せねぇうちは俺は絶対降りねぇぞ。
エージェント ブリーンはFBIの身分証明バッジを取り出す。
SCP-1855-1: ウヮーォ、こいつは面白いことになって来やがった。
SCP-1855-1の窓が引き上げられ、トラックのドアが開く。車内には如何なる実体の姿も認められなかった。車内で発見された品々は次の通り ― 香り付きタバコ1箱(6本入り)、水1ガロン、マッチブック1つ、車内の床に転がる明らかに未使用のマッチ174本、トランプのセット1箱、未開封のコーンチップ1袋、キャンディバーの包み紙1枚。