SCP-1860
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アイテム番号: SCP-1860

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:監視担当職員の利便性を考慮し、SCP-1860は人型用標準サイズの防音収容室に収容されます。収容室には排水システムが設置され、SCP-1860-1を保管セクター-57に送ります。SCP-1860とのコミュニケーションは不必要であると考えられており、許可がない限りは最小限に抑えられるべきです。

説明:SCP-1860は非常にやせ衰えた人型の実体です。全高は2.1mで体重は31kgです。SCP-1860の頭部は異常に引き伸ばされており、顔面組織を含めたすべての内部組織を欠いています。SCP-1860は細い紙の繊維からなる一様な物体で全身を包み込んでいます。この紙のシートは一般的な紙よりも高い耐久性と伸縮性を示します。原料となった樹木の特定は為されていませんが、最も近いのはHellbrunner Asleeであると見られています。SCP-1860は祈るような体勢1を通常維持していますが、動かしたり輸送したりといった試みに対して一切抵抗しません。

SCP-1860は水性の黒インク(SCP-1860-1)を常に分泌しています。発生源は腰の下にある数百個の顕微鏡レベルの開口部です。24時間あたりおよそ5リットルのSCP-1860-1が分泌されます;インクはSCP-1860に操作されない限り異常な性質を示さず、通常通り筆記や描画に使用することができます。

SCP-1860は念動的作用によりSCP-1860-1をさまざまな形状に操作することができます。通常は音符や休符などの楽譜表記に用いる図形のみを形作ります。SCP-1860はこれを地面から0.6mの距離に浮遊させ、自身の周囲を時計回りで回転させます。生成される音符や記号は、SCP-1860のパフォーマンスにおけるボーカルパートのリズムに直接的な相関関係を持っています。

SCP-1860は常にアリアやオペラの序曲を口ずさんでおり、休憩は曲と曲の間に5秒間とるのみです。SCP-1860は歌ごとにパート(ソプラノ、アルト、テノール、バス)を合わせられるように、自身の声を自在に変える能力を持っています。和音や複数のメロディを歌う必要がある場合、SCP-1860は必要なパートすべてを同時に歌ってみせますが、観察者からは単一のメロディを歌っているようにしか視認できません。歌の中で発声する必要があれば、SCP-1860は女性や子供の声に擬態することも可能です。歌う曲はさまざまな国や時代にわたっており、選択基準は不明です。

SCP-1860は█████ ████████の外れにある博覧会場にて、焼け落ちた小屋の下から発見されました。発見当時SCP-1860は小さな声でハミングしており、ごく小さなSCP-1860-1をいくつか伴っていました。周辺地域を探索したところ、「ハーマン・フラーの不気味サーカス」のポスターが貼られた異常性のない物品がいくつか発見されました。SCP-1860付近で発見された物品から、「神秘の歌声、打ちひしがれた黙想」と書かれたポスターの燃えかすが発見されました。法医学エージェントの捜査により、財団職員が現場に到着するおよそ5時間前に火災が発生したと結論づけられました。

下記は封じ込め後にSCP-1860が行ったパフォーマンスの例です。要注意団体ハーマン・フラー調査のためSCP-1860の選曲を確認する場合は文書Ero-2M/1860を参照して下さい。
曲の例 歌われた日時 追記
ドイツの作曲家カール・マリア・フォン・ウェーバーによる魔弾の射手第一幕 199█/6/18 SCP-1860はすべてのパートを歌った。休憩中、SCP-1860は床を見つめていた。
マイケル・ウィリアム・バルフェによるボヘミアの少女からI Dreamt I Dwelt in Marble Halls 199█/7/4 SCP-1860は収容室内で女性の声に擬態した。
ジャコモ・プッチーニによるトゥーランドット最終幕からアリア誰も寝てはならぬ 199█/10/25 Reich博士が短く拍手したところ、収容室内で隔離されているにもかかわらずSCP-1860はお辞儀を返した。

事件記録1860-A:199█/8/10、SCP-1860を覆うシートに14cmの裂け目が生じました。別々の人間数百人の声と考えられる音が発せられ、音量は158デシベルに達しました。SCP-1860は体を丸めて裂け目を職員から見えない位置に隠し、およそ8秒かけて修復しました。この事件で2名の職員が聴力を失ったため、収容室に防音材が追加されました。記録から、SCP-1860が「先程は大変申し訳ありませんでした。大切なお客様の耳を奪ってしまったことに、今すぐ罰をお受けします。」と言っているのが発見されました。その後SCP-1860はジュゼッペ・ヴェルディによる行け、我が想いよ、黄金の翼に乗ってを歌い始めました。

補遺1860-B:SCP-1860が外部からの刺激に反応することが確認されたため、監視研究員Montalvo博士により更なるコミュニケーションの試みが持たれました。SCP-1860は問いかけを無視して下記の歌を歌い続けているようでした:

Conservati fedele;
Pensa ch'io resto, e peno,
E qualche volta almeno
Ricordati di me.

Ch'io per virtu` canzone,
Parlando col mio core
conversero` con te.

La gente amava e sentiva,
la mia voce amorevole era necessaria,
come uno dei primi,
i segreti che ho sentito, che sanguinano.

Un giorno ti diro` de la mia
creazione, e la vita con il circo
nato dal direttore del circo, la sua razza

Mio Fuller, cosi‘ saggio
e il suo amico con la faccia all’ingiu`
hanno imparato molto di piu`
piu` di quanto pensi.

後の分析により、SCP-1860はモーツァルトによるコンサートアリアConservati fedeleの替え歌を歌っていることが判明しました。下記はイタリア語からの大まかな訳です2

忠実でいておくれ;
私はここで独り、どれだけ寂しいか
そして時には
私を思い出して。

歌が私に力をくれて
私は心と話し合い、
汝と言葉を交わしあう。

皆がここに来る、聞きにくる、
私のすてきな声を聞きにくる、
まず最初のこと、
私の聞いた秘密、彼らは血を流している。

いつかあなたに教えましょう
私の生まれ、サーカスの暮らし
団長から生まれた、その血筋

我がフラー、賢きお方
そしてその友さかさま頭
あなたが思うよりもっともっと
多くのことを学びました。

しかしながら、職員によるそれ以上の質問には答えませんでした。

事件記録1860-B:200█/█/██の午前█:██、SCP-1860は祈りの体勢で床を見つめたまま、歌うのを止めました。歌を再開する様子が見られないことから、SCP-1860に身体上の変化や新たな特性の発生がないか調べるようD-███に命じました。収容室に入った際、SCP-1860はミュージカルSmashDon't Forget Meのメインコーラスを歌い始めました。パフォーマンス中に8リットルのSCP-1860-1が、主にSCP-1860の眼窩から分泌されました。SCP-1860は歌詞の”Don't forget me”を数ヶ所、”He forgot me”に変えて歌いました。これ以降の行動には逸脱が確認されていません。

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