SCP-1861-JP
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SCP-1861-JP外観

アイテム番号: SCP-1861-JP

オブジェクトクラス: Euclid Keter

特別収容プロトコル: SCP-1861-JPの周囲2km圏内を収容エリア-1861とします。収容エリア-1861では常に2名以上のメンタルカウンセラーが常在するようにし、内部の職員は定期的な検査が義務付けられています。

新たな公演イベントの発生が確認された場合は、直ちに対象者の身元について調査を行います。その後対象者の関係者にはクラスA記憶処理を行った後に、適切なカバーストーリーを流布して下さい。また、対象者には3時間毎に脳内ドーパミン総の検査が行われ、数値の低下が確認された場合はプロトコル「アンコール」に基づいた処置が施されます。

説明: SCP-1861-JPは██県の███山中に存在する、198█/██/██に建設された「うたて旅館」という名前の宿泊施設です。199█/2/9に廃業する直前、「ミガモクツ修理サービス」と名乗る修理業者によって地下劇場(以降、SCP-1861-JP-1と記載)の補修作業が行われていた事が内部資料により明らかになっています。この事から「ミガモクツ修理サービス」に関する調査が行われましたが、「うたて旅館」の経営者及び従業員全員が死亡しており、修理業者の詳細及び特定には至っていません。

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現在のSCP-1861-JP-1内部

SCP-1861-JP-1はSCP-1861-JPの地下室の扉から進入可能な劇場施設です。内部構造は本来の「うたて旅館」の地下施設と大きく逸脱しており、進入した人数に比例し広大になるよう変化します。また、内部ではスマートフォン等の電子機器が使用不可能な状態になります。以下は内部で発生する「公演イベント」についての説明です。

公演イベントについて: イベントが開始すると、SCP-1861-JP-1内部の空席に世界各国から人間が1~5複数名同時に転移し、未知の力で固定されます。(以下、転移した人間を対象者と記載)対象者に対する調査の結果、人種・国籍・性別・年齢等に規則性は見られませんでしたが、唯一の共通点として全員が転移前に住んでいた国での生活水準が国内平均を下回っていた事が上げられます。また、対象者は転移後老化の兆候を見せず、栄養の摂取や排泄を行わずに生存が可能です。

対象者の転移から数秒後、機械音声で「これは恵まれないものへの救いの手です。どうぞごゆっくりとお楽しみください」というアナウンスが入り、舞台上にマネキン人形が複数体出現します。マネキン人形は全て自律的に行動し、演劇を公演イベント終了まで繰り返します。現在まで確認されている演目は「TheFantasticks1」「ねずみとり2」「オペラ座の怪人3」のみです。これらの演劇において発言を行うシーンは全て機械音声によって行われます。

対象者の脳内のドーパミン4総が██[ng/mL]未満となった場合、対象者はSCP-1861-JP-1から消失し、数時間後に死亡した状態で公演イベント発生前にいた地点に再出現します。遺体には全て舌を噛み切る、手首を切る等の自傷行為による物と思われる損傷が確認されています。消失前の対象者をSCP-1861-JP-1から脱出させる試みは全て失敗に終わっています。全ての対象者の消失により公演イベントは終了したとみなされ、終了から24~48時間後に再び開始されます。

SCP-1861-JPは電子掲示板での「███山にある廃墟の地下から異世界に行ける」という内容の書き込みを発見した財団職員の調査によって発見されました。関連する書き込みは全て削除され、関係者にはクラスA記憶処理を行っています。

インタビュー記録1861-JP-1 日付200█/1/10

対象: ██████ ████(アメリカ合衆国のアラバマ州南部バトラー郡の集落に住む10歳の少年。関係者には既にクラスA記憶処理を行い、カバーストーリー「交通事故死」を流布済み)

インタビュアー: エージェント・岸田

<録音開始>

エージェント・岸田: ██████君、私の声が聞こえる?

██████ ████: [頷く]

エージェント・岸田: ここに来る前の事を覚えてる?

██████ ████: ……わかんない。いつの間にかここにいた。いつもみたいにトイレに行きたくなったりお腹が空いたりしないのは良いけど、もうあのお人形さんは見たくないよ。同じ事するだけでちっとも楽しくないんだ。なんでかわかんないけど椅子からも立てないし……

エージェント・岸田: 今私達が██████君がここから出られるように頑張ってるからね。██████君ももう少し頑張ってくれるかな?

██████ ████: うん。でも僕、家にも帰りたくないなぁ。あそこにいてもちっとも楽しくないんだもん。

エージェント・岸田: え?

██████ ████: パパとママはケンカばっかりしてて、僕は一人でいつもこっそりご飯を食べてるんだ。面白そうなオモチャも見てるだけで「そんな物に使う金は無い」って怒るから、あまり近づかないようにしてる。だからあのお人形さん達がやってる……お芝居って言うんだっけ?見るの初めてだったからワクワクしてたんだ。でももういいや。思っていたほどじゃないんだもん。さっきまでいた前の席のおばあさんもそう思ってたと思うよ。でも家に帰っても何も良い事ないし……お姉さん、僕どうしたら良いの?

[重要度が低いため割愛。インタビューから1時間後、対象は消失。転移元の場所で死亡が確認された。]

<録音終了>

以下は公演イベント発生事例の抜粋です。

発生年月日 200█/1/2

出現した対象者の人数: 3人

調査記録: マネキンの行う演劇が対象者に影響を与えている可能性の調査として、機動部隊による出現した全てのマネキンの拘束が行われた。マネキン達は抵抗せず、無傷での拘束に成功。マネキンは全てこちらの質問に対し無反応であった。公演イベント発生から6時間後、全ての対象者の消失と同時に全てのマネキンの消失が確認された。

分析: この調査以後数度に渡りマネキンの無力化を行ったが、効果は無かった。マネキン自体は対象者に何らかの影響を与えている訳では無さそうだ。

発生年月日 200█/3/11

出現した対象者の人数: 6人

調査記録: 対象者の脳内ドーパミン総の調整の為、対象者に対して各種娯楽雑誌、撮影機能の無い携帯ゲーム機等が提供された。結果として公演イベント終了までの時間が以前の最長記録よりもおよそ███時間の延長に成功。

分析: 今後はこの方法で公演イベントを引き伸ばしていく事が可能だと考えられる。

発生年月日 200█/4/██

出現した対象者の人数: 53人

調査記録: これまでの公演イベントと同様の処置を行い、公演イベント終了までの時間を███時間延長させる事に成功。

分析: 同時に出現する対象者の人数が増加傾向にある。今後の懸念材料として対策を考える。

発生年月日 201█/9/██

出現した対象者の人数: 2801人

調査記録: これ以降の公演イベントの出現人数の増加が予測不能な事から、SCP-1861-JPのオブジェクトクラスがEuclidからKeterに変更された。公演イベントの長期継続計画として対象者への[編集済み]注射によって強制的に脳内ドーパミン総を増加させるプロトコル「アンコール」の発動が正式に決定。プロトコル「アンコール」は即時決行され、コストカットの為生存中の対象者を50人に調整した。現在まで公演イベントは継続中。

備考: 予想していた事だが、研究チームの中に精神的に不安定になる者が現れ始めた。中には笑い声に拒否反応を示すようになった研究員もいる。しかし、我々には後戻りしている暇は無い。プロトコル「アンコール」による公演イベントの継続にも限界が来る可能性がある以上、代替案を常に模索しなければならない。

補遺: プロトコル「アンコール」発動後、SCP-1861-JP-1への入口にアンケート用紙と思われる紙が貼り付けられる形で出現しました。以下は用紙に記入されていた内容です。

いつも楽しく見させていただいております。
マネキンの人形劇にはいささか飽きてしまっていたので、新たに始まった外部の人間による取り組みにはあの頃の新鮮な感動が蘇りました。
近頃は内容も再び単調な物になってしまい少しばかり退屈さを感じていましたが、今回の内容は目を見張るような素晴らしい物でした。特に白衣を着た研究員らしき女性が見せた、何かを注射している時の表情がお気に入りです。
これからも素晴らしい見世物を心待ちにしています。

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