SCP-1870-JP
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アイテム番号: SCP-1870-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1870-JPの発生する区域の落葉の開始から終了まで、可能な限り対象地域の落ち葉の収集を行ってください。回収された落ち葉は必要な手順に沿って焼却廃棄を行ってください。SCP-1870-JPが発生した場合には、即座にSCP-1870-JPの破壊を試みてください。破壊を達成できず、SCP-1870-JPの発進を許した場合には可能な限り想定される進路の情報統制や航空機進路の変更を行ってください。

説明: SCP-1870-JPは落ち葉によって構成された自律行動する飛行機です。この現象は新潟県妙高市██山でのみ特異的に発生する異常とみられています。██山で発生した落ち葉は不明な原理によって集合します。十分な量の落ち葉が集合した場合、落ち葉は飛行機状の物体を形成します。平均的な全長は5m程度ですが、形状は小型機のものではなく大型機のものと類似しています。

完全に形成を完了したSCP-1870-JPは、周辺の木々の付近を巡回し、その地点に落ちている落ち葉や木の実を回収します。観察では回収される物体は内部に吸収されているように見られますが、その原理は不明です。およそ300kgの物体を回収し終えたSCP-1870-JPは付近の巡回を終了します。

回収を終了したSCP-1870-JPはそのまま加速し、一般的な飛行機と同様の手順で離陸します。この際、発生地点は██山であるため離陸までの最高速度は40kmに満たないことが大半ですが、SCP-1870-JPは問題なく離陸します。これはSCP-1870-JPが枯れ葉で構成されており非常に軽いことが原因とみられています。

形状から想定される程度の重量まで種子を回収したSCP-1870-JPは付近の山岳や森林を目指し飛行を開始します。確認されたSCP-1870-JPの最大移動量は約800kmであり、その際には300km離れた静岡県の██山までの移動を行いました。SCP-1870-JPの移動は夜間に限られており、これは一般に異常性を認知されないようにふるまっている結果と考えられます。飛行していない時間帯のSCP-1870-JPは近隣の山岳などに潜伏していると考えられます。

山岳や森林に到達したSCP-1870-JPは内部に貯蔵している種子を排出します。SCP-1870-JPは平均して7ヶ所の排出地に向かって飛行します。貯蔵しているすべての種子を排出したSCP-1870-JPはその場で自壊し、異常性のない落ち葉に変化します。

この異常性でSCP-1870-JPは種子の拡散を意図して行動しているものと考えられます。拡散された種子は同様の異常性を持たず、一般的な植物として成長します。

インシデント記録: 20██年の事案記録において、██山の周縁部で落葉が形成されたためにSCP-1870-JPの破壊が間に合わず、SCP-1870-JPが飛行を開始しました。

離陸直後、SCP-1870-JPは未知のSCP-1870-JP実体と遭遇しました。(これ以降、既知のSCP-1870-JP実体をSCP-1870-JP-A、新たに出現したSCP-1870-JP実体をSCP-1870-JP-Bと表記)遭遇したSCP-1870-JP-Bは財団が認知していない地点から発生したものと考えられています。数十分程度、付近を巡回した両SCP-1870-JP実体は空中でコガネキヌカラカサタケなどからなるキノコで構成された降下部隊を投下しました。その後突如降下を開始すると着陸した地点で自身の内部から新たな落ち葉で形成された異常実体1を排出しました。

特に、コガネキヌカラカサタケ群が自律的に行動していたことは特筆すべき事項として挙げられます。空中から放出されたコガネキヌカラカサタケ群は自身の傘をパラシュートのように用い、軌道を操作しながら降下を行っていました。コガネキヌカラカサタケ群はおおよそ2時間の活動の後、完全に活動を停止して異常性を失いました。

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コガネキヌカラカサタケによって構成された降下部隊。

その後数時間にわたった異常実体群の戦闘はSCP-1870-JP-Bから排出された異常実体群が勝利しました。その後は一般的な活動に沿って飛行を行い、すべての種子を排出したのちに自壊しました。SCP-1870-JP-Bの残骸を調査したところ、主に外来種の樹木の落ち葉から構成されていることが判明しました。その構成の割合から、未知のSCP-1870-JP-Bは██県の██山中で発生したことが判明しました。

補遺: 財団はSCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-Bの交戦は興味深い事案であるとして両実体に対するクロステストを行う必要性があると結論付けました。財団は、両実体の発生数を1つに抑制したうえで再び交戦が発生するかの実験を行いました。

発生したSCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-Bは20██年の事案同様交戦を行いました。特筆すべきことに、SCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-Bから排出される異常実体は攻撃的な進化を遂げていることが確認されています。

交戦開始から42時間後、優勢であるSCP-1870-JP-B側から通信が行われ、財団がそれを傍受しました。その後、数回にわたり双方から応答が行われました。以下にその内容を示します。ただし、内容は読みやすいよう平易に変更されています。

SCP-1870-JP-B: 交戦の終了を提案する。我々の目的は繁栄それのみであり、衝突は避けられるものではないか。そちらが多少の提案を飲むならこれ以上の攻撃はしない

SCP-1870-JP-A: 拒否する。元々攻撃を開始したのは貴軍である。

SCP-1870-JP-B: 認識に相違がある。確かに戦闘は我々の側から開始したが、現場の戦闘機の認識が合致しなかったためであり、交戦は避けえないものであったと考える。再考を願う。

SCP-1870-JP-A: 何を言うか、元々、我々の軍事基地に無差別な攻撃をしたのはそちらではないか。最初の攻撃は戦闘機同士の戦闘ではない。

SCP-1870-JP-B: こちらが貴軍の軍事基地を攻撃した事実はない。再考を願う。

SCP-1870-JP-A: 毎秋我々の軍が攻撃や放火の被害を受けていた事実は変わらない。攻撃を続行する。

この後、SCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-Bの交戦が長期間に及び、決着が不透明になり始めたため、両実体群は財団によって破壊されました。

その後、追加の実験においてもSCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-Bの関係の悪化が見られたため、財団はこれ以上の実験を停止しました。現在、SCP-1870-JP-AとSCP-1870-JP-B共に形成前に破壊される現在のプロトコルが実行されています。

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