アイテム番号: SCP-188-KO
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-188-KOは民間人には「何らかの理由で建設が中断された建物のタワークレーン」と説明し、その説得力のためにSCP-188-KOの周辺に鉄骨の構造物を建てて不透明なビニールで覆ってください。その鉄骨の構造物は民間人の立ち入りを禁止し、SCP-188-KOの巻き上げモーターを防音設備で覆って駆動音が外部に漏れないようにしてください。
SCP-188-KOの発生させる現象は地球全体に及ぶため、民間人に対する情報の遮断に集中してください。地質学、気象学、天文学などのSCP-188-KOによる現象を扱う学問の学会には財団の担当者が潜入し、記憶処理と論文操作を通じてSCP-188-KOに関連する全ての情報を遮断/操作します。一般大衆がSCP-188-KOの変則的な現象に気付くほどに動作が長期化した場合は、情報の遮断は難しいと予測されます。
SCP-188-KOの長期的な危険性のために、オブジェクトを安全に破壊、あるいはオブジェクトの動作を停止させるための研究が進行中なので、関連する研究資料を手に入れたエージェントはセキュリティクリアランスレベル4/188の研究員に報告を行ってください。
説明: SCP-188-KOは、サモアの[編集済]市に存在する高さ██mのT字タワークレーンです。オブジェクトの枠組みは未知の金属体で構成されており、熱による融解を除いては破壊することが不可能です1。SCP-188-KOの巻き上げ装置2は金属板で囲まれており、SCP-188-KOにおいて唯一破壊できない部分です。操縦室の全ての機器は内蔵されたインストルメントパネルを除いて動作していませんが、エレベーターは正常に動作しています。SCP-188-KOの基端部は地中に█km以上打ち込まれているものと推測されます。
SCP-188-KOの外部に露出しているワイヤーロープの長さは約6377.5kmであり、SCP-188-KOの基端部の前面に存在する直径1mの穴を介して地中に入っています。SCP-188-KOのワイヤーロープの端部(以下フック)は、現在のSCP-188-KOのインストルメントパネルの表示から、地下6377.4km地点付近のかなり深い場所にあると見られており、現在直接観測することは不可能です。
SCP-188-KOは毎日太平洋標準時で12時から1秒の間だけワイヤーロープを引き上げます。引き上げられたワイヤーロープは巻き上げ装置内部のワイヤードラムに巻かれていると考えられますが、巻き上げ装置全体の質量や体積は増加しません。引き上げる速度は秒速0.05mm程度と非常に遅いです。SCP-188-KOのフックが引き上げられて上昇した高さに応じ、地球全体の重心はSCP-188-KOに向かって移動します。つまり、1日に0.05mmずつ、年間1.8cmずつ地球の重心がSCP-188-KOに向かって移動しており、これは現在の地球全体の気流/海流の変化を発生させています。現在、地球の重心は元の場所からSCP-188-KOに向かって██mほど移動しているものと推測されています。
これにより、太平洋地域の海面温度が地球温暖化で予想される数値の2倍以上の速度で上昇しており、極地方の氷河が遅い速度で太平洋の方向に移動しています。他にも月の軌道が微細に変化していることが確認されており、太平洋と大西洋の間に微妙な気圧差が発生しています。また、SCP-188-KOの位置する島も最短██年以内に沈没すると見られており、これを防止するためにSCP-188-KOを大規模な防水壁で包み込む計画が立案されています。SCP-188-KOのフックを引き上げる速度から推測すると、オブジェクトは2███年度まで長期的にXK-クラスシナリオを発生させるものと考えられます。
SCP-188-KOの危険性が確認された当時、オブジェクトのワイヤーロープを融解させて破壊する案が検討されましたが、「既に引き上げられた重心」が地球の中心に「墜落」していき、地球に[データ削除済]を引き起こすという仮説が提起され、これを受けてこの案は一時的に保留されました。
SCP-188-KOは19██年、サモアの[編集済]市の工事現場で発見されました。周辺に住んでいたある民間人はSCP-188-KOが「突然」出現したと証言しましたが、当時近辺にオブジェクトを撮影していたカメラが存在していなかった関係で真偽は不明です。その民間人にはクラスD記憶処理が施されました。