SCP-1898-JP
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アイテム番号: SCP-1898-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1898-JPはサイト-76の収容房に保管し、収容房内には動体センサと集音マイクを設置してください。動体センサがSCP-1898-JPの移動を捉えた場合、システムによって担当職員に自動通知され、収容房には警備員が派遣されます。

集音マイクから得られた音声データは自動的にアーカイブされます。

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SCP-1898-JP

説明: SCP-1898-JPは重さ4.2t、高さ3.1mの天使を模したブロンズ像です。SCP-1898-JPは地面に突き刺された剣に両腕を重ねる姿勢を取っています。

SCP-1898-JPは意志を有し、会話でのコミュニケーションが可能です。能動的な働きかけによって、SCP-1898-JPからは断片的なアメリカ英語での返答を期待することができます1。しかし、いついかなる場合においても返答があるわけではありません2

SCP-1898-JPは1951年、サウスダコタ州ワーナンタン・ビレッジで発見・回収されました。ワーナンタンの住民はSCP-1898-JPをコミュニティ全体で共有管理し、神に祈りを捧げる際の対象として見なしていたようです。訪問時にこの風習について把握したフィールドエージェントの報告を受け、調査チームが速やかに編成されました。

下記はSCP-1898-JPを発見したフィールドエージェント・ボールマンに対し、当時の状況についてインタビューを行った記録の抜粋です。

ワーナンタンは長閑な田舎町だった。俺が担当していたエリアには15前後の町が含まれていたが、それらと比較してもなんら特筆することはない土地だった。

エージェント仲間と飲むときによく話題になるんだが  長いこと任務に就いているとある特別な能力が身に付く。町に漂うキナ臭さが感じ取れるようになるんだ。カルトや教会なんかが根付いていると特にな。あの町にはそういう"臭い"がなかった。正直に言えばバケーション気分だったよ。

そんなに大きな町じゃなかったからあの像はよく目についた。初めはただの大きな像だと思い、さほど注意を払うこともしていなかった。異常性に気が付いたのは時間が経過してからだ。

俺は地質調査という名目で数日の間あそこに滞在し、どうやら住民たちはあの像を大切にしているらしいということを知った。  おっと、大切にしていると言っても大それたものじゃない。農場へ向かうついでに通りがかったときにふと足を止めるとか、持ち回り制で清掃をするとか、そういう地域もあるだろうと受け止められる程度だ。何がきっかけだったかは覚えていないが、たまたま会話の機会が多かったダニーという中年男性に、ここの住民はあの像を大切にしているんだなと俺は何の気なしに尋ねたんだ。

『たまに神の声がするのさ、お前にもそのうち聞こえるかもな』と、ダニーは笑顔でそう言った。その言葉が信仰から来る比喩表現なのか、何らかの特異な現象なのか、そこでは判断できなかった。少なくとも俺の関心を引いたのは確かだ。

そこからはスムーズだ。住民へのヒアリングと俺の実体験によって、あの像がどうやら意志を有するらしいということを把握した後、レポートを書いて送った。そして地質調査のフリをしながら専門チームが来るのを待ち、引き継ぎをした。そこで俺の仕事は終わりだ。

あの像は普通の像じゃなかった。ただ、あれはワーナンタンに特に何かをしていたわけでもない。ワーナンタンの住民はごく普通の人間だったんだ。ダニーも陽気な良い奴だった。俺の行動は正しかったのか?もし何かが違っていれば  未だに心のどこかでそれを考えている。

チームはワーナンタンの長と交渉して許可を得た後、SCP-1898-JPの持つ特異性の確認のため様々な調査を行いました。下記はコミュニケーション・テスト時の音声記録です。テストに際し、事前に住民へはカバーストーリー適用のための通達がなされました。

音声ログの書き起こし

日付: 1951/05/22

テスト対象: SCP-1898-JP

担当: ストークマン研究員

オペレーター: ウルマン博士


[ログ開始]

(ストークマン研究員はSCP-1898-JPに対しいくつかの質問を投げかけるものの、SCP-1898-JPからの返答は得られていない。)

ストークマン研究員: 質問内容63。あなたは神の使いですか。

SCP-1898-JP: 否。これは構築物。

ストークマン研究員: (息を呑む)回答あり。聞こえますか。

ウルマン博士: 聞こえている。ここからは通常の手順で続けてみてくれ。

ストークマン研究員: 承知しました。失礼、構築物とはつまり、あなたの製作者がいると。

SCP-1898-JP: 推定。この意匠は自然に依るものではない。

ストークマン研究員: あなたの製作者はどのような人物ですか。

SCP-1898-JP: 不明。

ストークマン研究員: なるほど。質問を変えましょう。あなたはいつから此処にいるのですか。

SCP-1898-JP: 遥か昔。元は此処に人間は居らず。

ウルマン博士: そのようだ。記録によれば、ここはその像が発見されたことを起点に生まれた町らしい。異常性については記されていなかったがな。

ストークマン研究員: わかりました。もう少しご質問させてください。この町の住人はあなたへ祈りを捧げているようですが、それらはあなたにとってどのような意義がありますか。

SCP-1898-JP: 不明。

ストークマン研究員: 不明?

SCP-1898-JP: 推定。無意味。

(この後も質問は続けられたが、以降、SCP-1898-JPからの返答はなかった。)

[ログ終了]

音声ログの書き起こし

日付: 1951/06/03

テスト対象: SCP-1898-JP

担当: ストークマン研究員

オペレーター: ウルマン博士

註: 初回のテスト以降、2度目のテストが試みられたものの、SCP-1898-JPからの返答はなかった。これが2度目に返答を受けた際の記録である。


[ログ開始]

ストークマン研究員: こんにちは。本日もまたお話しさせていただきたいのですが。

(SCP-1898-JPからの返答はない。)

ウルマン博士: 続けてくれ。

ストークマン研究員: 先日仰られた"無意味"という点について、詳しくお伺いさせていただけませんか。

SCP-1898-JP: 無意味とは無意味。

ストークマン研究員: (数秒の間)つまち、祈りはあなたにとって何の影響も齎していないということですか。

SCP-1898-JP: 是。金属は祈りを触媒としない。これは構築物。

ウルマン博士: (少し唸って)質問を変えてくれ。

ストークマン研究員: ありがとうございます。よく理解しました。あなたは祈りを受けること、そしてこのように会話することの他にどのようなことができますか。

SCP-1898-JP: 構築物。

ストークマン研究員: すみませんが、もう少し詳しく教えてください。

SCP-1898-JP: 構築物は在る。これは在ることができる。

ウルマン博士: 像に直接接触し、検証をしても問題がないか聞いてくれ。

ストークマン研究員: 私と私の仲間はあなたのことをより知りたいと考えています。直接触れ、あなたの性質を調査してもよろしいですか。

SCP-1898-JP: これは構築物で在ることを求める。

ストークマン研究員: あなたを破壊しないことを約束します。

SCP-1898-JP: 是。これは構築物。

[ログ終了]

SCP-1898-JPおよびワーナンタン・ビレッジの調査は細心の注意を払って進められました。およそ1か月に渡る調査の末に、SCP-1898-JPには他に特筆すべき異常性はなく、ワーナンタンが一般的なサウスダコタの町と変わりないことが結論付けられると、調査チームのリーダーであるウルマン博士はSCP-1898-JPの移送、収容手続きを取りました。

この調査チームの結論と収容手続きについてはO5評議会のケース#2746において再検証が行われましたが、十分な論理性のある結論だったことが証明されています。なお、下記のメールと添付ファイルは重要な記録としてデータベースにアーカイブされています。

DATE: 1951/06/30
SUBJECT: 実地調査報告-04
FROM: <c4-u83r2t@███████>
TO: <c5-h1a04@███████>
FILE: report-MQ19510630.███

ハーバン管理官

可能な限りの調査を行いましたが、あれは"意思を持つ銅像"以外の何物でもないようです。また、ワーナンタン・ビレッジの人口は非常に少なく、隠蔽の方法は無数にあります。近隣のサイトのどこかへ移送して問題ないでしょう。正式な提案の前に、取り急ぎご報告まで。

ウルマン

1951年7月31日、SCP-1898-JPはサイト-76へと移送され、現在の特別収容プロトコルが施行されました。ワーナンタン・ビレッジの住民には記憶処理が施され、翌日調査チームは町から完全に撤退しました。

追記(1951/09/10): 1951年9月、ワーナンタン・ビレッジはNx-14として指定されました。ワーナンタン・ビレッジの環境の変化がSCP-1898-JPの収容に起因するものか否かは判明していません。

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