アイテム番号: SCP-190-DE
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-190-DE-1と-2の直接的な収容は現在、過剰な費用が求められ、逆効果を招くと考えられています。彼らは次回いつ何処に出現するかを常に財団職員に通達するという条件付きで、事業の継続を認められます。彼らはまた、SCP-190-DE-3の特異性と、自然界に属さない天然資源の性質および起源を秘匿する義務を負います。SCP-190-DE-3にはGPSトラッカーが取り付けられ、全ての品質・保健衛生調査は財団の公認資格者によって行われます。
SCP-190-DEは財団職員に常時監視されますが、この事実は通知されません。一方ないし両方の実体が財団の監視を積極的に回避しようと試みた場合、ミズガルズ・プロトコルが実行されます。
説明: SCP-190-DEはヒト型の外見を有する2体の実体です。SCP-190-DE-1は約40歳、身長196cmの筋肉質な男性の姿であり、長い金髪と豊かな髭があります。SCP-190-DE-2は約40歳、身長179cmの女性の姿です。SCP-190-DE-2は禿頭ですが、茶髪のカツラでそれを隠しています。両名はそれぞれ北欧の神格であるトールとシヴを自称していますが、この主張はまだ決定的に証明/反証されていません。
SCP-190-DE-1と-2は“ターキッシュ・ヴァルハラ”と命名された小型のケバブ移動販売車(以下SCP-190-DE-3)を経営し、同種の屋台に対応する料理や飲料を販売しています。SCP-190-DE-1は常にカウンター正面で料理の提供や顧客との会話を行い、SCP-190-DE-2は調理を担当しています。
SCP-190-DE-3は白塗りされた一般的なキッチンカーのように見えますが、複数の特異性があります。SCP-190-DE-3は車両ではなく、最高時速70kmで走行可能な2匹の家畜ヤギ(Capra aegagrus hircus)に牽引されています1。恐らくは反ミーム効果により、傍観者はこれらの異常能力を容易に受け入れて無視します。さらに、SCP-190-DE-3の内部は外寸から論理的に予想できるものよりも広大であり、約70m2の空間が利用可能です。この空間はケバブグリル、オーブン、冷蔵庫などのケバブ屋台に必要な物品で占められています。しかしながら、その一部は部外者が覗き込んでも空間的不一致に気付かないように配置されています。SCP-190-DE-3はまた、閃光を発しながら自発的に消失し、別の場所に再出現できます。消失から再出現までの時間は、財団が把握しているどの法則にも従っていません。SCP-190-DE-1はこの質問を受けて、消失期間中には“別世界を訪れて”いると説明しました。
SCP-190-DE-1とSCP-190-DE-2のDNAは人間のそれですが、両者とも通常より遥かに高い身体能力と活力を示します。一方、知性は一般的な人間と同程度です。SCP-190-DE-1と-2は疲労の兆候を示さずに1週間連続して活動できることが観察されています。様々な影響への抵抗力の実験はまだ行われていませんが、両実体は現在までに使用されたあらゆる容量の睡眠薬と弱毒に対する免疫があります。SCP-190-DE-1は今後この種の実験を控えるように求めており、そうでない場合は“マジで不愉快な”事態が出来するであろうと仄めかしています。その体力と耐久性から、収容の試みは財団側に多大な損失をもたらすと予想されており、現時点ではSCP-190-DEの平穏な性質、協調意欲、正体を暴かれずにいたいという願望に鑑みて実験を差控えています。
SCP-190-DEはこれまでのところ、北ヨーロッパと中央ヨーロッパを移動しながら食品を販売しています。両実体は訪れた全ての国の言語を流暢に話しており、食品の商業流通、ヤギの飼育、現地の交通規則に関する法律を把握しているようです。SCP-190-DEが意図的にこれらの法律に違反した事例はまだ確認されていません。
SCP-190-DEは普通の食品や飲料を販売する一方、地球上では発見されない様々な生物を食材として使った料理も提供します。財団に収容される以前、SCP-190-DEはこれらを“九つの世界で最高の”料理だと宣伝していました。
発見: SCP-190-DEは、財団ウェブクローラがバーデン=ヴュルテンベルク州農村地域・消費者保護省のデータベースにおいて、SCP-190-DEが調理に使用した肉は明らかに既知の動物に属していないという記述を検出した際に発見されました。加えて、この記録ではSCP-190-DE-3の本来あり得ない内寸についても言及されていました。財団エージェントが調査に派遣されました。
補遺190-DE-1:
補遺190-DE-2: 以下では、ミズガルズ・プロトコルの手順を説明します。
仮にSCP-190-DEが財団の制御下を逃れようとした場合、次のステップを実行しなければいけません。
- 財団の偽装工作を全て撤回し、SCP-190-DE-3の衛生検査違反を現地の衛生局に密告します。
- SCP-190-DEが衛生検査の回避を試みた、または店舗閉鎖を防ぐために衛生局長の決定を拒否した場合、ステップ1はSCP-190-DEが出現する都市ごとに繰り返されます。加えて、ソーシャルメディア上でSCP-190-DEのケバブ屋を中傷し、強制的に閉店させます。
- この時点でまだSCP-190-DEが再度の協力姿勢を見せていない場合、ケバブ屋を閉鎖し、全ての実体を機動部隊DE6-𝔇 “応召軍”が拘留します。この時、必要に応じてMTF DE4-𝔙 “防衛軍”の一部ユニットが支援を提供します。全ての実体はサイト-DE17へ移送され、収容されます。