SCP-1906-JP
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実体化後のSCP-1906-JP

アイテム番号: SCP-1906-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1906-JPが持つ自己隠蔽特性から、飛行中のSCP-1906-JPが一般人によって偶発的に発見される可能性は低いものであると考えられています。一般の航空産業に財団のエージェントを潜入させ、旅客機の飛行ルートがSCP-1906-JPの飛行ルートに近接しないように調整を行わせます。

SCP-1906-JPの全ての出現・消失ポイントは財団フロント企業の私有地として管理されています。毎年1月1日にK-515撮影機による24時間の定点観測を行い、SCP-1906-JPがルーチンに基づいて行動していることを確認してください。飛行前・飛行中のSCP-1906-JPに干渉する試みは禁止されています。

SCP-1906-JPの捜索ポイントを中心とした半径3kmの領域は、「自然環境の保護」「発電所の建設」等の適切なカバーストーリーに基づいて立ち入りを規制し、一般人による地面の掘削・森林伐採・物件の建築等を禁止します。当該領域に財団の関連施設を建設する場合、1月1日は必ず休業日として作業を中断してください。

未捕捉の捜索ポイントにおいて一般人に被害が発生した場合、直ちに対応チームを派遣し、カバーストーリー「突風」「落石」「崖からの落下」等を適用して事態の収拾を行なってください。ルーチンから外れて落下したSCP-1906-JPは発見次第回収され、近隣のサイトに収容されます。

説明: SCP-1906-JPは、毎年1月1日に日本の領空内を特定のルートに沿って飛行する球体群です。平常時のSCP-1906-JP個体は霊素によって構成されている非実体であり、光を含むあらゆる物質を透過し、その干渉を受け付けないため、K-515撮影機などの霊体観測機器を使用しない限り観測することが不可能です。SCP-1906-JPの動力源に関する研究は遅々として進んでいません。

以下の記述は、K-515撮影機を搭載したヘリコプターを用いて観測されたSCP-1906-JPの振る舞い(ルーチンと呼称)を整理したものです。記述中の「出現ポイント」「捜索ポイント」「消失ポイント」はいずれも日本国内の特定の地点を指します。このルーチンは全てのSCP-1906-JP飛行ルートにおいて、出現から消失までが常に日本時間における1月1日の00:00〜23:59の範囲内に収まるように実行されます。

  • 1.1個のSCP-1906-JPが出現ポイントに出現します。SCP-1906-JPの出現は瞬時に起きているものと推測されており、その明確な出現プロセスの観測は全て失敗しています。
  • 2.SCP-1906-JPが出現位置から垂直に上昇しながら、複数回の自己複製を行います。複製されたSCP-1906-JPは複製元と完全に重なった状態で出現し、わずかに速度を変化させることで複製元から徐々に分離していきます。複製後のSCP-1906-JP各個体は全て同等のサイズを有しており、その全てが新たな複製元となることが可能です。SCP-1906-JPの複製回数およびそれによって生じるSCP-1906-JPの個体数は年度や出現ポイントごとにばらつきがあり、その上限は判明していません。自己複製が完了すると、生成されたSCP-1906-JP群による楔状の編隊が組まれ、次項3.の終了まで維持されます。
  • 3.海抜5000m付近まで上昇したSCP-1906-JP群は、最大高度を維持したまま捜索ポイントまで飛行します。この時点ではSCP-1906-JPの速度は約230km/hであり、飛行ルートは極めて直線的です。
  • 4.捜索ポイント上空に到着したSCP-1906-JP群は急激に速度を落とし、編隊を解除して個別行動になります。続いて、20km/h程度で蛇行や旋回を行いながら、捜索ポイントを中心とした半径約3kmの円形領域内を飛行するようになります。SCP-1906-JPの低速飛行は2〜4時間で終了し、それぞれのSCP-1906-JPは捜索ポイント上空へ帰還します。
  • 5.編隊が組み直された後、SCP-1906-JP群は上記3.と同様の直線飛行で消失ポイント上空まで飛行します。
  • 6.消失ポイント上空に到着したSCP-1906-JP群は鉛直落下を開始し、消失ポイントの地表に接触した時点で消失します。消失ポイントの地表が何らかの衝撃を受けている様子は見られません。出現と同様にSCP-1906-JPの消失も瞬時に行われており、プロセスの詳細は不明のままです。

上記ルーチンの4.の段階における低速飛行中のSCP-1906-JPは、特定条件下で飛行を中断し、落下を開始することがあります。この際の落下は通常の消失ポイント上空で行われる鉛直落下と異なり、軌道の修正が絶えず行われます。この状態に移行しルーチンから外れたSCP-1906-JPは霊体から実存体へと遷移し、外部からの干渉を受け付けるようになります。また、この現象で落下したSCP-1906-JPは地表に接触しても消失せず、着弾地点に小規模なクレーターを形成する衝撃をもたらします。

落下後のSCP-1906-JPは再び上昇することはなく、その組成と硬度以外の異常性を持たない球となります。白色と薄いグレーの層状の紋様を有し、直径0.8m、重量368kgで強磁性体の岩石であることが全てのSCP-1906-JPにおいて共通しています。しかし、財団が保有するいかなる手段を用いてもSCP-1906-JPの切削および破壊には成功しておらず、実際の組成の解析は未だ実施できていません。なお、多数のSCP-1906-JPがルーチンから外れ、消失ポイントへたどり着かなかった場合、翌年の同一飛行ルートにおける上昇中のSCP-1906-JPの自己複製回数が有意に増加します。

SCP-1906-JPが実体化してルーチンから外れる事例は複数確認されていますが、1年に1回しか出現しないことから継続的な実験や調査が困難であり、正確な条件の確定には至っていません。




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