アイテム番号: SCP-1917-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-1917-JPの出現は財団の世界監視システムによって即座に発見、同定が行われます。SCP-1917-JPの発生が確認された場合、即座に近隣の都市部を閉鎖、住民の速やかな避難を誘導してください。また、これに並行してSCP-1917-JP-A対象者の同定、確保及びEクラス職員としての臨時雇用を行ってください。確保されたSCP-1917-JP-A対象者がSCP-1917-JPの殺害に成功したことを確認した場合、SCP-1917-JP-A対象者には簡易インタビュー及び事実確認を行ったのち、軽度の記憶処理を行ってください。
説明: SCP-1917-JPは世界全土において、夜間不定期に出現する人型実体です。
現在までの出現事案全てにおいて、SCP-1917-JPは10代女性の姿を取り、容姿は出現場所付近で24時間以内に死亡した女性の少女期と一致します。また、SCP-1917-JPは出現と同時に何らかの踊りを行い続けます。踊りの内容はクラシックバレエ、民族舞踊、ブレイクダンス、創作ダンスなど多種にわたり一貫性は確認されません。
SCP-1917-JPが踊りを継続した場合、周囲の生物は夜明けを知覚することが不可能になります。影響を受けた人物、生物はこれにおおむね肯定的、順応的であり、夜が継続する状況に混乱する様子は見られません。この異常性の範囲は指数的に拡大することが確認されており、最終的にはAK-クラス:世界終焉シナリオに移行すると仮定されています。
SCP-1917-JPとのコミュニケーションは後述するSCP-1917-JP-A対象者によるものを除き成功していません。SCP-1917-JPは現在財団が保有するすべての処置、攻撃に対し高い耐性を得ており、SCP-1917-JP-A対象者以外の干渉を受けません。
SCP-1917-JP-AはSCP-1917-JPにおける容姿のオリジナルとなった人物の関係者に発生する現象です。対象となった関係者のもとには1丁の自動拳銃が出現します。対象者は拳銃の出現に伴い、SCP-1917-JPの現在位置を正確に知覚できることが可能になり、SCP-1917-JPを殺害する必要性があると知覚します。SCP-1917-JP-Aの発生基準は明確ではありませんが、多くの場合オリジナルの人物と非常に親密な関係の人物が選ばれる傾向にあり、両親、配偶者、恋人などが対象に選ばれる傾向にあります。
この異常性からSCP-1917-JP-A対象者はSCP-1917-JPに接近、殺害を行います。この殺害においては現在時点で全員が成功していますが、その関係性から過半数のSCP-1917-JP-A対象者は逡巡し、最長で25時間SCP-1917-JPの殺害を躊躇った例が確認されます。
以下はSCP-1917-JPと財団が確保したSCP-1917-JP-A対象者の会話ログです。
会話ログ1917-JP-01 - 日付 20██/██/██
会話者: SCP-1917-JP(出現5時間前に非異常性の疾患で死亡した██氏の容貌を持つ) / SCP-1917-JP-A対象者(██氏の父親)
<再生開始>
財団司令部: では██さん、会話を行ってください
対象者: 分かっています。…██(SCP-1917-JPオリジナルの本名)、何故踊っているんだ
SCP-1917-JP: 夜の次には朝が来るから、ずっと、朝が来るまでなら踊っていられるの
対象者: 疲れないのか
SCP-1917-JP: 疲れない。いつまでだって踊り続けられる、そうあってほしいでしょ? だから、朝が来るまでは
対象者: [1分ほどの沈黙] そうか。でも、駄目なんだ。朝は来なくちゃいけないんだ、██。みんな、朝は来てほしくないけれども
SCP-1917-JP: そう、分かった。ずっと踊っていたいけど、朝なんて来てほしくないけど。それが駄目なら止めてほしい。ずっと夜の中にいるのが嫌なんだったら
対象者: 嫌なわけがあるか、ずっとお前の踊りを見ていたい、生まれてからずっとベッドに眠っていたお前の踊りを見ていたい。こんなに美しく育つはずだったお前と一緒に踊りたい。でも駄目だ、駄目なんだ
財団司令部: ██さん、既に彼女はあなたの娘さんではありません
対象者: 分かっています。分かっているんです、死ぬほどに。だから、でも、だからこそ
SCP-1917-JP: [1分ほどの沈黙] 分かってる。楽しかった?
対象者: ああ、楽しかった、嬉しかったよ、だからとても苦しかった。そしてきっと、もっと、ずっと悲しいんだ
SCP-1917-JP: 泣かないで。私は悲しくないし苦しくないから。だから、夜明けまで踊っているの
対象者: ごめんよ、お前を
SCP-1917-JP: 救えなかった
[約10秒後、対象者によりSCP-1917-JPが射殺される]
<再生停止>
殺害されたSCP-1917-JPは同質量の生理食塩水に置換されます。また、SCP-1917-JPの影響下にあった人物はSCP-1917-JPの消滅と同時に夜明けを知覚し、急速に影響下の記憶を忘却していくことが確認されています。この忘却現象はSCP-1917-JP-A対象者には発生せず、記憶処理を行ってもSCP-1917-JPを殺害した、という記憶が失われることはありません。
補遺: SCP-1917-JPを殺害した全SCP-1917-JP-A対象者が夜明けを知覚できなくなっていることが確認されました。対象者はその状態を異常であると理解していますが、そのうえで許容していることが確認されています。この異常性は記憶処理では回復しないことが判明しています。