SCP-192-JP内、八重洲北口付近。照明等は点灯しているが、完全に静まり返っている。
アイテム番号: SCP-192-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-192-JPは鉄道会社の協力の下、出入り口にあたる駅構内の一部を工事中の名目で常に閉鎖してください。また、必ず監視員を一人以上置き、鉄道関係者、及び一般人の侵入を防いでください。万一侵入した者があった場合、内部で何かに接触したかどうかを聞き出した後、Aクラス記憶処理を施し解放してください。また、定期的に内部を巡回し、未確認のSCP-192-JP-1が出現した場合はすぐに報告を行ってください。
説明: SCP-192-JPは東京駅構内、本来██室である扉の向こうに存在する、もうひとつの東京駅です。その内部構造、及び配置された全ては現時点での東京駅と寸分違わず一致しており、現実世界の東京駅の拡張・工事などの変化は、SCP-192-JPにそのまま同期されます。これらの変化は、不可視、接触不可能な何らかの存在によって実行されていると推測されており、破壊や妨害などの停止の試みは全て失敗しています。
SCP-192-JPの景観は一見現実世界と変わりませんが、壁面や床、天井や設置物の破壊等には成功していません。加えて一切の人間や配置物が存在しませんが、様々な形状、形態を持った存在、SCP-192-JP-1が各所に突如出現します。また、SCP-192-JP、及びSCP-192-JP-1はどのような手段であれ観察している間は決して動かず、変化しません。このため、ある程度の間を置いた観察が推奨されています。
現実世界の東京駅にて何らかの変化が発生した場合、それらはリアルタイムでSCP-192-JPに反映されますが、これらに対しどのような手段、機材を用いても更新の瞬間を認識することは出来ず、観察したタイミングのSCP-192-JP、及びSCP-192-JP-1の状態しか確認出来ません。なお、出現したSCP-192-JP-1群のみ破壊や移動を行うことが可能で、破壊後に限り観察とその時点での変化が一致します。しかし、この破壊により現実世界において様々な事象が発生することが確認されているため、いかなる個体に対しても何らかの接触をすることは推奨されていません。
SCP-192-JPの構造上観察出来る外部から予想するに、現実世界と同様に東京の街が広がっていると推測されています。しかし、通常の出入り口、換気口から上下水道に至るまで、存在し得る外部へと通じる通用口の全てはSCP-192-JP-1群によって塞がれています。これらに対してはどのような破壊手段も功を奏しておらず、SCP-192-JP外部へ到達する試みの全ては失敗しています。
SCP-192-JP内部は観察している間決して変化を起こしませんが、実際は現実世界の何らかに影響を及ぼしていることが確認されたため、どのような関連性を持つかの調査が行われました。SCP-192-JP-1の確認されている詳細な個体記録は以下を参照してください。
これまでに確認されたSCP-192-JP-1
対象: SCP-192-JP-1-a
確認日時: 20██/██/██
概要: 上半身が肥大化し血走った肉塊のようになった個体。おおよそ2m前後の体長を持ち、無理に引き延ばされたかのようにその表面は血が滲み細かな裂け目が生じている。Dクラス職員が触れたところ、「見た目のイメージより異様に表面が冷たく、触れるとそこから崩れる」と証言している。間を置いた記録により、脈動、及び微細な膨張をしていることが判明した。初侵入時から常にSCP-192-JP出入口近傍に直立しており、足のみが健康的な成人男性のものを有している。後記するa群は、表面に大量の、苦悶を浮かべた頭部らしき小さな瘤が発生していることが観察された。
対象: SCP-192-JP-1-b
確認日時: 20██/██/██
概要: ホーム端に膝を付いた女性のマネキン。眼球のみ人間のものが据え付けられており、通常の人間の可動範囲を超えて上転している。確認から3日後、現実世界の東京駅同ホームにて飛び込み自殺が発生。飛び込んだ成人女性は首と胴部が破断し即死、SCP-192-JP側でもマネキンの破片が女性と同様の形で線路上に飛散していることが確認された。その一時間後、マネキンは跡形もなく消失した。
対象: SCP-192-JP-1-c
確認日時: 20██/██/██
概要: 男子トイレと女子トイレの間で仁王立ちする全身が腐敗した成人男性。顔面に腐敗の兆候はなく、口を真横に引き結んで何かに耐えるような顔立ちをしている。こちらからの呼びかけに応じる様子は無かったが、この一か月後腐敗により崩れる。同日中に、東京駅の同トイレにて[編集済]が発生し、大規模な改修工事が行われた後にSCP-192-JP-cは消失した。
対象: SCP-192-JP-1-d
確認日時: 20██/██/██
概要: ██線、線路上に配置されたアヒルのゴム人形。現実世界において同線路上を確認すると、レールに置かれた大きな石が発見された。発見当初深夜だったため直接的な被害は発生しておらず、SCP-192-JP-1-dを除去しようとしたところ接触と同時に消失、同タイミングで石も消失した。
対象: SCP-192-JP-1-f
確認日時: 20██/██/██
概要: 東京駅東口周辺に凝り固まったマネキンのような塊。これらの全てに頭部が存在しておらず、表面がケロイド状に変容している。通行を完全に阻止しており、東口側の通用口及び外部に通じる排気、上下水道等に乱雑かつ執拗に詰め込んであるため、小型の無人機器でも間を通り抜けることは出来なかった。これらを除去する試みは全て失敗している。
対象: SCP-192-JP-1-g
確認日時: 20██/██/██
概要: 薄い紅色の水晶で出来た巨大な柱。調査に向かったDクラス職員が接触した瞬間に崩壊。Dクラス職員に怪我はなかったが、構内全域に痛烈な悲鳴が響き渡った。発生源は不明。直後、現実世界の東京駅において大規模な崩落事故が発生。██名の一般市民が巻き込まれ死亡した。これ以降、SCP-192-JP-1への不用意な接触は禁止されている。
対象: SCP-192-JP-1-h群
確認日時: 20██/██/██
概要: SCP-192-JP-gの破壊後、構内全域に多数出現。その特徴、形態は多様に加え、記録を取り直す度に消失や移動を繰り返すため詳細な記録は取れていないが、人体が中央から裂けて断面が大きく開いた口のように溶解した個体が多く観察されている。触れた際の体感はaに近く、冷え切っており容易に崩れる。接触したDクラス職員は「まるで万歳でもして、何かに喜んでいるように見える」と言及している。これらの爆発的に出現した個体のみ、破壊しても現実世界での影響は確認されていない。影響の明確な線引きが出来ないため、同個体群への接触は引き続き禁止。
対象: SCP-192-JP-1-i
確認日時: 20██/██/██
概要: 高熱で溶解したと思われる肉が大半を占める物質で出来た巨大な筒状の物体。SCP-192-JP内JR八重洲口改札付近に出現した。h群と同様のタイミングで出現したと思われる。側面には頭蓋骨や溶けかけの手足、金属片やコンクリート柱などが突き出しており、その直径は30m近くあった。これは天井から地下までを貫いて直線に続いており、その全長を把握することは出来なかった。このオブジェクトに限り、対応する現象が現実世界の東京駅において一切何も発生していないため、同改札周辺にて継続した警戒が続けられている。
SCP-192-JP-1-g記録の後、SCP-192-JP-aに変化が現れ、健常であった下半身も含めて完全な肉塊へと変化しました。その後、同様の個体が複数体、突如出入り口近辺に出現し周辺の包囲を開始。観察の限り出現後の動きはとても小さなものですが、同a個体と同様に微細な膨張と脈動を繰り返し、這うように扉への接近を続けています。また、現実世界においての影響は不明です。これらのSCP-192-JP-1-a群にどういった目的があるかは全く不明ですが、十分な警戒に努めてください。
補遺:SCP-192-JP内において、上半身の破裂したSCP-192-JP-a個体がSCP-192-JP-i付近にて発見され、その体内から大量の使用済み「東京発→東京行切符」が溢れ出ていました。それらの一枚を現実世界に持ち出すなり、裏面に白文字で以下のメッセージが浮き出しました。
切符の発見以降、全ての能動的SCP-192-JP-1群はその動作を停止しました。これによる現実世界側への影響は現時点で一切判明していません。
ページリビジョン: 17, 最終更新: 17 Sep 2024 13:21