アイテム番号: SCP-1929-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1929-JPはサイト-8123の低脅威度ロッカーに収容されます。実験にはセキュリティクリアランスレベル2以上の職員の許可を得て行ってください。
説明: SCP-1929-JPはアップル社のiPad Pro 11と類似したタブレット端末です。同種の製品と異なり、アップル社のロゴマークである欠けたリンゴが、欠けていないリンゴに換えられています。SCP-1929-JPが外部より加えられた損傷で停止することはありません。SCP-1929-JPは起動されると自動でアプリケーション(以下、SCP-1929-JP-Aと記述)を開きます。これ以外の通常使用可能な機能をSCP-1929-JPは備えていません。
SCP-1929-JP-Aは「ゲブの懐かし料理販売」と名付けられたケータリングサービスの一種です。英語・中国語・日本語などの13種の現代語の他に、現在は使われることの少ない古代ギリシャ語・上代日本語・アイヌ語1などの25種の言語に対応しています。SCP-1929-JP-Aは世界の年代や地域などの多数の検索機能を用いて料理メニューを選ぶことができます。選択可能な総メニュー数は2398項目ありました(2019年現在)。
SCP-1929-JP-Aには以下のような説明が記述されています。
「ゲブの懐かし料理販売」へようこそ!これは全時代対応の料理サービスです。ここではかつて存在した料理を完全な状態で再現しましょう!あなたはどこの宗教の出身ですか?キリスト教、仏教、イスラム教?それほど知られている宗教ではない?もう信徒が存在しない?それでも問題はありません。このサービスはどんな時代からと食べ物を持ってきます。絶滅種のハーブすら取ってくることができます。現在の食の変化に嘆いている頑固な精霊の皆様、あの瞬間の死者の国の料理を食べたい地下の住民、大丈夫です。私たちが解決します!
まずはメインページを開きます。世界地図が出たらあなたの食べたい料理を大まかな地域で選んでください。対応のタブが開いたら次は時代を設定しましょう。天地開闢2から対応しているので心配しないでください。そしたらあなたは料理を気ままに選べます。
メニューの量に不満ですか?新しいメニューを追加することも可能です。そんな時はフォーラムで申請しましょう。それが伝説か歴史にあったなら、まもなくして追加されます。
SCP-1929-JP-Aで料理を注文すると、注文者の半径30m以内の地点にマルチドローンが出現します。このドローンは可能な限り最短距離で注文者の方へ向かいますが、障害物などで移動ができない場合、障害物を透過する事で移動を行います。このドローンを捕獲することはこれまで成功しておらず、注文者に選択された商品を代金3と引き換えに渡すと出現した場所に戻り消失します。
SCP-1929-JPは2019/4/23にサイト-8123の職員オフィスに出現したと報告されています。監視カメラは突如机の上に現れたSCP-1929-JPのみを記録しており、他に関連する存在が確認されませんでした。
補遺1: メニューの抜粋
以下に示すのはSCP-1929-JP-Aで販売されている料理の記録です。
説明文: あなたが3000年以上崇められているならば、それが単なる平皿であった頃から見ていたでしょう。18世紀後半に生まれたムーブメントをあなたに紹介します。それはトマトです。新大陸から持ち込まれた赤い果実は有毒だと思われましたが、200年たって流行するとトマトは当時の王侯貴族さえも湧き上がらせました。私たちが提供するピザは品種・成分・遺伝子に至るまで当時のものと同じです!あの懐かしい瞬間をもう一度楽しみましょう。食に頑固なナポリの住民も納得の同一性、神業による出来栄えです。
コメント: 私が個人的に天啓を与えたBelitaベリータと呼ばれる少女には今もなお感謝しています。これがその味です。なぜかってトマトやオレガノ、バジリコまでが私の指示通りなのです!私は日本のピザをピザと認めていませんが、これはピザです。間違いなく。あの時は"最後の約束"を忘れたのかと酷く叱られましたが後悔していません。あの子は天国の扉を叩いたでしょう。 —キリスト教 某天使
品名: 非時香菓ときじかくのこのみのゼリー
説明文: タチバナの果実は実際のところ現在では食用として見なされていないでしょう。これは垂仁天皇のある従僕が常世の国から持ち帰ったものです。ジャムなどで食用にされることもありますが、基本的には食用ではありません。しかし、日本国民にとっては文化的に重大な価値があります。これを詠んだ俳句は数知らず、天皇家の文化勲章に用いられ、ある一族のファミリーネームとなっています。今回私たちは本人が採ってきた本物を用意しました!さあ懐かしんで!
コメント: このアプリの運営の力は本物のようだ。今更あってもすでに遅いが、懐かしむのには丁度いいと思う。それに本来私はここにいる神々のようでもなかった。彼の為に取ってきた不死の実を自分で使う気もなく、常世の国から持って帰ってきたのは計16本の枝だけだったが、そのうちの8本をお后に献上し、残りは綾に供えておこうと思っていた。しかしなんの因果か橘は私のことを見逃さなかった。ここにいることが橘と同じなのかもしれないな。
品名: 飢饉の時のトルティーヤ
説明文: トルティーヤやタマルは古代アステカではもっともポピュラーな調理方法といっても良いでしょう。日本人で言うならば米、フランス人の基本がパンであったようにメシカの人々はトルティーヤを常食としていました。トウモロコシ、トウガラシ、そして「肉」。これは私たちにとってはとても馴染み深いものです。塩とトウガラシからできたソースは「肉」の味を引き立てます。また全ての食材の組成はかつてのものとまったく同じものをご用意しました。
コメント: この際完成度とかはどうでも良くて少し疑問点と「私」として見過ごせない問題があるんだけど…。私たちの民は家畜を持たなかったの。わかる?それでどうしてもタンパク質が足りなくてその…人身御供をやっていたわけだよ。心臓はかつてよく捧げられたものだけど、これがまったく今に至っては望んでいないものだとよくわかったよ。繰り返しになるけどこの料理の完成度は高くて、思わず郷愁の念を感じたのは間違いない。でもまさかこれが過去からもってきた民のものだとなかなかどうして信じられない。念のため聞くけど「肉」はどこから持ってきた? —アステカ神話 某ヘビの神
私が頼んだんだ。昔からお前も変わらんな。 —アステカ神話 某支配者