アイテム番号: SCP-1937
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1937周辺の境界線は3名以上の財団保安職員によって警備されます。SCP-1937に接近する民間人は方向転換させ、別な場所へ護送しなければいけません。SCP-1937とその影響力についての事前知識を見せている民間人は拘留・尋問し、解放する前にクラスB記憶処理を施します。
実験中、Dクラス職員がSCP-1937の内部で30分以上過ごすことは認められません。現時点では、他の職員はSCP-1937への立ち入りが許可されていません。
説明: SCP-1937は、ギリシャの███████、███████湖のほとりに位置する一部屋だけの小さな建造物です。構造自体は近くの██████森で採れる様々な木材から構築されたものであり、いずれも劣化してはいないようです。建物の外部では、植物が広範囲に成長しています。正面のドアには、木材に“I LOVE YOU, TOO”という文言が彫り込まれています。
人間がSCP-1937内で約30分以上過ごすと、その対象はSCP-1937-Aに感染します。後述の補遺-1937-エプシロンで概説しますが、この現象は感染者が特定のフレーズを話すときに不定間隔で発現します。該当するフレーズを口に出すと、そのトリガー・フレーズが発話されている間に、感染者のものと一致する声が同じ抑揚および音調を伴って即座に応答します。SCP-1937-Aは感染者を慰め、また多くの場合は自尊心と自信を吹き込もうとしているように思われる内容です。
インタビューログ-1937-ガンマ:
回答者: レト・ヤンナトス、SCP-1937-Aの感染者
質問者: エージェント フレドリクス
序: このインタビューはエージェント フレドリクスが民間人に対し、異常存在についてより多くの情報を迅速に入手するために、財団の管轄外にある人里離れた地域で実施したものである。
<記録開始>
フレドリクス: こんにちは。君が以前話していた、“自愛の小屋”について聞かせてもらえないか?
ヤンナトス: あの小屋は完全に僕の人生を変えてくれたんです。十字軍と彼らがしてくれたことにはとても感謝しています。正直言って、もし彼らとあの場所に出会わなかったら、僕はここにいなかったでしょうね。
フレドリクス: どういう意味かな?
ヤンナトス: [約30秒の沈黙] それ以前の僕は… 僕は自分が大嫌いでした。自分が悍ましすぎて、鏡を見ることすらできなかった。僕はただ… 耐えられなかったんです。最初に小屋と十字軍のことを聞いた時、僕は本気でケリをつけてしまおうとしていました。僕はただ試しました、そう、失うものなんてありませんでしたからね? そして… ええ… それは効きました。恐ろしいほど上手くいきましたよ。彼らが一体どうやってこんな事をしたか分かりませんが、それは効いていますし、僕は彼らにとても感謝しているんです。
フレドリクス: 十字軍についてもっと話してもらえるかい?
ヤンナトス: 僕も詳しく知りません、彼らの情報は全部友人のカッサンドラから聞いたものです。僕が知る限りでは、彼らは… 援助団体みたいなもの、だと思います。彼らはただ人々を助けたいだけで、それが全てです。僕が知っているのは本当にこれが全部でして、すみません。小屋へ行けばきっと見つけられますよ。
フレドリクス: 成程ね。ありがとう。その声とやらを俺にも聞かせてくれないか?
ヤンナトス: ええ、貴方が聞きたいのなら。 [咳払いをする] そこにいるかい?
SCP-1937-A: いつだっているさ。
ヤンナトス: 僕にはやめられない。
SCP-1937-A: 家へおいでよ。
ヤンナトス: 僕を愛してくれるかい?
SCP-1937-A: 愛するのを止めた事なんてないだろ?
ヤンナトス: そう、ほら。こんな感じです。何処に小屋があるのか正確に伝えることは出来ません、でも貴方が一緒に来てくれるなら、キャシーが教えてくれると思いますよ!
フレドリクス: それは素晴らしいね、連れていってくれよ。
<記録終了>
結: このインタビューに続き、8名のSCP-1937-A感染者が拘留され、インタビューを受け、収容された。SCP-1937もまた発見された。
補遺-1937-エプシロン: 以下の表は、既知のSCP-1937-Aトリガー・フレーズとその応答の要約リストです。
トリガー・フレーズ | 応答 |
---|---|
私は醜い。 | 私は嘘吐きだ。 |
私は自分が嫌いだ。 | そんなことはない。 |
私は去りたくない。 | 私は貴方に去ってほしくはない。 |
貴方を愛している。 | 私も貴方を愛している。 |
SCP-1937は2002/06/09にGoI-311(“希望の十字軍”)の所有下から回収されました。SCP-1937は当該団体によって自尊心の欠如した人々のための有料サービスとして使用されており、彼らは1時間あたり40ユーロの料金で人々を異常に曝していました。GoI-311の全ての構成員は拘留・尋問され、団体の残りの所在地とSCP-1937-Aに感染した人々のリストを明かしました。加えて、現在収容されている数点のアイテム1がそれぞれ薬物中毒、摂食障害、“異常性癖”の治療を目的とする追加サービスに利用されていたことが判明しました。SCP-1937を除き、これらのサービスは経時的に効果が薄れるため、利用客が異常性質を維持するには複数回の訪問が必要だったことに留意してください。
残る“希望の十字軍”職員と異常存在の尋問および捕縛の後、全ての構成員はクラスC記憶処理の後に解放され、同団体の再結成防止を確実なものとするために、続く6ヶ月間は監視が行われました。