アイテム番号: SCP-1940-JP
オブジェクトクラス: None
特別収容プロトコル: SCP-1940-JPの収容状態は存在しません。SCP-1940-JPについての言及が全て否定され、その『残響』が肯定されることをもって実質的な自己収容状態と見なします。この収容状態の構築にあたり、これらの相克的な同時成立はSCP-1940-JPに関する全ての言及において常に満たされます。
説明: SCP-1940-JPは存在しません。歴史上存在した、そして存在しうるいかなる生物、物質、概念もSCP-1940-JPではありません。これはSCP-1940-JPに関する全ての言及が無価値であることを意味します。本報告書は後述する『意味論的平衡』を保つためにのみ作成されたものです。SCP-1940-JPの存在を報告するものではないことに留意してください。
同時に、SCP-1940-JPに対して「ある言及があった」という事実がある場合、この「発言・記述された事柄」は「肯定されるもの」という意味を持ちます(この「SCP-1940-JPについて発言・記述された事柄」を『残響』と定義します)。SCP-1940-JPについての言及は、それが意味する事柄の否定、そしてその言及が過去の事実となることによる『残響』の肯定化を相食むように発生させ、永久的に続く矛盾状態を創り出します(この矛盾状態を『意味論的平衡(状態)1』と定義します)。
SCP-1940-JPが持つ異常性は、再帰的に「SCP-1940-JPが異常性を持つこと」と表現されます2。この「SCP-1940-JPが異常性を持つ」という異常性(以降、"異常性"と表記)はSCP-1940-JPの属性として成立するにあたり、本来の『異常性』という言葉が示す意味の範疇から逸脱したと考えられています。よって、この"異常性"は我々に知覚可能な異常存在としては出現せず、複数の起源不明かつ無関係の異常存在としてのみ知覚されます(これをSCP-1940-JP-1と指定)。これは"異常性"がSCP-1940-JP-1に変化、またはSCP-1940-JP-1を生み出しているのではなく、"異常性"に含まれる何らかの『パターン』がSCP-1940-JP-1として出現しているのだと思われます。また前述の定義より、知覚可能なSCP-1940-JP-1を「肯定されるもの」、知覚不可能なSCP-1940-JPを「否定されたもの」と解釈することで、前者を後者の『残響』であると解釈することも可能です。SCP-1940-JP-1に該当する現象は古来より観測されていましたが、SCP-1940-JPの知覚不可能性によって、その共通性や起源が特定されることはありませんでした。
事案記録1940 20██/09/██
概要: SNS上において『虚無』と呼称される非実体を飼育対象、または交際相手とするロールプレイを行うアカウントが発生。
これらは何もない空間を撮影し、その画像を使用して行われる例が一般的だった。この「『実体のないもの』に実体性を(前提として)要求する」という形式は偶然ながら『意味論的平衡』に類似した構造を発生させ、SCP-1940-JPの収容状態を構築していたと推測される。これらの現象が発生している間、財団の収容下にあるSCP-1940-JP-1の一部に異常性の抑制傾向が見られた。
このことから財団はこの形式を利用した収容プロトコルを策定。インターネットを通じて「物理的認識が可能な虚無」という概念の拡散を実行した。
SCP-1940-JP-1は、前述の通りSCP-1940-JP由来と推測可能な複数の異常存在です。SCP-1940-JP-1群にこのこと以外の共通項はなく、過去に発見されたSCP-1940-JP-1群は互いに無関係のAnomalousオブジェクト、または特別収容プロトコル適用対象として収容されています。