アイテム番号: SCP-1945
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1945は影響範囲の端から約150 m離れた位置にあるサイト-46から監視を行ってください。現場で必要な電子機器は全てサイト-46施設内に保管し、いかなる状況でもSCP-1945の影響範囲内に持ち込んではなりません。
SCP-1945の機密保護はそのオブジェクトクラスに準じた標準警備・監視チームおよび現地報道機関に流布されているカバーストーリー「放射性廃棄物の投棄場所」により維持してください。警備を突破された際は、絶対的な必要性が生じた場合または現地当局からの指示があった場合を除いて非致死的な手段で対処を行ってください。
SCP-1945-1は常にサイト-46職員が観察を行ってください。記録および分析のため、サイト-46にはSCP-1945-1の復号と圧縮およびSCP-1945-1への返答が可能なソフトウェアをセットアップした安全確保済みのコンピュータを備え付けてください。サイト職員のうち1名のみが出力データを直接観察して良いものとし、また観察者の精神状態に害が及ぶことを防ぐため、補助スタッフを常に2名以上配備してください (事件報告SCP-1945-1.5を参照)。
SCP-1945-1の内容を考慮し、敵対実体の逃走・反抗時に備えてパーソナルディフェンスウェポン1丁をサイト-46に保管するものとします。火器を携行させること、サイト-46の職員に近づけることは禁止されています。
説明: SCP-1945は█████████にある地方の住宅を覆う異常地帯です。あらゆる点で見てその影響範囲は建物全体に及んでいますが、範囲の面積と形状は温度、湿度、様々な波長の電磁波、含鉄金属の有無など多くの条件に影響を受けます。影響範囲の直径は真夜中の平均49 mから正午の平均104 mまで変化します。
SCP-1945の異常地帯は2.4単位以下の電気抵抗を有するあらゆる物質の導電容量に影響を与えます。電源が影響範囲外に存在するいかなる電子回路も影響を受けず、範囲外の電圧、電流、抵抗を保ちます。一方でSCP-1945内の適切な物質は変動電流 (デジタル音声出力であることが判明) で飽和し、それにより電子機器は停止または故障します。基本的にこの電流がSCP-1945の外部へ流れることはありませんが、特定のケーブル材料でできた導線にコーティングを施すことでアナログ信号を範囲外のサイト-46まで通すことが可能です。この信号をSCP-1945-1と分類します。
SCP-1945-1はSCP-1945内で発生した電流の持つ信号であり、映像フォーマットへの復号により、36秒の転送時間と320 x 240ピクセルの解像度を有する低速度走査テレビジョン (SSTV) の信号放送であることが確認されています。SCP-1945-1は通常のSSTV信号における読み込み速度の3倍の速さで転送されており、適切に画像を変換するにはソフトウェアの修正が必要です。
SCP-1945-1を変換すると、財団標準人型収容室と同様の特徴を持つ部屋を隅から撮影した監視映像のように見えます。SCP-1945-1は1分ごとに5フレームを転送します。信号はいかなる時点でも中断されないため、24時間で7200フレーム、すなわち240分の動画を生成します。
SCP-1945-1の観察によると、映像中の部屋には以下の物品が存在します。
- 標準的なマットレス、枕、シーツを備えた金属フレームのベッド1点。ベッドフレームは固定されています。
- 部屋の中央にある金属製のテーブル1脚。
- 撮影の視点に沿って並ぶ金属製の椅子2脚。テーブル、椅子ともに床へのネジ留めは施されていません (文書1.3)。
- 青いプラスチック製の食器類3セット。いずれもカップ1つ、スプーン1本、プレート1枚からなり、食物が消費されたか否かを問わず全て日に3回交換されます。ナイフとスプーンは観察されたことがありません (文書1.1を参照)。
- 鏡の窓1枚。監視部屋であると判明。
- 隣にある部屋。浴室であると推測され、カメラからは隠れています。
- 多数の本、紙束、画材。
- 向かい合うように部屋の二隅に配置されたインターカムスピーカー2基。
- 色白の肌と黒髪を持つ若い女性の人型実体 (SCP-1945-2と指定)。収容室の居住者と考えられ、異常な状況下にある場合を除いてSCP-1945-2は監視映像外に出ることはありません (文書1.3, 1.4, 1.7を参照)。
SCP-1945-1はSCP-1945-2の捕獲者のコントロール下にない状態で観察されたことがあります。SCP-1945-1は2度遮断され (文書1.2, 1.4を参照)、1度改竄されています (文書1.5を参照)。ただし現在の現地研究主任である██████博士は、いずれの遮断事例も外傷由来の意識喪失時間と一致することから、信号がSCP-1945-2と関連しているとする仮説を立てています。
文書1.6で示されている通りSCP-1945-1はライブ映像であるため、映っている場所は割合6:1の一型時間遅延の影響下にあると推測されています。
補遺:
SCP-1945-1の観察期間中において、SCP-1945-1およびその内容が通常の挙動から逸脱する事例が6回発生しました。これらは1.2から1.7に指定されています。文書1.1は「平均的な」日常的活動の書き起こしです。文書1.1に記載されている時刻は全て██日間の記録映像の平均を取ったものであるという点に留意してください。時間遅延の影響があるため実際の時刻は不明です。全文書の時刻はSCP-1945-1と財団人型実体収容プロトコルとの比較を元に概算したものです。
関連SCP: SCP-1945-2
日付: N/A
04:00 AM: SCP-1945-2が起床する。これと同時に信号ノイズが劇的に低下し、画像アーティファクトがほぼ消失する。SCP-1945-2の反応の観察から、彼女は目覚まし時計に類するものかインターカムによって起きたと推測される。SCP-1945-2はその後3時間に渡って部屋内を歩き回り、不安な様子を見せ、両椅子とベッドの間を行き来する。しばしばテーブルに頭を寝かせた状態やベッド上のおそらくは体を丸めた状態で泣いている姿が観察されている。この時点で室内の灯りが薄暗くなり、SCP-1945-2の観察が困難となる。
06:30 AM: 室内の電灯が約500ルーメンだけ光度を増す。
07:00 AM: SCP-1945-2のいる部屋が解錠され、研究用白衣を着用した不明の人物により最初の食事が運ばれてくる。基本的にこの人物が外室して部屋を施錠するまでSCP-1945-2は自分のいる位置から動くことはない。
07:15 AM: SCP-1945-2は食事を食べ終えるとプレートを脇に置き、カメラから最も遠い位置にある椅子へと歩いて部屋のカメラのある隅を1時間凝視する。SCP-1945-2が画材を使用することが稀であることは注目に値する。しかし彼女は数時間の間、本を破壊し、大量の紙を破いている姿が観察されている。
12:00 PM: 2回目の食事が運ばれてくる。運びにきた者が去って部屋が施錠されるまでSCP-1945-2は食事に注意を向けない。SCP-1945-2が定期的に食事を捨てる、あるいは特定の料理しか口にしないことがある点は注目に値する。ただし映像は不鮮明なため食事の内容の特定には成功していない。
03:30 PM: フルボディアーマーを着用した警備員2人が入室し、SCP-1945-2と椅子をテーブルから遠ざけ、彼女を椅子に押さえつける。3人目の警備員が近づき、正体不明の物品をSCP-1945-2の手首に当てる。この時点でSCP-1945-2は急速に意識を失う。同時にSCP-1945-1のノイズが劇的に増大し、信号データの約75%が修復不能となる。その後15分間の映像からはこの意識不明の時間帯に起きた出来事を推測する手がかりは見られない。
03:45 PM: 映像が急激に鮮明になることから、SCP-1945-2がベッドで起床したことが分かる。SCP-1945-2はベッドから動かず、3:30 PM以後に動いた様子もない。
05:30 PM: SCP-1945-2の存在する部屋に3回目の食事が運ばれてくる。SCP-1945-2は気付いた様子を見せず、ベッドを動いた姿が観察されたことはない。
06:00 PM: SCP-1945-2が眠る。同時に映像はゆっくりと不鮮明になっていき、最終的に信号データの約60%が修復不能となる。映像障害は元のSSTV信号と共通点を有する第二の信号によるものと見られる。この第二の信号の内容は不明である。
関連SCP: SCP-1945-2
日付: ████/██/██
主題: SCP-1945の長期分析後、SCP-1945の信号効果が双方向に機能する可能性を検証する実験が承認された。
手順: 2本目の銅線ケーブルをサイト-46からSCP-1945の範囲内へ敷設するが、主要回路とは別に接地を行う。1秒ごとに単音ビープ音を鳴らす60秒の音声ファイルをデジタル化し、ケーブルへ送信する。結果はSCP-1945-1を通し観察する。実験はSCP-1945-2がほとんど、あるいは全く動きを見せない時間である07:25 AMに開始された。
結果: 信号終了から正確に7フレーム後、SCP-1945-2は自分のいる場所から動き、立ち上がってスピーカーの方へ顔を向ける。その後彼女は椅子へと戻り、扉から見てテーブルの向こう側へと椅子を動かす。次いでSCP-1945-2は着席し、そのまま12:00 PMまで動かずにその場に留まっていた。食事が運ばれてくる時間になると、SCP-1945-2はテーブルを掴んで扉の方へとひっくり返し、椅子を用いて食事を運んできた人物への襲撃を行った。この人物の無力化後SCP-1945-2は部屋から逃走し、撮影範囲を脱するが、12.4秒後にフルボディアーマーを着用した2人により強制的に部屋へ引き戻される。なおも抵抗は続いたが、この侵入者のうち1人が未知の物質をSCP-1945-2に注射する。SCP-1945-1に75%のデータ欠落が15.7秒間発生したことから、意識を喪失したと考えられる。
分析: 実験時に起こした行動はこれまで行われたことのないものであったことからSCP-1945-2はSCP-1945へ送信した信号を知覚することができると示唆されています。しかし彼女の起こした反応が極端であったことから、██████博士は観察を十分に行うまでこれ以上の実験は行うべきではないとの見解を示しました。
関連SCP: SCP-1945-2
日付: ████/██/██
説明: 先日の実験記録SCP-1945-1.2の事件以来、SCP-1945-2の行動は以前までに見られたルーチンから著しく逸脱していた。SCP-1945-2は07:00 AMまで眠り、食事の配膳まで起き出さない。SCP-1945-2は室内を数時間行き来し続け、最終的に10:45頃にテーブルに就く。異常な行動は一旦止むが、03:15 PMになるとSCP-1945-2はテーブルや椅子、ベッドといった家具を動かし始め、扉を塞ぐ。その後SCP-1945-2は扉にもたれかかって扉を抑え続けたが、62分経過したところでアーマーを着た2人組の警備員により押し戻される。
この時点でSCP-1945-2は性質不明の特異性を発揮した。騒動時の正確な時間が測定された。
0.0秒: SCP-1945-2は特異性を発揮する。SCP-1945-2は部屋の中央に立ち、頭を後ろに曲げ、両手を握り締める。警備員はSCP-1945-2との交戦を試みる。
0.7秒: 警備員は苦痛と混乱を見せながら後ずさりする。
4.4秒: SCP-1945-2 は倒れこんで膝をつく。警備員は両者とも気絶したように床に倒れこんで動かない。
7.8秒: SCP-1945-2が再び立ち上がる。
9.2秒: 観察室のガラスがSCP-1945-2のいる方向とは逆向きに破壊される。おそらくはカメラのレンズの破損により、SCP-1945-1が観察困難となる。
9.8秒: 室内のスピーカーが両方同時に発火する。
10.6秒: SCP-1945-2の特異性は止む。同時に彼女はそれまでの体勢を崩し、再び跪く。
16.4秒: SCP-1945-2 は回復し、壊れた窓を登り抜けて撮影範囲を脱する。
SCP-1945-2が部屋を出てすぐにSCP-1945-1のデータ欠落が増大し始める。逃走開始から5分後にはSCP-1945-1の音声が途切れる。これは観察を初めてから一度しか発生していない事例である。SCP-1945-1は約14時間後に放送を再開し、破損の見られない部屋のベッドに横たわっているSCP-1945-2の映像が受信される。
関連SCP: SCP-1945-2
日付: ████/██/██
説明: 05:40 PM頃、SCP-1945-2のいる部屋の灯りが消える。30秒後に予備照明が作動し、SCP-1945-2が既にベッドから動いており両手で扉を殴り続けていることが判明する。行動を観察した限りでは、彼女は非常に不快になる何かを聞き取っている (あるいは他の何らかの手段で感じ取っている) と見られる。この行動がさらに43秒続いた時点で、正体不明の非人型実体が遠方の壁を破壊して部屋に入る。この実体は物理的な危害を加える様子を見せていなかったが、突如SCP-1945-2を掴み、部屋の反対側まで投げる。これによりSCP-1945-1が直ちに劣化し、信号の約87%が回復不能となる。
映像の劣化により実体の詳細な分析は困難であるが、███-████博士は財団職員による回収中に傷害を負う前の[データ削除済]がこの実体と類似していると指摘した。そのため事件1.4の映像を含むフレーム及び映像セグメントはサイト-46のストレージから回収し、より安全なサイトに移すことになっている。
関連SCP: SCP-1945-1
日付: ████/██/██
説明: 02:43 PM頃、SCP-1945-1は計60秒間送信を停止した。この時の担当は████次席研究員であり、信号回復までそのままであった。SCP-1945-1の回復から、ノイズのほとんどない黒一色のフレームが送信された。
SCP-1945-1の復帰から6分40秒後、ヘミングウェイクラス・ミーム殺害エージェント (後の財団の分析により確認) を含むフレームが送信された。ヘミングウェイクラス・ミーム的衝動に従い、████次席研究員はサイト-46にある緊急用火器を保管庫から持ち出し、████・██████次席研究員と██████・█████次席研究員を殺害した後に自殺した。ミーム的映像による騒動から47分後に通常の送信へと戻った。
この事件後ミーム的映像を遮断するため、人工的に映像障害を起こすレイヤーがSCP-1945-1へと導入された。██████博士を除く全職員が精神評価のためサイト-46から移動させられ、事件以前を知らない研究員へと置き換えられた。.
補遺: 研究のため、このミーム的画像はセクター-07へ送信されました。後の財団の分析により、既に全く同一の画像が財団のストレージに存在することが判明しました。MKA-0277と命名されたこの画像は、財団の物理的守備範囲を超えた盗撮の抑止・排除に関する廃止済み財団プロトコルに添付されていました。セキュリティレベル4未満の職員にこの発見を知られてはなりません。現在、文書1945-1.5は財団およびその資産に対する攻撃であるとみなされています。
関連SCP: SCP-1945-2
日付: ████/██/██
題目: 文書SCP-1945-1.5の事例以降、事件1.5に関する調査のため再度SCP-1945-2とのコンタクトを試みた。
手順: 2度目の実験を行うにあたり、平坦なバックグラウンド上に「こちらの声は聞こえますか」という言葉を載せたSSTV信号を作成した。実験記録1.2と同様に信号 (SCP-1945-1の時間遅延に合わせるよう1/6に減速) をデジタル化し、SCP-1945範囲内に送信した。実験は07:25 AM頃に開始された。
結果: SCP-1945-2は信号に対し直ちに反応を示した。しかし送信が完了するまで何の返答も行わなかった。送信が終わった時点でSCP-1945-2はカメラに近づいて凝視し、肯定を示すように頷いた。
分析: SCP-1945-2は不明な手段でSSTV送信を知覚・理解できるものと推測されます。SCP-1945-2が撮影視点を通したこちらの観察に気付いているという点も注目に値します。
関連SCP: SCP-1945-1, SCP-1945-2
日付: ████/██/██
説明: 02:43 AM頃、SCP-1945-2はアーマーを着た2人の警備員によりSCP-1945-1の撮影範囲の外へ引きずり出される。掴まれた際、SCP-1945-2は直ちに目を覚まし、もがいて警備員への襲撃を試みる。激しい抵抗にも関わらず、SCP-1945-2は問題なく部屋から引きずり出される。約37秒後、SCP-1945-1の質が低下し始める。SCP-1945-2の退去から約2分後、アーマーを着た別の人物がSCP-1945-1の撮影視点に近づき、元の場所から移す。しかしSCP-1945-1はゆっくりと質を低下させながらも送信を続ける。SCP-1945-1は現在まで送信を続けているものの、信号の質は改善されておらず、それ以来映像に一切変化はない。
補遺: SCP-1945-1から送信された最後の識別可能な信号の修復を試みるため幾度も巻き戻し再生を行ったところ、SCP-1945-1の撮影視点を除去した警備員のボディアーマーにプリントされたアイコンを映すフレームを1枚発見しました。これはいかなる要注意団体ならびに記録済みのアイコンとも一致しません。
このアイコンの起源と意味に関する調査が進行中です。