SCP-1963
評価: +4+x

アイテム番号: SCP-1963

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1963は管理者のオフィスにある三重に施錠された金庫サイト-38の三重に音声入力錠が掛けられた金庫に保管され、実験目的でサイト-38の管理者およびサイトのレベル4研究者2名が口頭で承認した場合のみ開放されます。SCP-1963の実験にはレベル5研究スタッフからの直接承認が必要であり、全ての手順は実験のために書かれたガイドラインに従います。実験はDクラス職員のみが行います。承認された実験ガイドラインからの逸脱は、関与した職員の即時終了を以て対応します。

説明: SCP-1963は、一般に入手可能な材料から手作りされているように見える木製のパチンコです。正常に行われた実験において、木製部分は普通のホワイトオーク、スリング部分は2本のゴムを再利用したもの、本体部周りのテープは標準的な灰色のガーゼであることが示されています。

ある人物がSCP-1963の物理的存在下にある時、当オブジェクトに関連する3種類の異常特性が発現します。

第一に、SCP-1963の使用は、SCP-1963周辺の人々の異常な、多くの場合ありそうもない負傷との間に、異常に高い相関性を持っています。この時、負傷者がSCP-1963で狙われているか否かは関係しません。オブジェクトが頻繁に使用されるほどに、負傷の深刻さと周辺人物への巻き添え被害の可能性は増大します。

第二に、SCP-1963の存在下にいる人々は、このオブジェクトが無害であり、使用に関する安全プロトコルを真面目に受け取るべきではないという意見を一貫して繰り返し表明します。この振舞いはSCP-1963を使用したいという衝動と等しいものではありませんが、にも拘らずオブジェクトの近くにいる人物は、常に風変わりな手法で使用を試みます。

第三に、SCP-1963による負傷を目撃した人物は、負傷している当人でさえも、このような怪我は、他の器具による同規模の負傷よりは深刻ではない、あるいは恒久的ダメージに繋がる可能性が低いという意見を一貫して表明します。負傷者は強制されない限り医療措置を要求せず、訓練を受けた医師でも負傷の深刻さを(例え二次症状や死の後でさえも)認識できないため、これはSCP-1963を更に危険なものにしています。

第二効果・第三効果は、前もってSCP-1963の能力を知っている人物に対しても影響します。

補遺1963-A: 実験ログ

実験: 1963-22
関与した職員: D-5165、D-1689
指示の説明: Dクラス職員2名は、SCP-1963の収容エリアに入り、オブジェクトを拾い上げ、欠陥が無いかを調べ、台座の上に戻して退出するように命じられた。実験のため、研究者らはいかなる状況でも物理的に関与しないよう求められた。
出来事の説明: 両Dクラス職員は何事もなく入室。オブジェクトの検査時、D-1689は、SCP-1963をD-5165の口中に向けて発射しようと提案し、D-5165はこれに同意した。D-1689は彼女のジャンプスーツのポケットから小さなキャンディを出してパチンコに装填し、相手に向けて発射。キャンディはD-5165の目を貫通して眼窩骨にめり込み、重大な出血・痛み・失明(後に永久的なものと判明)を引き起こした。D-1689は謝りながら騒々しく笑い始めた。D-5165は、明らかに激しい苦痛を感じている一方で、繰り返し怪我は”何でもない”もので”我慢できる”と主張した。D-5165は相手が背を向けるまで待ち、SCP-1963を手に取ると、別なキャンディを装填してD-1689に発射した。キャンディはD-1689の口に入り、器官内に詰まって低酸素による死を引き起こした。D-1689は手助けを拒否し、相手に向けて手を振って見せた。
注記: どちらのDクラス職員も入室前に身体検査を受けており、その時点ではキャンディを所持していなかった。キャンディは実験対象となったが、何ら異常性質を示さなかった。

実験: 1963-31
関与した職員: D-5983、D-3403、エリス研究員
指示の説明: 前回のテストと同様。研究者は自由裁量で支援の提供が許可された。Dクラス職員は実験室への入室前に服を脱いで検査を受け、その時点では外部の物体を持っていないと確認された。どちらのDクラスもSCP-1963の異常効果を知らされ、誤用に対する警告を受けた。
出来事の説明: 両Dクラス職員は何事もなく入室。D-3403はパチンコを拾って検査し始めたが、興味を引くものは見つからず、台座に戻した。D-5983もオブジェクトを拾って検査し、D-3403に何かを囁いた(実験室内のマイクには記録されていない)。両Dクラス職員は笑い始めた。エリス研究員が両者に対して礼儀を弁えるように命じると、D-3403はパチンコに小さな物体(後に小石と判明)を装填し、監視カメラに発射してレンズを割った。エリス研究員はカメラの故障に驚いて椅子から飛び上がり、躓いて倒れ、意識を喪失した。これを室内の他の人物は笑った。医療措置が要請されたものの、初期治療が遅延した事によって、エリス研究員には軽微だが永久的な脳損傷が残った。
注記: 他の全ての実験と同様に、小石は実験室内にもDクラス職員の所持品にも存在しなかった。小石は実験対象となったが、何ら異常性質を示さなかった。

実験: 1963-35
関与した職員: D-4398、D-4859、D-4320、D-1983、D-5389、ファーン研究員、ティムズ研究員、エージェント ドミニク、エージェント フアレス、イプシリス博士、ホリス博士、マギー博士
指示の説明: Dクラス職員5名は、SCP-1963に関する個別かつ相反する指示を受けた。全てのDクラスは事実上、他のメンバーにSCP-1963を使わせないように命じられ、必要であれば暴力を振るうことも許可された。研究者は必要に応じて医療援助にのみ介入するよう指示を受け、今回だけは保安エージェントが部屋を警備していた。
出来事の説明: Dクラス職員5名全員が、まずお互いに向け敵対的になった。D-4859は状況を打開するためにコミカルな方法でパチンコを使用し、D-4398に重傷を負わせた。D-1983がパチンコに手を伸ばすと、D-4859は手当たり次第、部屋中に複数の物体(後にビー玉と判明)を素早く発射し始めた。全てのビー玉は近くの壁や表面から跳ね返って他のDクラスに命中し、ますます深刻な負傷を引き起こした。ティムズ研究員はエージェント ドミニクおよびフアレスに部屋を制圧するよう指示。エージェント フアレスはパチンコを手に入れると、エージェント ドミニクとDクラス職員に発射し始めた。プロトコルに則り、ティムズおよびファーン研究員は実験を終了するために博士3名を連れて入室(この時ティムズ研究員は介入が不要だと感じている旨を表明している)し、エージェント フアレスに撃たれた。負傷した研究者を回収しようとする職員に対して笑いながらパチンコを発射するフアレスが最終的に意識を失った後、追加の保安部隊が入室し、影響された人々を医療措置のために搬送する事が出来た。マギー博士が唯一の生存者であった。
注記: 将来的な実験におけるSCP-1963の周囲の保安対策は強化された。全てのビー玉は後の実験のために収容された。

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