SCP-1968-JP
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底部から金属を分泌しているSCP-1968-JP

アイテム番号: SCP-1968-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1968-JPはサイト-8181 サイト-██の標準的小型アイテム収容ロッカー内で樹脂によって底部を覆われた状態で固定されます。SCP-1968-JPは実験に用いられるものを除き、いかなる金属からも隔離されなければなりません。SCP-1968-JPを用いた実験はレベル3以上の職員の許可が必要です。O5評議会の命令により無期限に凍結されています。

説明: SCP-1968-JPは高さ4 cm、質量3.916 kgの物体で、その高い密度を除けばガラスと極めてよく似た物理的性質を有しています。SCP-1968-JPは海洋研究開発機構による遠隔操作無人探査機「ABISMO」を用いた南硫黄島南方の海底調査の際、探査機の底部と癒着した形で発見されました。「浮上した探査機に動く人面が浮かびあがっている」との情報を得た財団はフィールドエージェントを派遣し、SCP-1968-JPを回収しました。目撃者には記憶処理が施され、周辺にはカバーストーリー「珍種のフジツボ」が適用されました。

SCP-1968-JPと接触した金属はその種類に関わらず液状化し、SCP-1968-JPの表面から吸収されます。吸収から5秒ほど経過した後、SCP-1968-JPは吸収した金属を底面から分泌します。底面が塞がれている場合この分泌は起きないことが判明しています。分泌された金属は粘性の高い液体のような挙動を見せ、SCP-1968-JPの近辺にあるものを模倣した形をとります。近辺に模倣に適した物品がなかった場合、SCP-1968-JPは過去に観測した物体を模倣する事が報告されています。金属の変形能はSCP-1968-JPと接触している限り保たれますが、SCP-1968-JPが生成した模倣物から自身を離脱させると金属は固体化します。

実験記録の全文については実験記録-1968を参照してください。

実験記録001 - 日付20██/██/██

対象: 銅500 g

実施方法: SCP-1968-JPに対象を接触させ、順番に立方体・真球・小型の人型銅像を前に置いた。

結果: SCP-1968-JPは銅を置かれた物体と同じ形に変形させた。また、SCP-1968-JPは銅像に関しては盛んにその手足を動かし、実験台の上を歩き回ったり実験者に向かって手を振ったりした。

分析: 人間の動きを滑らかに真似する事も出来るようです。 - 小泉博士
こっちを認識してるんですかね。もう少しデフォルメがきいてたらなぁ。 - 伊万谷研究助手

実験記録006 - 日付20██/██/██

対象: SCP-148

実施方法: 実験はサイト管理官により却下。

結果: 実験はサイト管理官により却下。

実験記録007 - 日付20██/██/██

対象: アルミニウム1800 g

実施方法: SCP-1968-JPに対象を接触させ、伊万谷研究助手がその前に座ってコミュニケーションを試みた。

結果: SCP-1968-JPは自身を包むようにして伊万谷研究助手の頭部を模した像を生成し、その表情や口の動きを2秒遅れで模倣した。発声は認められなかった。

分析: 顔は完全に一致していたが、後ろの髪形は伊万谷くんがその場で回転するまで微妙に違っていた。前からしか見ていないからでしょうか。 - 小泉博士
口を開けた状態でペンを突っ込んでみたら即座に噛み砕かれました。完全に模倣してるって訳でもないみたいですね。 -伊万谷研究助手

実験記録009 - 日付20██/█/██

対象: 鉄500 g

実施方法: SCP-1968-JPに対象を接触させ、その前にホワイトボードを設置する事で筆談によるコミュニケーションを試みた。

結果: SCP-1968-JPはホワイトボード上の文字列がそのまま刻まれたプレートを生成した。ピクトグラムによる対話の試みについても同様の反応が得られた。特筆すべき点として、財団エンブレムを示されたSCP-1968-JPは”迷うような挙動”を見せた後、エンブレムが上辺に刻まれた立方体を一時的に生成した。

分析: 字体まで俺に似せてくるあたり、言語として認識している訳ではなさそうですね。 - 小泉博士
あの立方体、すぐに引っ込めちゃいましたけど何だったんですかね? 同じものを用意すれば真似するだろうから分析出来そうですが。 - 伊万谷研究助手

実験記録012 - 日付20██/█/██

対象: 鉄500 g

実施方法: SCP-1968-JPに対象を接触させ、遊星歯車機構を近くに置いた。

結果: SCP-1968-JPは与えられた鉄を変形させて癒着した歯車を生成した。その後吸収と再生成を何度か繰り返した後、SCP-1968-JPは分泌した金属を用いて遊星歯車機構に接近して機構の吸収を行い、完全な複製物を生成した。

分析: 見えている面しか似せられないが、吸収してしまえば複雑な構造も把握できるようですね。 - 小泉博士

注: 再試験を行った結果、二度目以降の模倣においてSCP-1968-JPは機構の吸収を必要とせずに完全な複製物を生成した。また、この形状の”記憶”は時間をおいても損なわれない事が判明している。

実験記録019 - 日付20██/█/█

対象: 鉄200 g

実施方法: SCP-1968-JPの近辺には何も配置されていない状態でSCP-1968-JPを観測した。同種の実験はSCP-1968-JPの起源を探索する目的で既に三度行われている。(実験記録016,017,018を参照)

結果: 対象は自身が収容されていた標準的小型アイテム収容ロッカーを複製した。このロッカー上部には「SCP-1968-JP」ではなく「SCP-073-US」の刻印が認められた。この時SCP-1968-JPが放出した金属の総量は7.152 kgであった。また、この生成の後にSCP-1968-JPの質量を測定したところ2 gの質量減少が判明した。

分析: SCP-1968-JPの異常な密度は当オブジェクトの内部にある金属にあると推測されます。金属貯蓄量と質量増加が線形関係にあると仮定した場合、本来の質量を多めに200 gと見積もっても内部金属の質量は1 tを超す事になります。質量の評価はかなり慎重に行うべきですね。 - 小泉博士

補遺: 実験019の結果を受け、SCP-1968-JPの貯蓄金属の質量、変形能に由来する潜在的危険性、また財団所有品の複製によって混乱を招く可能性が指摘されました。これを踏まえてSCP-1968-JPを用いた新たな実験の凍結ならびにサイト-██への移送がO5評議会によって指示されました。

分析1968-019: 実験019の結果はかつてSCP-1968-JPが収容下にあった事を示唆していますが、財団のデータベース中にSCP-1968-JPと一致する異常存在はなく、「US」という識別コードについてもデータは残されていませんでした。

生成された収容ロッカーについて分析した結果、外形はSCP-1968-JPを収容していた標準型小型ロッカーとほぼ一致していましたが、金属組成及び内部構造には差異が見られました。「SCP-1968-JPから見える部分のみを模倣し、見えない部分に関しては以前に記憶した構造・形状を模倣する」という性質(実験記録007,012を参照)によってロッカーの内部構造および上面についてはSCP-1968-JPが以前吸収した別種のロッカーの構造が用いられたものと考えられます。

複製物の内部構造について調査したところ、財団結成初期に試作されたASCI-11試作型収容ロッカーの構造と98.7%以上の一致が見られました。オブジェクト収容には改良型が使用される事になったため実際にASCI-1型が使用された事例はなく、サイト-8181にもASCI-1型ロッカーは配置されていません。

 

補遺-2: 再試験を行った結果、実験記録009において一時的に観測されていた立方体を得ることに成功し、これについて分析を行いました。立方体は中空で、内部からは英文の刻まれた四枚の金属プレートが発見されました。これは以前SCP-1968-JPを収容していた財団関係者が当オブジェクトを再収容する存在に向けて記し、SCP-1968-JPに記憶させたものと考えられます。

プレートには以前SCP-1968-JPを収容していたサイト-A704が放棄された経緯の概要ならびにSCP-1968-JP(文中ではSCP-073-USと呼称)に記憶させた資料の存在とその外形についての情報が「次の担当者への引継ぎ」として記されていました。サイト-A704の存在を示す資料は財団データベース内には残されていません。全文の記録は中央資料室██‐████区画、生成物はサイト-81██に保管されています。

 


評議会による通達: 既に行われた実験の再試験を含む全てのSCP-1968-JPに関する実験は即時凍結される。これはO5評議会による命令である。また、SCP-1968-JPの移送は即時実行される。移送のため機動部隊がサイト-8181に到着するまで、SCP-1968-JPの収容ロッカーを開く事は一切許可されない。機動部隊はこの命令公布時点の翌日(20██/█/█)に到着する予定である。-O5-█

 

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