クレジット
タイトル: SCP-1976 - 私を決して知りえないであろう息子へ
オリジナル: SCP-1976 - To My Son Who Will Never Know Me
原著者: Uncle Nicolini、
RJB_R(旧roget)
翻訳者: DirStarFish
査読者: entropy1248
作成年(EN): 2025年
参照リビジョン: rev.4
アイテム番号: SCP-1976
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1976は サイト-55のSafeクラスSCP棟内にある標準的ヒューマノイド収容チャンバーに収容することとします。SCP-1976の収容チャンバーに進入する職員は、偶発的なSCP-1976の視認を防止するため、着色済みゴーグルを着用することとします。SCP-1976を描写したすべての画像および映像はこれまでに破棄されており、新たな画像の生成は収容違反とみなされます。
説明: SCP-1976は身長およそ2メートル、体重およそ80キログラムの人型生物です。間接的に観察した場合、SCP-1976はその生成の要因になったと考えられている人物であるアラン ██████という名の成人男性に類似した姿で、持続的植物状態にあるように見えます。
人間の対象者がSCP-1976を視認した場合、それが物理的な視認であるか写真やビデオのような複写された画像の視認であるかに関わらず、対象者はSCP-1976が自らが父親であるとみなす人物であり、最近重大な事故により負傷したのだという、即時的かつ永続的な確信を持つようになります。対象者らは自らの父親の状態について注目を集めようとするようになり、結果としてより多くの対象者がSCP-1976の影響を受けることとなります。SCP-1976の影響を受けた人物が本当の父親を見せられた場合、それを認識することなく他人であるかのように反応します。1
複数の対象者が一度にSCP-1976の影響を受けている場合、対象者らはそれぞれSCP-1976を自分の父親であると信じるようになります。彼らは他のSCP-1976の影響を受けた対象者に対して筋道だった議論をしようとし、SCP-1976の外見に関する自身の理解をもとに説得を試みます。こうした試みは例外なく失敗に終わり、対象者はSCP-1976を実力で獲得しようとし、時にはそれを達成するためにより高位の権力に接触することもあります。
SCP-1976は1976/9/17、ある地方の病院におけるSCP-1976の大規模騒乱事件を財団職員が察知した際に発見されました。SCP-1976の起源に関する調査において、SCP-1976はマサチューセッツ州ボストンにある住宅の住所から当該病院に運ばれたことが判明しています。当該住所の地下室からは複数の録音テープが回収され、近隣住民および家族には記憶処理が施されました。
補遺: この一連の録音テープは、SCP-1976の回収より2日前に死亡した元霊安室担当助手、アラン ██████により作成されたものです。この個人となんらかの要注意団体との関連についての調査は実質的な証拠を得るに至っていません。
実験5。
今度はちゃんと屍を死から呼び戻せられた。死体男が叫び始めて、処分しなければならなかったから、私が必要としていた諸々の移植は無理だった。娘達が耳にしたとは思えないがな。やれやれ。
[痰を伴う咳が聞こえる。]
今回のものだが。あー。正真正銘の大惨事だ。全く。死体安置所から遺骸が悉く消え続けている現状を、どうミッチェルに説明すればいいのやら。けど今更止めるのは無理だ。
やあジェス、リズ。パパだよ。お前達の高校卒業をパパは喜んでいますと言いたいものだ。けどそうじゃなかったとしたら、そうだな、なんで母さんはこのテープを再生してるんだ?
[大きな笑い声がするが、唐突に咳で遮られる。]
お前達がいるのは次の大冒険だ、そう、大学というね!2人とも秀才なんだから、ハーヴァード大学に合格したことだけは分かるよ。今すぐに会えればいいのにと願っているだけだ。悪の道に走らないでくれ、それと忘れないで欲しい、卒業するまで彼氏は作るな、いいね?ママに見張っててもらうよ。
実験9。
何もかもが上手くいかない。屍を死から呼び戻せられない上に、どでかいバックを引っ提げて、一晩おきにゴミ捨て場に行っているのをアーティーが不審に思い始めている。クソッタレ…。
[着火音が聞こえる。恐らく、ライターが点けられた。]
これからどうすればいいのだろう。テープ類は確実に処分しなければならない、さもなくばアンナは腰を抜かしてしまう。じきに私は…
[ため息。]
ああクソ。
やあジェス、リズ。パパだよ。これを聞いているのなら、お前達のどちらかが結婚したことになるな!この特別な日に居合わせられなくてすまない。けどお前達なら、こういう時どうするか分かっているよね。愛しているよ。それに結婚相手が誰かも知らないが、お前がその男を愛しているなら、その男は正真正銘、特別な人間だと断言していい。
もし結婚したというのなら、赤ちゃんが産まれるのも間もなくだ。ハハハ。分かるかい、お爺ちゃんになるなんて想像もつかないんだぞ?ずっと年を取らずに、パパと娘達でいられる、いつもそう思っていた。でもそうはならないのも分かっている。
ここだけの話、私はダメなお爺ちゃんになるんだろう。お前達の子供を甘やかしてしまうわけだから。
私はバカだった。今に至るまで屍を死から呼び戻すことこそ、私の役目だと思っていたが、あの教員が間違いだと証明してくれた。もっとやった方がいい。
[湿っぽい、空咳。]



