クレジット
タイトル: SCP-1996-JP - 影との戦い
著者: ©︎crow_109
作成年: 2019
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収容プロトコル実施後の夕縫駅前 |
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アイテム番号: SCP-1996-JP
オブジェクトクラス: Euclid(変更審議中)
特別収容プロトコル(2019/09/15改訂): SCP-1996-JPの効果範囲は拡大中であると見なされているため、収容は封じ込めと調査が同時に行われなくてはなりません。SCP-1996-JP事象発生地点から半径20kmは特別警戒区域1996-JPと指定され、交通アクセスの任意の遮断と適切なカバーストーリーの流布が行われます。実際の封鎖は北海道警察の協力の下、警察の指示管轄に偽装されます。夕縫市内は全域が特別警戒区域に指定されたため、北海道庁及び近隣自治体の協力の下、カバーストーリー「大規模炭鉱火災」により、夕縫市住人の73%が指定の避難所へ立ち退きを行っています。残存を希望する住人に対する強制執行は、予算と必要性のバランスを踏まえ、現在保留されています。
SCP-1996-JPに対する調査は、く-9"羆嵐"を中心とした機動部隊3隊の合同で実施されています。各機動部隊には認識抵抗値3.0以上の人物が選抜され、SCP-1996-JP-1を探索・捕縛するための対情報災害専用装備が支給されます。夕縫市民病院の元患者は全員が監視リスト-1996-JPに記載され、警察指示に偽装した移動・行動の制限と継続監視が行われています。SCP-1996-JPへの曝露者、もしくはSCP-1996-JP-1を生存したまま捕縛した場合、直ちにサイト-8166のSCP-1996-JP研究室へと輸送し、戦闘用の装備等を全て没収した上で、必要なインタビューと生態学的調査が実施されます。北海道内で活動するエージェントは、各地におけるSCP-1996-JPの出現情報を収集するとともに、可能であれば機動部隊と連携して当該個体の捕縛を狙います。
POI-1996-JPの捜索範囲は、夕縫市内から北海道全域へと拡大されています。
説明: SCP-1996-JPは、北海道夕縫市住人集団失踪事件の原因と推定される、ベクター不明の侵襲性情報災害と、情報への曝露によって引き起こされる一連の異常現象の総称です。SCP-1996-JPに曝露する条件は現在調査中ですが、財団が捕縛した曝露者の共通項として、権威主義的パーソナリティ1テストにおいて平均の1.8~3.0倍のスコアを記録した点と、夕縫市民病院の元患者であった点が判明しています。
SCP-1996-JPに曝露した対象は、特に他者へのコミュニケーション時を中心とした従前の思考、知覚、感情、言語、自意識が著しく暴力的かつ被害妄想的な方向へ歪曲されていきます。症状の進行に伴って、認知、適応、意欲、行動、自我意識など、多彩な精神機能の鈍磨もしくは極端な先鋭化が見られるようになります。一般的にこれらの症状は非異常性の精神障害と外見的な区別が不可能であり、元々自閉症などの精神病の素因を持つ対象の場合、これらの症状のどれが異常なものなのか否かは、SCP-1996-JPに関する知識の有無に関係なく判断できません。症状の進行は多くの場合、対象の家族や知人に対し著しい関係不調和を齎し、本人が自発的な入院を選択出来た場合でも、従来の人間関係が維持されたケースはその内16%程度に留まります。
曝露から大凡4週間程度が経過した後、対象はSCP-1996-JP-1に変化します。SCP-1996-JP-1は現在のところ、ヒトの認知を抑制する形而上的解離効果を帯びたヒト型存在と考えられていますが、人間としての記憶や人格は完全に失われていることから、変化前の対象とSCP-1996-JP-1の形而下的な連続性ははっきりと証明できません。SCP-1996-JP-1の行動原理はSCP-1996-JPに曝露しない人間への攻撃2と、より実践的な攻撃の為の組織化を行いますが、個別的には考想操作及び考想奪取妄想に取り憑かれているように見えます。
SCP-1996-JPの起源は不明ですが、現在行方不明となっている夕縫市の元住人、内田 絢子氏(以下POI-1996-JP)と、その死亡した母親である内田 ████氏が深く関わっていると見られています。インタビュー記録1996-JP-01及び-02、インシデントレポート1996-JP-01を参照してください。
夕縫市について: 北海道夕縫市は古くから石炭の産地として栄えましたが、石油へのエネルギー転換が進むとともに深刻な財政難と少子高齢化に陥り、現在は7千人程度の住民が主に農業や観光業で生計を立てています。
1999年、当時同市からの撤退を決めた花菱ユウホウ炭鉱開発株式会社3の進言により、巨額の地方債の発行が行われたものの、500億円にも達したと言われる地方債の使途は現在も不明な点が多いと見られています。
以下に示すのは、POI-1996-JPに対する初期のインタビュー記録です。当時のSCP-1996-JPは、夕縫市の住民失踪にかかる警察報告が財団に通知されたことから、超常現象-1996-JPとして、エージェントによる調査が実施されていました。尚、各インタビューは対象のPOI指定が行われる前に実施されたことに留意してください。
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