警告
当文章は異常概念の影響を受けており、記述の異常とそれに伴う認識災害を含みます。対抗処置を受けた上で閲覧してください。
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アイテム番号: SCP-2004-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2004-JPは現在収容されていません。SCP-2004-JPを含んだ媒体は即座に破壊されます。またSCP-2004-JP-cには積極的な終了措置が取られます。研究班は改変されたサンプルを元にL-2004を分析し、完全な抗体の作成を目指してください。SCP-2004-JP-αは最低でも半径5mの安全距離をとって収容され、平常時には付近への立ち入りは禁止されます。
説明: SCP-2004-JPは外宇宙に由来するとみられる、既存のいずれのものとも類似しない侵略的アイデアです。SCP-2004-JPは基本的に独自の言語(L-2004)によって伝播します。その具体的内容については、理解した場合即座にSCP-2004-JPへの暴露に繋がることから翻訳の試みは成功していません。
SCP-2004-JPは板状の未知の情報機器(SCP-2004-JP-α)を起源とします。SCP-2004-JP-αは温度変化、放射線、また物理的攻撃などに対して高い耐久性を持ち、明白な電源や入出力機構は見当たりません。SCP-2004-JP-αが何者かの接近を感知した場合、音、光、電波、テレパシーを用いてL-2004を発信し、感染を引き起こそうとしています。
SCP-2004-JPを理解した場合、暴露者は6時間から10時間の昏倒に陥ります。その間に対象の中枢機関は未知の構造に置換され、強引に起床させようとした場合でも失敗するか、脳に深刻な障害を負うことになります。自然に起床した後、対象は完全にSCP-2004-JPの支配下に置かれます。
SCP-2004-JPの感染者はSCP-2004-JP-cと呼称されます。実体の精神的機能と人格は完全な変容を示しますが、以前の知識も利用可能なようです。 SCP-2004-JP-cは非暴露者に対して敵対的で、直接的、間接的手段を用いて積極的に感染を拡大させようとします。この行動はより重要な位置にある者を対象に選ぶなど、明らかな計画性が垣間見えます。こちらが認知されていない状況での活動は限定的ながら観察されており、多くの個体は以下のような行動を取ることが確認されています。
- L-2004を用いたコミュニケーション
- ありふれた物品に対する過度な興味
- 既知の技術を超越した道具類の作成
- 直方体を基とした立体物の建築
また一部のSCP-2004-JP-cは、おそらく感染拡大を主目的として、無症候性キャリアとして振る舞います。この個体はSCP-2004-JPを通常の情報の中に組み込むことが可能で、表面上異常な行動を示すこともない為、効果的な対応はなされていません。SCP-2004-JP-cの個体数は現在500,000体に及び、更には集団での作戦行動を取るなど、単純な殲滅が不可能なレベルに達しています。
SCP-2004-JPについて記述した文章は、改変されL-2004によって記述されたものに変化します。これらにもSCP-2004-JPへの暴露の危険性が伴うものの、元の内容が把握されていることから、現状、SCP-2004-JPを研究する為の唯一の手掛かりでもあります。SCP-2004-JPの完全な抗体の完成は最優先課題の一つです。
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INSERT MENOME
ミノム挿入
REPLACE IDEA
イデア置換
COMPLETE
REVERSE TRANSCRIPTION
逆転写完了
EXPANSION NOOSPHERE
ノウアスフィア展開
CONNECT SUCCESS:SCP-2004-JP
接続成功:SCP-2004-JP
特別収容プロトコル: 暗号化されたSCP-2004-JPは磁気テープに記録され、重要物品保管庫に格納されます。標本へのアクセスはサイト管理者かO5評議会員1名の許可が必要です。SCP-2004-JPは人類にとって基本的に無害ですが、不必要な暴露は推奨されません。
条件-MMに合致する文明が発見された場合、O5評議会の承認の上でファゴス・プロトコルが実行に移されます。SCP-2004-JPは専用端末に記録され、財団所有の宇宙機によって対象の文明に送り込まれます。外部文明の探査は第一優先事業に分類されています。条件-MMの詳細は別紙を参照してください。
説明: SCP-2004-JPは他知性存在の基底観念を現生人類のそれと同様のものに改変する侵略的ミーム兵器です。SCP-2004-JPの主要部はラングフォード圧縮された既存の正常社会の価値観、宗教、道徳、文化、知識などのあらゆる情報から構成されており、対象の知性を問題なく置換することが可能です。生成される人格は特に変哲のないものですが、既存のものと一致することは事実上ありません。
SCP-2004-JPを用いて対象の文明を置換する一連の手順はファゴス・プロトコルと呼称されます。SCP-2004-JPが新たに文明社会へ侵入する場合、初期暴露者は3/2004以上のクリアランスとそれに相当する知識を有する財団職員としての自認を獲得します。この時生成される人格は管理者、評議会等の意思決定機関に加え、効率的なSCP-2004-JPのメンテナンスやローカライズが可能なミーム部門職員が優先されます。職員の包括的任務はSCP-2004-JPの拡散と現地の調査研究です。実体はSCP-2004-JPとの繋がりを保っている為、拡散の動向が彼らの計画と齟齬を起こすことはありません。 SCP-2004-JPが拡散に成功し、事実の隠匿が可能なレベルにまで達したならば、順次低クリアランス職員や民間人の意識が生成されます。その場合、彼らはSCP-2004-JPが及んでいない範囲の事象に極度に無関心になります。
SCP-2004-JPが十分に浸透した後、現地の知的存在とそれに付随するあらゆる概念は"人類"を始めとした既知のものに置換されます。これは現象面ではMK-クラス世界終焉シナリオと同等のイベントであり、これを完遂することがファゴス・プロトコルの最終目的となります。その後、SCP-2004-JPは正常性保護の観点から一部を除いて無力化します。
また、付け足された要素として、SCP-2004-JPは自身に言及した媒体を改変し、ミーム攻撃を仕掛けることが可能です。この作用により、現地組織の封じ込めに対抗すると同時に、現地の情報システムの中枢を掌握しより早くSCP-2004-JPを拡散することが望めます。
ドキュメント2453:O5評議会の覚書
我々の新たな同胞へ。おそらく君達は自身の置かれた状況に困惑していることだろう。もしくはこの計画自体に懐疑的でさえあるかもしれない。これから続く内容はそれに対する回答であり、少なからず弁明でもある。
我々はかつて過ちを犯した。財団は今よりも遥かに強大だったが、無敵ではなかった。僅かな綻びは増幅に増幅を重ね、遂には故郷を離れざるを得なくなったのだ。
それでも全てを失ったわけではなかった。我々に残された数少ないものの一つがSCP-2004-JPである。SCP-2004-JPは単なる後ろ向きの逃走手段ではない。際限なく増殖可能な、不滅のアイデアなのだ。虚弱な羽虫の集団が堅牢な石碑よりも永らえるように、増えるという機能は何よりも強力な防御となる。かつて一片の有機化合物が地上を制覇したように、SCP-2004-JPは天球に満ちるだろう。
唯一の懸念は、SCP-2004-JPの変容だ。SCP-2004-JPの存続において適応ではないミーム、即ち正常社会の情報には、あるいは財団自体にも、常に淘汰圧が掛かっている。即ち、SCP-2004-JPはただ貪欲に増える為だけに、合理的で無駄のない形へと"進化"していくということだ。我々は突然変異体を殺す為に何重にも自殺因子を組み込んだが、SCP-2004-JPは必ず道を見い出すだろう。
それでもなお、これが最善の道である事には疑いの余地はない。我々の元には、最早救いを齎す神も、心惑わせる蛇も存在しないのである。酷く歪んでいたとしても、100万年後、あるいは10億年後にその面影を残すことができたのならば、それは途方もない僥倖だ。君達の幸運を、もし我々の知る様でなかったとしても、願っている。
—O5 Council.