SCP-2009
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かつてD-998120-WだったSCP-2009-01個体。

アイテム番号: SCP-2009

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2009-02のサンプルは、バイオサイト98の冷蔵BSL-4準拠ストレージに保管します。SCP-2009-01個体が実験またはインタビュー目的で必要とされる場合、Dクラス職員1名を3グラムのSCP-2009-2に曝露させます。曝露に続き、感染したDクラスは少なくとも9日以上の期間、BSL-4準拠収容室内に収容し、その後にSCP-2009-01として扱われます。Dクラス職員のSCP-2009-02感染は、少なくとも2名の現地レベル4職員の承認を得て実施します。

実験期間中、SCP-2009-01個体は室温10℃のBSL-4準拠収容室に保ちます。SCP-2009-01個体の収容室の湿度は0%を維持します。財団職員がSCP-2009-01と相互作用する場合は、レベルAのHazmatスーツを着用し、相互作用を終えた後は完全な除染を受けます。実験または相互作用終了後、SCP-2009-01個体は終了され、遺体は焼却されます。

医療施設・ニュースメディア・法執行機関を、SCP-2009の未収容個体を検出するために監視します。確証および規模の評価の後、機動部隊ロー8“キノコハンター”が収容達成のために派遣されます。

説明: SCP-2009-01は胞子を用いた無性生殖が可能である異常な男性ヒト型生物の全個体を指す名称です。SCP-2009-01個体は全てが遺伝的に同一であり、変異前は異常な生理機能を示しません。SCP-2009-01個体は完全に知的存在であり、SCP-2009-02生成の時点までは正常な社会生活を営む事が可能です。SCP-2009-01個体は、自身を”トーマス・ホアン”という人物として識別します。どの個体も自身の異常性質に関する知識を持っておらず、幼年期および成年早期をカリフォルニア州のポレンズビーという地域1で過ごした記憶を基準として共有しています。

5日以上にわたって20℃以上の気温および40%以上の湿度に曝された場合2、SCP-2009-01は影になった領域を探し始めます。この時、高層ビルや、人通りの激しい地域に隣接した場所が優先されます。SCP-2009-01の肉体は膨張し、細いキチン質の”毛”へと分割します。これらの毛はSCP-2009-01によって、近くの壁や物体に自身を固定し、可能であれば、そこから限られた栄養物を吸い上げるために使われます。SCP-2009-01は知的活動を停止し、エネルギーの全てをSCP-2009-02生産へと変換します。SCP-2009-01は、最終的に枯渇して死亡するまで、SCP-2009-02の産生および放出を継続します。

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SCP-2009-02

SCP-2009-02は、SCP-2009-01によって生産される微細な胞子であり、人間に感染可能です。典型的な生産期間中、SCP-2009-01は55kgのSCP-2009-02を生成できます。SCP-2009-02実体は風媒性であり、呼吸器系を介してヒトに感染します。曝露して3-4日以内に、SCP-2009-02に感染した人物は、吐き気・倦怠感・光線過敏症の症状を表し始めます。加えて、感染者は社会的接触を避け、自身を他人から隔離します。5-8日以内に、感染者の生理機能はSCP-2009-01のそれと一致するように変化し始めます。この過程は、感染者とSCP-2009-01の生理学的類似性に比例して、様々なレベルの不快感を伴います。感染者は自身の変化を認識しており、変化過程において頻繁に激しい心理的苦痛を示します。曝露して8-9日以内に、感染者の生理機能・基準となる心理状態・DNA・記憶は、SCP-2009-01と完全に一致します。新たに誕生したSCP-2009-01個体は、変異前の生活についての知識を持ちません。

SCP-2009は1998/██/██、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)に、ミズーリ州████ ████████の町で未知の病気が広範囲に感染しているという通報が入った際に発見されました。初期対応チームに潜入していた財団エージェントは、町民の46%にSCP-2009-02曝露で齎される極端な生理的変化が見られる事を報告しました。街は直ちに検疫封鎖され、感染者たちは財団の勾留下に置かれました。CDCチームと町民の残りはSCP-2009の性質が判明するまで隔離されました。町は1998/██/██に”激しい野火”のカバーストーリーの下に破壊・焼却され、CDCチームと感染していない住民はクラスE記憶処理を施した翌日、財団勾留下から解放されました。新たに誕生したSCP-2009-01個体は3体を残して終了・焼却され、残る3体は実験に、および研究目的のSCP-2009-02生産に使用されました。

████ ████████の破壊に際し、SCP-2009-01個体の乾燥した死体が、████ ████████第一メソジスト教会の鐘楼で発見されました。この個体が感染源となったSCP-2009-01であると推測されていますが、オリジナルのSCP-2009-1個体であったかどうかは定かでありません。

インタビューログ2009-7m 1999/11/13

インタビュー対象: D-998120-W、アフリカ系女性、SCP-2009-02曝露から4日後。インタビューは暗くしたBSL-4準拠収容室で行われた。

インタビュアー: アフメドフ博士

アフメドフ博士: こんにちは、D-998120-W。今日の調子はどうかね?

D-998120-W: [沈黙]

アフメドフ博士: 協力する気が無いなら、D-998120-W、照明を点けても構わないんだぞ。

D-998120-W: ひどいわ。ひどい気分。吐き気がするし、光は痛いのよ。何もかもが苦痛なの。私をどうしようっての?

アフメドフ博士: それは気の毒に。もしよければ、幼い頃の思い出について話してもらいたい。

D-998120-W: 思…えっ? もし私が答えたら、どっか行ってくれる訳?

アフメドフ博士: ああ。君が答えてくれればインタビューは完了だ。

D-998120-W: 分かったわ。5歳か、6歳の頃かしら。母さんが夜遅くまで働いてて、ある日帰って来るなり、リビングの椅子に座り込んで眠り込んじゃった事があった。てっきり死んだと思ったわ。

アフメドフ博士: 君の母さんはどんな見た目だった?

D-998120-W: どういう意味? いつもと同じように見えてたけど? 背が低くて、肌はちょっと濃い目に黄色みがかってて、顎は丸かったわ。

アフメドフ博士: そうか、どうもあり-

D-998120-W: 待って、えっ…? そんな訳ないわ。一体-

アフメドフ博士: どうもありがとう、これで終了だ。
<記録終了>

インタビューログ2009-7n 1999/11/15

インタビュー注記: D-998120-Wは、身体の不快感は”悪性のrestricula”3に対するワクチン接種の結果であると知らされていた。

アフメドフ博士: D-998120-W、今日の調子はどうかね?

D-998120-W: そ、それほど、いい気分じゃないです。

アフメドフ博士: ほう? 何故かね?

D-998120-W: この…ノイズのせいです。僕が僕じゃなくて、他の人みたいな。

アフメドフ博士: なら、君は誰なのかね?

D-998120-W: トーマス・ホアンです。その、つまり僕は自分がトーマス・ホアンだって分かってます。でも、子供の頃に父が死んだとか美術の授業でCの成績だったとか、そういう事をまだ覚えてるんです。だけど、それは…それは僕じゃないんです。僕はコロンバスじゃなくてポレンズビーで育ったし、父もまだ生きてます。何て言うのか、一番変な事なんですけど、聞いてもらってもいいですか?

アフメドフ博士: 話してくれたまえ。

D-998120-W: まるで、女の子みたいなあれこれを覚えてるんです。アレが付いてたりとか…その、分かるでしょう? いえ、気にしないでください、言うべきじゃありませんでした。

アフメドフ博士: 理解できるよ。

D-998120-W: 何というか、その、自分の事については安心できるんです。ただ…これって何か大変な事なんですか?

アフメドフ博士: いやいや。我々の治療法に対するこの手の反応は、完全にパラメータの範囲内さ。一日かそこらで克服できるだろう。

D-998120-W: そうですか。有難うございます、先生。
<記録終了>

結: 1999/██/██、D-998120-WのSCP-2009-01個体への変化は完了した。実験終了後、個体は焼却処分された。

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