SCP-2018
評価: +21+x

アイテム番号: SCP-2018

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2018周囲のエリアにはフェンスを設置し、保安職員は一般人の進入を防ぐべく当該エリアの監視を行います。1名のDクラス職員を月に1度SCP-2018-1の内部に派遣し、回収します。SCP-2018およびSCP-2018-1に関する実験には少なくとも1名のレベル3研究員の承認が必要です。

説明: SCP-2018はオーストラリアの[編集済み]の近隣に位置する時空間異常です。この異常は放棄された倉庫の内壁上に長方形の空間として出現しています。出現は72時間に一度、1時間7分14秒の間行われます。この空間を通った先にはオーストラリア博物館(Australian Museum)の複製版が出現しており、これはSCP-2018-1として指定されています。SCP-2018-1は直径およそ5キロメートルの浮遊する円形の陸地の中央部に位置しています。この陸地の端には高さ6メートルのレンガの壁が外縁部を覆うように建てられています。この壁の外側にはこちら側の世界と同様の空が広がっていますが、あらゆる方向へ不明な距離だけ広がっているもののように思われます。この陸地を浮遊させている要因は不明です。SCP-2018-1の基本設備および全体的な建築様式はオーストラリア博物館のものときわめてよく似たものとなっています。すべてのフロアにおいて、さまざまな大きさの空の台座が見られます。

SCP-2018-1のさらなる異常性質は生きた人間の被験者が内部に進入した際に発生します。およそ12分後、物体および生物が空の台座の上に出現し、同時に文章の書かれた金属板が現れます。この物体および生物はSCP-2018-1に進入した人間の被験者が強い印象を持つ思い出に関係したものであることが判明しています。SCP-2018-1の最初のフロアは一般に子供時代および青年時代の記憶に基づく物体や生物を生成し、より上の階ではより最近の記憶に基づく物体や生物が生成されます。SCP-2018-1のこれらの異常性質は、3名以上の人間の被験者が同時に進入した場合は発現しません。

SCP-2018-1は訪問者の無い期間が長くなるほど、その構造の風化が加速されていくことが観察されています。もしも6か月以上の間1人の訪問者も無かった場合、SCP-2018-1は崩壊に至るだけの損傷を負うものと推測されています。注目すべきことに、訪問者がその滞在中に強い感情を抱くことが無かったとしても、SCP-2018-1はその損傷の度合いを変化させません。

補遺: 試験記録

前文: ここには注目すべき結果のみが記載されています。すべての記録を閲覧するにはレベル2アクセスクリアランスが必要です。

試験1
被験者: エージェント██████
結果: 水で満たされた浴槽が生成された。浴槽の中には意識の無い、エージェント██████と同様の物理的特徴を持つ幼い人間の少年がいた。
文章: 罪なき子をぶつために手を上げたものはその手を持つに値しない。
注記: エージェント██████は彼が5歳のとき、彼の姉によって浴槽で溺れさせられそうになったと証言した。

試験2
被験者: エージェント█████
結果: 高齢のヒスパニック系の女性が出現し、台座を降りてエージェント█████を抱きしめた。老女は「私を助けてくれてありがとう」と発言した。そして彼女は台座に戻り、消失した。
文章: 誰かの命を救うのは一つの世界を救うのと同じだ。
注記: エージェント█████は台座から出現したものと同様の外見の老女が車に轢かれそうになったところを助けたことがあると証言した。

試験3
被験者: エージェント████████
結果:幼い少年と、テレビ一式およびテレビゲーム機のSNES(スーパーファミコン)が出現した。幼い少年はいっしょにテレビゲームをやろうとエージェント████████の名前を呼んだ。エージェント████████は台座に登り、半時間の間その少年とテレビゲームを遊んだ。この間、電源となるものは見られなかった。
文章: 共有とは相手を思いやること。それは幼くとも本当の思いやりである。
注記: エージェント████████は台座の少年は彼の子供時代の友人の一人と同じ外見をしており、それはエージェント████████の家庭が貧しくテレビゲームを買えなかったとき、自分のゲームをやらせてくれた子供だったと証言した。

試験4
被験者: D-2018-01
結果: 複数の警官が複数の台座上に同時に出現し、所持していた拳銃でD-2018-01を射撃し始めた。通常の拳銃の発射音が聞こえたが、弾丸は発射されなかった。
注記: D-2018-01は児童誘拐、殺人および麻薬取引の罪で死刑判決を受けていた。

試験5
被験者: D-2018-02。被験者は限定的なクラスオメガ記憶処置を受けており、試験の間は完全にその記憶を失っていた。また被験者は1名の護衛を付けられていた。
結果: 何匹かの猫と犬が台座上に現れ、護衛の脚に身体をすり付けると、台座に戻って消失した。
文章: 何が起こると思った? 卵がなくてはオムレツは作れない、そうだろう。
注記: 護衛は台座から出現したものと似た外見のペットを飼っていた。

補遺-B: 20██/██/██、SCP-2018-1の未探索のフロアおよびその構造をマッピングすべく、探索チームが派遣されました。彼らは最上階で「探索チームへ:どうぞお入りください」とメッセージの書かれたドアに行き着きました。ドアを開き進入するとそこは広い部屋で、何種類かの食べ物や飲み物が載ったテーブルが置かれていました。そのテーブルには高齢の、明るい青色のスーツを着た太り過ぎの男性が席についており、いっしょに食事をしようとチームへ呼びかけました。エージェントの誰もこの男性に会った記憶はありませんでした。彼は自分はSCP-2018-1の意識が物理的な形を取ったものだと主張しました。以下はエージェント████と当該男性の会話の書き起こしであり、男性はSCP-2018-1-Aと呼称されます。

<ログ開始>

エージェント████: あなたは誰ですか?

SCP-2018-1-A: 私は博物館です。どうぞご自由に、お座りになってお召し上がりください。

エージェント████: それは実際のところ、どういう意味なのですか?

SCP-2018-1-A: つまり、私は博物館の精神の現れ、あるいは守護の精霊ということです。私はこの彼をあなた方と話をするために作り出しました。もう何か月も来館者がありませんでしたので、もう崩れてしまうのではないかと思っていたところだったのです。しかし今、あなた方は毎月来館者を送ってくださるので、とても感謝しています。私はあなた方と少しお話しすべきではないかと思いました。ご覧のように、私はただあなた方を歓迎したいのです。

エージェント████: どうやってこの博物館に……つまり、どうやって今の状態になったのですか?

SCP-2018-1-A: ああ、そうですね、私はかつて本物のオーストラリア博物館の守護精霊だったのです。私はかつて、警備員がホールを、そして展示物を守るのを助けていました。ある警備員が仕事中に居眠りしそうになったら、彼の心を小突いて起こすとか、そういうことをしていました。見返りとして、私は来館者が展示物を眺めるところを見て、その感情のエネルギーを自分自身を維持するために吸わせてもらっていたのです。私はその仕事が好きでした。しかし時が経って、私は現代的な精神とはあまり関係の無い古代の遺物を見て人々が驚く姿よりも、もっと別の何かを見たいと思うようになったのです。

エージェント████: そしてそうした考えで、今のこの博物館を作り出したのですか?

SCP-2018-1-A: そうです。たくさんの人が訪れる広大な地の守護精霊をしておりましたので、私は自分自身の内に大量の感情エネルギーを貯め込んでいたのですが、その日が来るまではそれを使うときが来ようとは思ってもいませんでした。その日こそ、私があの博物館を離れ自分自身の博物館を持とうと決めた日だったのです。

エージェント████: 感情を昂ぶらせるために何を作ればいいか、どうやって知っているのですか?

SCP-2018-1-A: 私はこの博物館にいらした人の考えや記憶を読み取ることができるのです。

エージェント████: 他に何か能力は持っていますか?

SCP-2018-1-A: いいえ、それが私のしているすべてです。

エージェント████: ありがとうございます。これでインタビューを終わりますが、何かおっしゃっておきたいことはありますか。

SCP-2018-1-A: はい。どうか息子さんを許してあげてください。彼はあなたがやるなと言いつけたことにいちいち逆らったかもしれませんが、それでもあなたのことをとても愛していたのです。これをプレゼントとして差し上げましょう。あなたの成してきたことに対する賞賛のしるしです。

(インタビューのこの時点で、SCP-2018-1-Aは「フレッド」という名の入った首輪を着けたパグ犬を生成した。パグはエージェント████に向かって走っていったが、払いのけられた。)

エージェント████: 私の心を読んでいたのか?

SCP-2018-1-A: すみません、あなたを怒らせるつもりはありませんでした、ただ贈り物がしたかったのです!

(エージェント████および他の探索チームのメンバーはこの後、SCP-2018-1から退去した。SCP-2018は情報漏洩の危険性があるために閉鎖された。)

<ログ終了>

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