対象: SCP-2025-JP
調査担当: D-17458
現場指揮: 車田博士
調査目的: SCP-2025-JP内部状況の把握/異常性の確認
<再生開始>
00:01 [カメラが起動される。映像にはSCP-2025-JPの入り口が映っており、内部からSCP-2025-JP-Aが認められる]
D-17458: なぁ、なんか中から鳥の鳴き声がしてるんだが。
車田博士: それが通常の状態です。それでは内部の調査を開始してください。
D-17458: なるほどな、この鳴き声がこの洞窟のおかしなとこって事か。わかった。んじゃさっそく始めるぜ。
00:15 [D-17458が支給されたライトを点灯し、SCP-2025-JP内に侵入する。内部は稼働時に使用されていた線路や照明等がそのまま残されている]
D-17458: 随分暗いな…。明かりは全部壊れてるのか。
車田博士: D-17458、内部の状況はどうですか?
D-17458: うーん、今んとこ鳴き声以外変わったものはないな。文句があるとすれば、この鳴き声がやかましいのと滅茶苦茶暗いことくらいだな。全く、どこに鳥がいるんだ?さっさと見つけて黙らせねぇと、うるさいったらありゃしねぇ。
車田博士: わかりました。では周囲を撮影しつつ、奥へと進んでください。
D-17458: 了解だ。
D-17458: ふぅ…なぁおい、だいぶ奥まで来たと思うが、今どのあたりなんだ?
車田博士: そうですね…全体のおよそ3分の2程度の地点のようです。
D-17458: マジかよ…まだあと3分の1あんのかよ…。なぁ、やっぱりやらなきゃいけないんだよな?
車田博士: 勿論。それがあなたの仕事ですから。
D-17458: はいはいわかってますよ。まぁ聞かなくてもわかって……。
74:48 [SCP-2025-JP-Aが消失する。直後、D-17458に動揺が見られるようになる]
D-17458: ……おい、鳴き声が止んだぞ。
車田博士: えぇ。こちらでも確認しています。
D-17458: いや、ちょっと待て……思い出したぞ。なぁおい、これあれだろ?毒ガスが漏れだすとカナリアが鳴き止むってやつ。おいおいおい、だとしたらどこかからガスが漏れてんだろ!
車田博士: こちらの計器ではガスは検出されていません。大気の状態は正常です。こちらでガスの発生が確認された場合直ちに撤退を指示しますので、そのまま奥へと進んでください。
D-17458: ほ、本当だな?信じていいんだな?
車田博士: Dクラス職員と言えど、嘘を教えて見殺しにするようなことはしませんよ。
D-17458: は、そうかよ。わかった、あんたを信じて先に進むよ。
83:17: [D-147458が若干の息切れを起こし始め、複数回頭を振り、目をこする動作も確認される]
車田博士: D-17458、どうかしましたか?
D-17458: いや、すまない。疲れきたのか、ちょっと息苦しくてな。あとはなんか目がかすんで……[鼻を鳴らす音] 何だこりゃ?
車田博士: どうかしましたか?
D-17458: いや、何か臭いんだ。なんだろうな…腐った卵?みたいな……。あ、おい!これガスの臭いだろ!なぁおい!そうなんだろ!?
車田博士: いえ、大気に異常は確認されていません。いたって正常です。
D-17458: はぁ?…なぁおい博士、アンタ俺に嘘ついてんだろ?ほんとはあの鳴き声が聞こえなくなった時からずっとガスが出てるってわかってんだろ!なぁ!
車田博士: 私は事実しか伝えていませんよ。ですがそうですね…大体の坑道は調べ終えましたので、今日はここまでにしましょう。体調が回復次第、こちらに戻ってきていただいて構いませんよ。
D-17458: [罵倒] そりゃどうも。じゃあここで一息つかせてもらうぜ。
84:52 [D-17458が壁際に座り、休息を開始する。およそ5分後、D-17458の体調に変化が起きる]
D-17458: [3度鼻を鳴らす音] お、これは…。博士、あの腐った臭いが消えた。体調はまだ戻ってないが、臭い中と臭くない中を歩くんじゃ大違いだ。これからそっちに戻る。
車田博士: わかりました。医療班を入り口に待機させますので、できるだけ速やかに帰還してください。
D-17458: あぁ、そのつもりさ。
88:19 [D-17458の息切れが激しいものになり、不明瞭な呟きやうめき声を繰り返し発するようになる]
車田博士: D-17458、大丈夫ですか?
D-17458: [不明瞭な呟き] あー……あー、えと、は、博士?[咳き込む音] 今、どのへんだ?俺、がここに、は、入ってからどのくら、い経ったんだ?
車田博士: あなたが調査を開始してから約90分経過しています。現在位置は坑道全体の4分の1程度の場所です。大分疲弊しているようですが、休憩しますか?
D-17458: いや、いい。疲れ、てはいるが、違うん、だ。なんだか、あた、頭がぼーっと、してるんだ。なぁ、が、ガスはほんと、うに出てな、いんだな?
車田博士: えぇはい。数値は依然正常なままです。
D-17458: そ、そか。わかった。すぐもど、る。くそ、か、体がお、もい。あぁ…は、はや、くでないと、でない、と…。
95:18 [D-17458が地面にうずくまる。呼吸が浅くなり、意識レベルの低下が見られる]
D-17458: [判別不能]…はか……。いりょ……は…これな…か?
車田博士: D-17458、どうしましたか?
D-17458: [不明瞭な呟き]
車田博士: D-17548?
D-17458: ……えな、い。
車田博士: 何ですって?
D-17548: あ……な…ごえが…。きこ……い…。
[以降4分間、D-17458からの応答はなく、99:36に心拍の停止、死亡を確認。カメラは以後3時間18分間、バッテリーが切れるまで撮影を継続した]
<再生終了>
D-17458の遺体はSCP-2025-JP-Aの再発生が確認された後、回収されました。