SCP-2047-JP
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アイテム番号: SCP-2047-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2047-JPは収容サイト-8155の抗キネト災害処置が施された収容室において、専用の拘束台に拘束した状態を維持しなければなりません。拘束は体幹、肘、膝、指など、キネトグリフ1を描くおそれのある可動部全てが十分に固定されている必要があります。収容違反の防止とSCP-2047-JP自身の健康のために、点滴を用いた投薬によりSCP-2047-JPは常に鎮静状態を維持してください。実験などによりSCP-2047-JPの拘束の一部を一時的に解く場合、作業場所は抗キネト災害装備を備えた処置室内でなければなりません。SCP-2047-JPの再現試験はDクラス職員のみを素体に用い、対象の精神障害が認められた場合は速やかに対象を終了してください。

説明: SCP-2047-JPは精巧なキネトグリフ(Kinetoglyph)を描く能力を有したおおむねヒト型の実体です。SCP-2047-JPはキネト災害2により、物理的障壁を無視しての移動や、生体の機能障害、熱源を伴わない温度変化などを引き起こすことが可能です。2019年に発生した重大インシデント2047-JP以降、SCP-2047-JPは拘束および鎮静状態にあり、自発的な活動は強制的に封じられています。しかしSCP-2047-JPが有していた空間歪曲や熱操作などのキネト災害を引き起こす能力は失われていないと考えられています。SCP-2047-JPの能力は、一般的な人間を素体としてSCP-2047-JPの発生プロセスを再実行することにより、高確率で再現可能です。しかしSCP-2047-JPの機能を再現した素体は、全員が短期間で類似した精神疾患を発症しています。精神疾患の発生率の低減と機能の制御は、SCP-2047-JP調査分析班の重要な課題として捉えられています。

SCP-2047-JPは、2019年に旧研究サイト-8155において発生しました。研究サイト-8155はキネト学の研究のために設計された特殊施設でしたが、キネト学的実証実験の被験者1号が引き起こした重大インシデント2047-JPにより一時的に放棄されました。サイトの放棄から17日後、トラヴィス・バートン博士3の指揮のもとに抗キネト災害訓練を受けた機動部隊が研究サイト-8155に投入されました。作戦は成功裏に終了し、サイトは奪還され、SCP-2047-JPは再確保されました。

SCP-2047-JPに関する重要なタイムライン:

<2009年4月> 研究サイト-8155が完成し、キネト学の本格的な研究が始まる。

<2014年9月> バートン博士が研究サイト-8155の研究主任に着任する。

<2016年6月> バートン博士がキネト学研究の強化のため、肢体複雑性強化実験の許可をサイト管理者に求める。

<2016年8月> 複雑性強化実験の申請が条件付きで許可される。

<2016年9月> 複雑性強化実験の被験者1号が選出される。数名の健康なDクラス職員の有志が協力者として選出される。

<2016年12月> 第1回キネト学的実験処置が施される。

<2018年3月> キネトグリフの研究が飛躍的な成果を挙げたことを示す論文が、バートン博士と双葉研究員4の連名で発表される。

<2018年6月> 双葉研究員本人の希望により定期カウンセリングが開始される。

<2018年9月> キネト学研究の実績が認められ、キネト学研究の予算増額が決定。双葉研究員に特別褒賞が与えられる。

<2019年4月6日>(T+3D) 双葉研究員が体調不良を訴え、2日間の有給休暇が与えられる。双葉研究員は休暇中のほとんどの時間を自室のベッドで横になって過ごしていたことが映像記録から確認されている。

<2019年4月9日>(T+0D4H) 被験者1号が定刻に出勤しなかったため、カウンセラーが被験者1号の居室を訪れる。カウンセラーは実験の一時中断を進言するが、継続可否の判断は翌日に持ち越される。

<2019年4月9日>(T+0D3H) 検査が定刻から2時間遅れで開始される。被験者1号は協力的態度の欠如を叱咤される。

<2019年4月9日>(T+0D1H) 被験者1号が実験エリアから逸脱する。後の分析で、当日の実験手順に不備があったことが判明している。

<2019年4月9日>(T+0) 重大インシデント2047-JPが発生。バートン博士の部下6名がほぼ同時に無力化される。被験者1号に暫定ナンバー:SCP-2047-JPが割り当てられる。

<2019年4月9日>(T-2H) サイト常勤の収容スペシャリストおよび近隣サイトの機動部隊が投入される。しかしSCP-2047-JPにより9割の人員が無力化される。作戦は中止され研究サイト-8155内の全職員に退避命令が下される。

<2019年4月11日>(T-2D) 研究サイト-8155の暫定放棄が宣言される。バートン博士を中心とした研究サイト-8155の奪還作戦チームが結成される。

<2019年4月28日>(T-19D) 研究サイト-8155の奪還作戦が実行され、被験者1号が再確保される。

<2019年9月> 双葉のぞみ研究員の死亡が宣言される。

<2021年9月> 研究サイト-8155の清掃、修理、改築が完了し、収容サイト-8155としての再運用が始まる。バートン博士が収容サイト-8155のサイト管理者に着任する。被験者1号に正式にオブジェクトナンバーSCP-2047-JPが割り当てられる。

キネト学的肢体複雑性強化実験 要旨:

  • 外科手術を用いた補助腕の追加。術後の経過を観察し、後続の施術範囲を反復検討する。
  • 補助腕操作用の補助デバイスの接続。補助腕の機能限界の拡張およびリハビリ期間の短縮を目的とする。
  • キネト災害の再現試験。補助腕を利用してキネトグリフを描画しキネト災害を再現する。抗キネト処置を施した実験室または抗キネト装備を伴う警備員による収容違反防止措置を前提とする。
  • 抗キネト災害技術の開発。複雑かつ強力なキネト災害を無力化する技術の開発を目的とする。

インタビューログ2019-2-██: このログは重大インシデント2047-JP発生以前、2019年2月に行われたキネト学的肢体複雑性強化実験の被験者1号に対するインタビューの記録です。被験者1号は研究には非常に協力的な態度で臨んでいましたが、たびたび身体的および精神的な不調を訴えていました。

<記録開始>

バートン博士: 気分はどうですか。

被験者1号: 今日は比較的落ち着いています。

バートン博士: 体調不良は実験の影響だとも考えられますが、あなた自身はどう感じていますか。

被験者1号: 私としては…客観的に見て、ストレスが原因ではないかと推測します。

バートン博士: いつから、体調に影響するような強いストレスを感じ始めましたか?

被験者1号: 弱いストレスは1年ほど前からですが、強いストレスはこの3か月くらい…だと思います。

バートン博士: どのようなときにストレスを感じているか教えてください。

被験者1号: 常にです。

バートン博士: もう少し具体的にお願いします。実験中とか、生活中とか、就寝前とか。

被験者1号: 主に生活中です。実験中は気になりません。

バートン博士: 生活の中で、どのようなストレスを?

被験者1号: 例えば、のどが渇いたとき。キッチンへ移動し、戸棚を開けてコップを取り出し、蛇口から水を注ぎ、飲む。この手順が、日に日に苦痛になっていくのです。

バートン博士: なぜその行動が苦痛に?

被験者1号: 私には能力があります。私は、ソファーでくつろいだ姿勢のまま、ほんの少し指先を動かすだけで、戸棚の中のコップに直接水を注ぎ、それを手にすることができます。必要なら、セキュリティドアや警備員の皆さんを煩わせずに地上のコンビニまで出かけて、お菓子とビールを片手に帰ってくることだってできるのです。しかし、そうはできない。

バートン博士: 能力が使えないことが、苦痛になっているということですか。

被験者1号: 違います。抗キネト装備が能力を封じているというのもありますが、私は、私自身に、能力の使用を禁じるよう課してもいます。これはヒトが持っていい力ではないからです。しかし、私の中に、確かに力を使いたいという欲望があります。なぜ歩いてキッチンまで行かねばならない? なぜ個室でおとなしくしていなければならない? 私にはそうしなくてよい能力があるのに、なぜ使えない? そういった考えが、日増しに強くなっていくのを感じます。私は、私自身のそういった考え方の変化に、ストレスを感じています。

バートン博士: 今の件は、カウンセラーに伝えてもよろしいですか?

被験者1号: 構いません。…博士、お願いがあります。このお願いは、財団の理念、確保・収容・保護に反するものかもしれません。なので非公式に、友人として、あなたを信頼して、お願いするのです。聞いてくださいますか。

バートン博士: 伺いましょう。ここからは私の権限でオフレコにします。

[バートン博士はマイクをオフラインにするよう指示する。研究員は速やかにマイクをオフラインに変更する。]

[バートン博士が個人用端末の音声レコーダーを起動する。]

バートン博士: 続けてください。

被験者1号: …もし私が…自我を失ったり、攻撃的になりあなたや研究室の仲間を襲うようなことがあったら…私を…終了してください。

[6秒間沈黙]

被験者1号: 私は、財団職員として、財団に尽くしたいと考えています。怪物としてではなく、名誉ある職員として、財団に尽くしたいのです。だから、人であるうちに、どうか私を終了してください。

バートン博士: …なるほど。

被験者1号: 私は自分の意思で、あなたの研究室への配属を希望しました。自ら実験にも志願しました。すべて財団に尽くすためです。怪物になって、成り果てて、収容房に閉じ込められて、自分の名誉や尊厳や夢さえ忘れて、ただの実験対象として日々を送る。そんなものはもう私ではない。どうか、私が怪物になる前に、財団の研究員として、誇りを持って人生を全うした個人として、双葉のぞみとして、最期を迎えさせてください。

バートン博士: …ああ…わかった。友人として、約束しよう。

<記録終了>

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