アイテム番号: SCP-2048-JP
オブジェクトクラス: Safe(暫定)
特別収容プロトコル: SCP-2048-JPはサイト-8107の低危険度物品収容ロッカーに保管され、実験時を除いて持ち出しは禁止されています。
説明: SCP-2048-JPは落下させた際に特定の確率(SCP-2048-JP-1とする)で表が上を向いた状態になる日本国の10円貨幣です。2020/04/01まで「必ず表の出る10円玉」としてAnomalousアイテムに登録されていましたが、定期点検時に誤って落下させた際に裏が出たことが確認されたため、後述の実験2048-JP-1の結果を受け、新たにSCP-2048-JPとしてナンバリングされました。
実験記録2048-JP: SCP-2048-JPの正確な特性を調べるために行われた実験です。
実験記録2048-JP-1 - 日付2020/04/03
実施者: 望月博士
対象: SCP-2048-JP
実施方法: D-1902にSCP-2048-JPをコイントスの要領で弾き上げさせる。その後、落下した際に上を向いた面を全て電子記録媒体に記録させる。以上を4000回繰り返す。不正が行われないことを監視するために監視カメラによりD-1902の行動およびコインの面を確認し、常に電子記録媒体に入力された内容と照らし合わせる。
結果: 以下のような結果が得られた。詳細な実験記録は別紙を参照のこと。
分析: 明らかに試行回数によってSCP-2048-JP-1が変化していることが分かる。回数を増すごとにSCP-2048-JP-1が減少し、その後に再び増大する様子が見られた。これが同様に繰り返されるのだろうか。
コインの面 / 実施回数 | 1 ~ 500回 | 501 ~ 1000回 | … | 2001 ~ 2500回 | … | 3501 ~ 4000回 |
---|---|---|---|---|---|---|
表 | 473回 | 410回 | … | 16回 | … | 421回 |
裏 | 27回 | 90回 | … | 484回 | … | 79回 |
実験記録2048-JP-2 - 日付2020/04/06
実施者: 望月博士
対象: SCP-2048-JP
実施方法: D-1872に前回と同様な方法でSCP-2048-JPの特性を調査させる。
結果: 以下のような結果が得られた。詳細な実験記録は別紙を参照のこと。
分析: SCP-2048-JP-1が減少と増大を繰り返すのが確かめられた。しかし、増減の周期は累計回数が増すほど短くなるようだ。
コインの面 / 実施回数 | 1 ~ 400回 | 401 ~ 800回 | 801 ~ 1200回 | 1201 ~ 1600回 | … |
---|---|---|---|---|---|
表 | 347回 | 105回 | 49回 | 193回 | … |
裏 | 53回 | 295回 | 351回 | 207回 | … |
以降の実験記録については別紙を参照してください。
財団収容以後、(Anomalous登録判断時の実験も含め)2020/04/29までに望月博士は累計19000回SCP-2048-JPを落下させる実験を行いました。その結果を基にSCP-2048-JP-1の累計落下回数に対する関数を推測し、SCP-2048-JP-1の特性を明らかにしました。この際収容以前の試行は、記録が無い上に有意差を及ぼさないと考えられることから無視されています。次の表とグラフはその全ての実験結果をまとめたものです。
範囲(落下の累計回数) | SCP-2048-JP-1の特性 |
---|---|
全体 | 振動するように変化するが、周期は落下の累計回数に対し急激に短くなる。 |
10000回以降 | 変化が非常に急になり、推測のために統計的に十分なサンプル数を確保できない区間が現れる。このような区間では、その時点でのSCP-2048-JP-1を測定する手段がないことに留意せよ。 |
15000回以降 | いずれの区間でも十分なサンプル数を確保できなくなる。 |
18000回以降 | 変化率が過度に大きくなり、推測された関数から算出される確率と実際のSCP-2048-JP-1との誤差が大きくなりすぎるため、推測された関数が一切の意味を為さなくなる。 このことから、周期的な変化なども観測できなくなり、実質的にランダムに変化すると考えられる。補遺参照のこと。 |
補遺: 現在、前述の特性からSCP-2048-JP-1はランダムに変化するものとされています。また、SCP-2048-JPを落とすたびにその時点でのSCP-2048-JP-1がランダムに変化し、かつそのSCP-2048-JP-1を知る術が無いと、実質的にSCP-2048-JPが落ちたときに表が上になる確率は常に50%になります。SCP-2048-JP-1が以上のような変化をするとすれば、これは紛れもない異常性ですが、非異常性のコインとの差は一切観測できません。つまり、SCP-2048-JP-1が変化するという異常性が現在存在しているかどうか科学的な証拠が存在しません。このため、SCP-2048-JPのオブジェクトクラスをNeutralizedとするかの議論がなされています。